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ラナキア洞窟-SECRET BOSS-6
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「くそっ!」
黒炎がジョゼフに迫る。今の彼の手に槍はなく、もしあったとしても槍では延焼効果を防げない。避けるより他はない。転がるように前へ飛んだ。
なんとか回避する事ができた――そう思ったその時、
「■■…」
と、ゲルトアルヴスが何か短い呪文のようなものを呟いた。その言葉を受け、黒炎は反応を示す。ジョゼフに向かって、曲がったのだ。
(あ…俺、死んだな)
ジョゼフはそう直感した。転がるような形で跳んだため、床に這いつくばるような姿勢になっている。ここから急いで起き上がり、炎を避ける暇はない。万一避ける事が出来たとしても再び炎が曲がり自身を襲ってくるのだと、そう思った。
恐怖のために息が詰まった。おそらく数秒後には自分の体は黒炎に焼かれているのだろう。延焼の効果だけでもこれ程の痛みなのだ。その業火を直接体に受けたとしたら…どれ程の苦しみだろうか。想像するだけで心臓が止まってしまいそうだった。
炎が迫る。それがやけにゆっくりと感じられるのは、人が窮地に陥った際は周囲が全てスローモーションに見える…という例のアレだろう。しかし、例え周囲がゆっくりと動いて見えようと、ジョゼフに出来る事はない。炎が眼前に迫ってくる――。
(え…?)
視界の端から誰かが現れた。小さな背丈。少年だ。この場に少年と呼ぶべき年齢の者はひとりしかいない。ルカだ。
ルカはジョゼフと炎の間に割って入る。
(バカ、やめろ…!)
ルカではあの黒炎に対応する術はない。無駄死にだ。
――「来るな」と、そう言おうとしたが、息が詰まって声が出ない。
◇
ゲルトアルヴスがジョゼフに対して黒炎を放ったその時。ルカは、アレクシアに加勢するためジョゼフから離れた所だった。
黒炎がジョゼフ目掛けて奔る。それを見て、ルカは反射的に走り出していた。ジョゼフに向かって。
ジョゼフが飛びながら黒炎を回避する。ゲルトアルヴスが短く呪文を唱える。黒炎が曲がり、ジョゼフを追尾する。ルカは止まらない。
「水よ、飛翔せよ…」
走りながら呪文を詠唱した。そして炎とジョゼフの間に立ち、魔術を行使する。
「『ウォーター・スプラッシュ!』」
『ウォーター・スプラッシュ』。水を飛ばす初伝魔術。威力は低く、正直な所ゲルトアルヴスの黒炎に対抗できるような魔術ではない。
(けど、少しでも威力を弱める事ができれば…)
ウォーター・スプラッシュで炎の威力を弱めつつ、自分が炎を受け止めれば…少なくとも、ジョゼフの盾にはなれるはず。当然、自分の体は炎に焼かれ良くて重症。悪ければ即死。極めてリスクの高い行動だ。しかし、ジョゼフを…仲間を見捨てる事は、ルカにはできなかった。
魔術が発動する瞬間、全神経を集中させる。すると――体中の魔力が吸い出されるような、奇妙な感覚がルカを襲った。
(なんだ、この感覚…?いや、これは…前にも経験がある…!)
黒炎がジョゼフに迫る。今の彼の手に槍はなく、もしあったとしても槍では延焼効果を防げない。避けるより他はない。転がるように前へ飛んだ。
なんとか回避する事ができた――そう思ったその時、
「■■…」
と、ゲルトアルヴスが何か短い呪文のようなものを呟いた。その言葉を受け、黒炎は反応を示す。ジョゼフに向かって、曲がったのだ。
(あ…俺、死んだな)
ジョゼフはそう直感した。転がるような形で跳んだため、床に這いつくばるような姿勢になっている。ここから急いで起き上がり、炎を避ける暇はない。万一避ける事が出来たとしても再び炎が曲がり自身を襲ってくるのだと、そう思った。
恐怖のために息が詰まった。おそらく数秒後には自分の体は黒炎に焼かれているのだろう。延焼の効果だけでもこれ程の痛みなのだ。その業火を直接体に受けたとしたら…どれ程の苦しみだろうか。想像するだけで心臓が止まってしまいそうだった。
炎が迫る。それがやけにゆっくりと感じられるのは、人が窮地に陥った際は周囲が全てスローモーションに見える…という例のアレだろう。しかし、例え周囲がゆっくりと動いて見えようと、ジョゼフに出来る事はない。炎が眼前に迫ってくる――。
(え…?)
視界の端から誰かが現れた。小さな背丈。少年だ。この場に少年と呼ぶべき年齢の者はひとりしかいない。ルカだ。
ルカはジョゼフと炎の間に割って入る。
(バカ、やめろ…!)
ルカではあの黒炎に対応する術はない。無駄死にだ。
――「来るな」と、そう言おうとしたが、息が詰まって声が出ない。
◇
ゲルトアルヴスがジョゼフに対して黒炎を放ったその時。ルカは、アレクシアに加勢するためジョゼフから離れた所だった。
黒炎がジョゼフ目掛けて奔る。それを見て、ルカは反射的に走り出していた。ジョゼフに向かって。
ジョゼフが飛びながら黒炎を回避する。ゲルトアルヴスが短く呪文を唱える。黒炎が曲がり、ジョゼフを追尾する。ルカは止まらない。
「水よ、飛翔せよ…」
走りながら呪文を詠唱した。そして炎とジョゼフの間に立ち、魔術を行使する。
「『ウォーター・スプラッシュ!』」
『ウォーター・スプラッシュ』。水を飛ばす初伝魔術。威力は低く、正直な所ゲルトアルヴスの黒炎に対抗できるような魔術ではない。
(けど、少しでも威力を弱める事ができれば…)
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魔術が発動する瞬間、全神経を集中させる。すると――体中の魔力が吸い出されるような、奇妙な感覚がルカを襲った。
(なんだ、この感覚…?いや、これは…前にも経験がある…!)
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