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ラナキア洞窟-SECRET BOSS-11
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「逃げたものだと思っていましたよ」
ジョゼフに向けられたゲルトアルヴスの声からは怒りが感じ取れる。しかし、静かな声でもあった。彼は慌ててはいない。依然ゲルトアルヴスが有利である事に変わりはないからだ。失われた彼の足は、すぐさま再生を果たす。
「俺も逃げようと思ってたんだけどよ」
そう言って、ジョゼフは引きつった笑みを浮かべる。
ゲルトアルヴスが立ち上がる。しかし、その時にはすでにアレクシアは動き出していた。全身に練気を漲らせ、大きく前へと跳躍する。
(ありがとう、ジョゼフ殿)
ゲルトアルヴスに向かって踏み込みながら、アレクシアはちらりとジョゼフの顔を見る。
彼が稼いだ時間は僅かだった。だが、その僅かが要だったのだ。
ゲルトアルヴスがいつ現れるか分からない状況である以上、その姿を視認するまで練気の集中は行えない。あまりに早くから集中を行っても、継続する事ができないからだ。
かと言って、ゲルトアルヴスが現れたのを確認してから練気の集中を開始すれば当然敵はそれを阻止しようと動くだろう。そこで足止めをする存在…すなわち、ジョゼフが必要不可欠だったのだ。
ルカの立てた作戦は、こうだ。
1.ゲルトアルヴスの存在を確認後、すぐさまアレクシアは練気の集中を開始する。
2.ゲルトアルヴスが攻撃を仕掛けてきた場合はジョゼフが足止めを行う。
3.アレクシアがゲルトアルヴスに最大威力の技を叩き込み、その再生能力を削る。
4.ルカが全魔力を注ぎゲルトアルヴスの核…邪神の牙を破壊する。
ジョゼフが足止めし、アレクシアが削り、ルカが止めを刺す。今の所、この作戦は予定通りに進んでいる。
「■■■――!」
ゲルトアルヴスが何かを唱えた。彼の持つ剣、そこに宿る黒炎が蛇竜の如きとぐろを巻きアレクシアに襲い掛かった。
(遅い――!)
しかし、全身に練気が満ち極限まで身体能力の高められたアレクシアにはその攻撃は遅すぎた。かすりもしない。攻撃を避けつつゲルトアルヴスに近付き、剣を振り下ろす。
ゲルトアルヴスの腕が切断された。
(この攻撃ならば通用する――)
アレクシアはそう確信すると、さらに二撃、三撃、四撃、五撃と攻撃を重ねていく。
(速ええ…)
横で見るジョゼフは、あまりの凄まじさに絶句した。アレクシアの振るう剣はその速さのために一筋の光が走ったようにしか視認する事ができない。そしてその速度は衰える事なく、徐々に速まっていく――。
自身の体に練気を巡らせ、身体能力を高めるアルトゥース流奥伝体技『練気高揚』。
そこからさらに連続での斬撃を繰り出すアルトゥース流奥伝剣技『流星微塵』。
共に練気の消費が激しく、同時に使用するのはアレクシアにとっても始めての事だった。おそらく、この技が終われば体内の練気は空になりしばらくはまともに動くこともできなくなるだろう。
(だが、私が動けずとも…後はルカ君が)
少年を信じ、女剣士は流星の如き剣を振るう。
ジョゼフに向けられたゲルトアルヴスの声からは怒りが感じ取れる。しかし、静かな声でもあった。彼は慌ててはいない。依然ゲルトアルヴスが有利である事に変わりはないからだ。失われた彼の足は、すぐさま再生を果たす。
「俺も逃げようと思ってたんだけどよ」
そう言って、ジョゼフは引きつった笑みを浮かべる。
ゲルトアルヴスが立ち上がる。しかし、その時にはすでにアレクシアは動き出していた。全身に練気を漲らせ、大きく前へと跳躍する。
(ありがとう、ジョゼフ殿)
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彼が稼いだ時間は僅かだった。だが、その僅かが要だったのだ。
ゲルトアルヴスがいつ現れるか分からない状況である以上、その姿を視認するまで練気の集中は行えない。あまりに早くから集中を行っても、継続する事ができないからだ。
かと言って、ゲルトアルヴスが現れたのを確認してから練気の集中を開始すれば当然敵はそれを阻止しようと動くだろう。そこで足止めをする存在…すなわち、ジョゼフが必要不可欠だったのだ。
ルカの立てた作戦は、こうだ。
1.ゲルトアルヴスの存在を確認後、すぐさまアレクシアは練気の集中を開始する。
2.ゲルトアルヴスが攻撃を仕掛けてきた場合はジョゼフが足止めを行う。
3.アレクシアがゲルトアルヴスに最大威力の技を叩き込み、その再生能力を削る。
4.ルカが全魔力を注ぎゲルトアルヴスの核…邪神の牙を破壊する。
ジョゼフが足止めし、アレクシアが削り、ルカが止めを刺す。今の所、この作戦は予定通りに進んでいる。
「■■■――!」
ゲルトアルヴスが何かを唱えた。彼の持つ剣、そこに宿る黒炎が蛇竜の如きとぐろを巻きアレクシアに襲い掛かった。
(遅い――!)
しかし、全身に練気が満ち極限まで身体能力の高められたアレクシアにはその攻撃は遅すぎた。かすりもしない。攻撃を避けつつゲルトアルヴスに近付き、剣を振り下ろす。
ゲルトアルヴスの腕が切断された。
(この攻撃ならば通用する――)
アレクシアはそう確信すると、さらに二撃、三撃、四撃、五撃と攻撃を重ねていく。
(速ええ…)
横で見るジョゼフは、あまりの凄まじさに絶句した。アレクシアの振るう剣はその速さのために一筋の光が走ったようにしか視認する事ができない。そしてその速度は衰える事なく、徐々に速まっていく――。
自身の体に練気を巡らせ、身体能力を高めるアルトゥース流奥伝体技『練気高揚』。
そこからさらに連続での斬撃を繰り出すアルトゥース流奥伝剣技『流星微塵』。
共に練気の消費が激しく、同時に使用するのはアレクシアにとっても始めての事だった。おそらく、この技が終われば体内の練気は空になりしばらくはまともに動くこともできなくなるだろう。
(だが、私が動けずとも…後はルカ君が)
少年を信じ、女剣士は流星の如き剣を振るう。
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