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ラナキア洞窟-SECRET BOSS-10
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ゲルトアルヴスが湖から姿を現す少し前――。
ジョゼフ・フィッツロイは自分の凡庸さというものを思い知らされていた。
21歳でCランク冒険者にして修伝槍使い。正直な所、自分の事をなかなかの才能の持ち主だと自負していた。そして、自分には未知の世界を探求したいという情熱もある。誰にも負けない情熱だ。そう思っていた。
だからこそ、自分はSランク相当の冒険だとか迷宮の最奥を求めているだとか大仰な事を言ってきたのだ。
しかし、自分を上回る才能と情熱の持ち主をこの目で見てしまった。
アレクシア・ツヴァイク。19歳にしてアルトゥース流の奥伝剣士。自分などとは比べ物にならない実力の持ち主だ。
ルカ・ハークレイ。単純な実力では自分の方が上かもしれない。だが、冒険者としての知識量、戦いの場における戦略眼、そして強敵を前にしても怯まない精神力。いずれも卓越している。とても13歳とは思えない。
この二人に比べれば自分など凡庸もいい所だ。だから、ゲルトアルヴスとの戦いにも参加せず立ち去ろうとした。
(俺なんかがいた所で何にもなりゃしねえ。…死ぬだけだ)
そう思い、ルカとアレクシアから背を向けて立ち去った。そんな時、ふと昔の事が脳裏に過る。故郷の村での師匠との会話だ。
◇
ジョゼフの師匠は当時すでに70歳を超えた槍使いの冒険者だった。白髪で痩せており、背も高くはない。一見するとどこにでもいそうな老人だが、服を脱げばその体中には傷跡があった。回復魔術を使用しても消えない、戦いの傷跡だ。
そんな師匠は、「腰が痛い」だの「膝が軋む」だの「ワシも老いた」だの。自分の肉体や老いに対する愚痴を言うのが口癖だった。そのくせ、毎日の訓練は欠かさない。雪の降りしきる中、朝早くに起きて槍を振り回す。それが師匠の日課だった。そして、「昔のように動かん。年は取りたくないもんじゃ」と愚痴を零すのだ。
そんな師匠に、ジョゼフは問いかけた事がある。
「なあ、師匠」
「なんじゃ」
「なんで師匠は毎日鍛錬してんだ?」
「ん?どういう意味じゃ」
「いや、だからさ、その…師匠ってもう爺さんだろ?」
「年寄り扱いするでない!…と言いたい所じゃが、まあその通りじゃな」
「だからよ、その…師匠はこれ以上強くなれないって事だよな?」
「…」
「だから、えーと、鍛錬する意味はないんじゃねえかと思って」
師匠に対し『もう強くなれないから鍛錬を止めた方がいい』などという言葉は無礼千万というものだろう。破門にされてもおかしくない。だが、当時のジョゼフは子供だったし…彼なりに師匠を思いやっての言葉だった。
体が痛いと言いながら槍を振るう師匠を見るのは辛かった。そして――。
「師匠の技だったら俺が受け継ぐから。だからよ、のんびりしてくれよ」
もし技を途絶えさせるのが辛いのであれば、自分が受け継ぐから心配しなくていい。そう伝えたかったのだ。そんな彼に対し、師匠は微笑んだ。
「ありがとうな、ジョゼフ。じゃがな、ワシは槍を持てる限りは鍛錬を続けるつもりじゃ。例えこれ以上強くはなれず…老いていくだけだとしてもな」
「な、なんでだよ」
「これ以上強くはなれなかったとしても、それが鍛錬を止める理由にはならんという事じゃ。強くなれるかどうかと、鍛錬を続けるかどうかは――関係がない」
「え?」
ジョゼフには師匠の言葉が理解できなかった。鍛錬とは、強くなるために行うものだろう。
(強くなれないのに鍛錬をする?意味わかんねえ…)
首を傾げるジョゼフの頭に、師匠はポンと手を乗せた。
「はは、分からんか。まあそれも仕方のない事よ」
そう言うと、ジョゼフから離れて鍛錬を始めた。ジョゼフはそんな師匠の横顔を、不思議そうに見つめ続けていた。
◇
どうしてあの時の事を思い出したのだろう。正直、今思い出してみても師匠の言葉の意味はよく分からない。分からないが――しかし。
「関係がない、か…」
その言葉だけが不思議と耳の奥に残っていた。
(そうだよな、関係ねえんだよな)
ジョゼフが考えたのは、自分の才能についてだ。
自分には特別な才能はないのかもしれない。だが――それと今戦うかどうかは全く関係がない。例えアレクシアのような才能やルカのような情熱がなくとも…出来る事はあるはずだ。
(結局、才能うんぬんなんて言って…俺は、死にたくねえから逃げてる理由を探してるだけじゃねえか)
確かに、死にたくはない。怖い、だが――、
ジョゼフはルカとアレクシアを振り返る。自分の事をリーダーと言ってくれた二人。こんな頼りない自分の事を。
二人を死なせたくはなかった。そして、そのために自分に出来る事があるのなら…、
(戦うしかねえか)
ジョゼフは、二人の元へ走り出した。ゲルトアルヴスと戦うために。
◇
ゲルトアルヴスの足を斬り落としたジョゼフの全身は、恐怖のあまり震えていた。しかし、
(作戦通りだ――)
そう冷静に判断する自分もいた。
ゲルトアルヴスが今まで受けたダメージは、ほぼ全て上半身に固まっている。すなわち下半身はほぼ無傷。ダメージを受け再生する事によってその部位が強固になるというゲルトアルヴスの性質上、下半身は未だ防御力が低いままだと踏んでいたのだ。
無論、与えたダメージはすぐに回復する。だが、問題はなかった。時間を稼ぐことができればいいのだ。後は――、
(ルカ君、アレクシア殿、任せたぜ!)
二人が止めを刺してくれる。そう信じていた。
ジョゼフ・フィッツロイは自分の凡庸さというものを思い知らされていた。
21歳でCランク冒険者にして修伝槍使い。正直な所、自分の事をなかなかの才能の持ち主だと自負していた。そして、自分には未知の世界を探求したいという情熱もある。誰にも負けない情熱だ。そう思っていた。
だからこそ、自分はSランク相当の冒険だとか迷宮の最奥を求めているだとか大仰な事を言ってきたのだ。
しかし、自分を上回る才能と情熱の持ち主をこの目で見てしまった。
アレクシア・ツヴァイク。19歳にしてアルトゥース流の奥伝剣士。自分などとは比べ物にならない実力の持ち主だ。
ルカ・ハークレイ。単純な実力では自分の方が上かもしれない。だが、冒険者としての知識量、戦いの場における戦略眼、そして強敵を前にしても怯まない精神力。いずれも卓越している。とても13歳とは思えない。
この二人に比べれば自分など凡庸もいい所だ。だから、ゲルトアルヴスとの戦いにも参加せず立ち去ろうとした。
(俺なんかがいた所で何にもなりゃしねえ。…死ぬだけだ)
そう思い、ルカとアレクシアから背を向けて立ち去った。そんな時、ふと昔の事が脳裏に過る。故郷の村での師匠との会話だ。
◇
ジョゼフの師匠は当時すでに70歳を超えた槍使いの冒険者だった。白髪で痩せており、背も高くはない。一見するとどこにでもいそうな老人だが、服を脱げばその体中には傷跡があった。回復魔術を使用しても消えない、戦いの傷跡だ。
そんな師匠は、「腰が痛い」だの「膝が軋む」だの「ワシも老いた」だの。自分の肉体や老いに対する愚痴を言うのが口癖だった。そのくせ、毎日の訓練は欠かさない。雪の降りしきる中、朝早くに起きて槍を振り回す。それが師匠の日課だった。そして、「昔のように動かん。年は取りたくないもんじゃ」と愚痴を零すのだ。
そんな師匠に、ジョゼフは問いかけた事がある。
「なあ、師匠」
「なんじゃ」
「なんで師匠は毎日鍛錬してんだ?」
「ん?どういう意味じゃ」
「いや、だからさ、その…師匠ってもう爺さんだろ?」
「年寄り扱いするでない!…と言いたい所じゃが、まあその通りじゃな」
「だからよ、その…師匠はこれ以上強くなれないって事だよな?」
「…」
「だから、えーと、鍛錬する意味はないんじゃねえかと思って」
師匠に対し『もう強くなれないから鍛錬を止めた方がいい』などという言葉は無礼千万というものだろう。破門にされてもおかしくない。だが、当時のジョゼフは子供だったし…彼なりに師匠を思いやっての言葉だった。
体が痛いと言いながら槍を振るう師匠を見るのは辛かった。そして――。
「師匠の技だったら俺が受け継ぐから。だからよ、のんびりしてくれよ」
もし技を途絶えさせるのが辛いのであれば、自分が受け継ぐから心配しなくていい。そう伝えたかったのだ。そんな彼に対し、師匠は微笑んだ。
「ありがとうな、ジョゼフ。じゃがな、ワシは槍を持てる限りは鍛錬を続けるつもりじゃ。例えこれ以上強くはなれず…老いていくだけだとしてもな」
「な、なんでだよ」
「これ以上強くはなれなかったとしても、それが鍛錬を止める理由にはならんという事じゃ。強くなれるかどうかと、鍛錬を続けるかどうかは――関係がない」
「え?」
ジョゼフには師匠の言葉が理解できなかった。鍛錬とは、強くなるために行うものだろう。
(強くなれないのに鍛錬をする?意味わかんねえ…)
首を傾げるジョゼフの頭に、師匠はポンと手を乗せた。
「はは、分からんか。まあそれも仕方のない事よ」
そう言うと、ジョゼフから離れて鍛錬を始めた。ジョゼフはそんな師匠の横顔を、不思議そうに見つめ続けていた。
◇
どうしてあの時の事を思い出したのだろう。正直、今思い出してみても師匠の言葉の意味はよく分からない。分からないが――しかし。
「関係がない、か…」
その言葉だけが不思議と耳の奥に残っていた。
(そうだよな、関係ねえんだよな)
ジョゼフが考えたのは、自分の才能についてだ。
自分には特別な才能はないのかもしれない。だが――それと今戦うかどうかは全く関係がない。例えアレクシアのような才能やルカのような情熱がなくとも…出来る事はあるはずだ。
(結局、才能うんぬんなんて言って…俺は、死にたくねえから逃げてる理由を探してるだけじゃねえか)
確かに、死にたくはない。怖い、だが――、
ジョゼフはルカとアレクシアを振り返る。自分の事をリーダーと言ってくれた二人。こんな頼りない自分の事を。
二人を死なせたくはなかった。そして、そのために自分に出来る事があるのなら…、
(戦うしかねえか)
ジョゼフは、二人の元へ走り出した。ゲルトアルヴスと戦うために。
◇
ゲルトアルヴスの足を斬り落としたジョゼフの全身は、恐怖のあまり震えていた。しかし、
(作戦通りだ――)
そう冷静に判断する自分もいた。
ゲルトアルヴスが今まで受けたダメージは、ほぼ全て上半身に固まっている。すなわち下半身はほぼ無傷。ダメージを受け再生する事によってその部位が強固になるというゲルトアルヴスの性質上、下半身は未だ防御力が低いままだと踏んでいたのだ。
無論、与えたダメージはすぐに回復する。だが、問題はなかった。時間を稼ぐことができればいいのだ。後は――、
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二人が止めを刺してくれる。そう信じていた。
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