きっとこの世はニャンだふる♪

Ete

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俺の生き方

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俺は甘ちゃんだった。
祖父さんに会えば、あっさり答えが出て、その通りに動けば何とかなるんじゃないかと思ってた。
自分で考えて…って、本気で考えたかな。
猫になって、人間とは違う生き方をして、見えなくなったものが多くなったのかもしれない。

祖父さんは黙って俺の様子を伺っている。
あ、これって、母親猫と同じだ。
自分で答えを出して実行。
これが=成長か!

考えろ!考えろ!

猫でも出来ることが何かあるんじゃないか?

「ん?猫でもできること…?」

「おお、いいじゃないか?猫でもできること。例えばどんなことだ?」
「例えば…?」
猫でも出来ることって言えば、猫…猫…
猫…可愛い…家でゴロゴロ…のんびり…癒やし?
癒やし?
「癒やし!」
「ウンウン、それで?」

癒やしって、誰を癒やすのか?
人間…人間って言えば、家族…
家族って…
よく考えたら、俺は生まれ変わっても実家に居たじゃないか?
なのに俺の思い違いから離れる事になって、大事な家族を失って…

それだ!
そこからやり直す‼︎

「実家に帰ればいいんだ!」
「ほぉ~?そうきたか。じゃあ何しに実家に帰る?」
祖父さんが問いかけてくる。

「何しに?」
猫…実家…癒やし…
誰を癒やす?
実家に居るのは両親だけ。
たまに叶和子(かなこ)…妹夫妻…

両親もいい歳だ。
俺もチャチャも俺も居なくなって、きっと寂しい思いをしてるんじゃないか?
俺が両親を見守る…?

待てよ?
そうか!
今度は俺が恩返ししていけばいいんじゃないか?
これぞネコの恩返し‼︎

「祖父さん!俺、決めた!実家に戻って両親を見守るよ!」
自分の口からこんな言葉が出るとは思わなかった。
でも自分でちゃんと考えた!

「ほら、答えが出たじゃないか。本当はそうなる運命だったんだよ。お前、かなり遠回りしたな」
祖父さんは笑いながらそう言った。

遠回り。
そうかもしれない。
せっかく実家の近くに転生したのに、自分からそれを捨てて別の生活を選んだ。
もしかしたら、『ご縁』たちがそうしてくれたのかもしれないのに?

俺はバカだ。
失ってから気がつく。
命も家族もみんな!
また同じことを繰り返していた。
【命】は一度きり。
大事にしなくちゃいけないって、自分が一番よく知ってたくせに!
もっと早く気がつくべきだった!

「なんだ。和彦。お前、墓に入りに来たんじゃなかったのか?」
祖父さんの横から祖母さんがニュッと出てくる。

「うぉお⁉︎祖母さん、びっくりするじゃないか!」
「ワシの息子に似て弱っちいのぉ~?」

「祖母さん、墓はもうちょっと先!って言っても猫だから、死んでも同じ墓には入れないよ。でも時々遊びに来る。今度はすぐそこだから!」
答えが出たことで、俺は清々しい気持ちになった。

「心配せんでも、家猫になるなら、私たちはずっと仏壇からお前たちのことを見てるさ。なあ、祖母さんや」
「仕方ないね~。祖父さん」
祖父さんは祖母さんに優しい。
その優しさ、俺も見習わなくちゃ!

俺の生き方が決まった!
とにかく実家に帰る!
そして家猫になるんだ!
そうと決まれば、製材所に戻ってみんなに報告しよう!

「祖父さん、祖母さん!また遊びに来るよ!」

「和彦!もうすぐお前の命日だ。またここから生まれ変わるんだ。今度は間違えるなよ~」
「そうか!忘れてた。命日か。丁度いい。新しい門出だ!」
祖父さんと祖母さんに見送られて、俺はまた製材所に向けて走り出した。

製材所に戻る頃には夕方になっていた。
ご飯を残して、母親猫が待っていてくれた。

「あの…お母さん。聴いて?話したいことがあるんだ。前にお母さんは神様に助けられたって言ってたよね。実は俺も、本当は人間の生まれ変わりなんだ。人間の両親も妹もいる。恥ずかしいけど嫁さんもいるんだ。お母さんが俺を産んでくれたおかげで、俺はこの世に戻って来れたんだ。お母さんとの記憶は、ほんのちょっとしかないけど、それでも本当に幸せだよ!でも、でもね…」
いざ別れを言おうとするとなかなか言葉が出て来ない。

「そうだったの…。で、答えは出たのね?」
少し淋しそうな顔。

「うん。俺、やっと気がついたんだ。チャチャといたあの場所に帰るよ。自分の両親が居る実家に戻って、家猫になるんだ」
俺は母親に告げた。
それが何を意味するか、母親もわかっているようだ。

「そう。自分で決めたのね。偉いわ。お母さん反対なんかしない。頑張りなさい」
母親は俺の耳や顔をいっぱい舐めてくれた。
母親の精一杯の愛情を感じた。
いつまでも親離れしないでいたら、俺はまたダメダメ猫になっちまう。
そういう生き方もあったかもしれないが、せっかくもらった命!
俺はもう一度やり直す‼︎


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