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新たな地へ

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 ルカが国王より表彰を受けてから、1ヶ月が経過した。この一月は、ルカにとって目まぐるしい日々だった。貴族や大商人、シュタインベルグ王国の騎士隊長や宮廷魔術師といった実力者と面会し、互いの情報を交換する。ある意味で、冒険よりも気苦労の多い日々だ。その中で様々な情報を得た訳だが、今後の方針を決める程の大きな情報は得る事が出来なかった。

 シュタインベルグ王国の有力者達と言っても、200年前に活躍したエリュクスや、修道騎士団や冒険者ギルドのトップしか知る事を許されない邪神についての情報を持っている者はほぼ皆無だった。それでも、有力者達が味方についてくれたのは大きいが…今この時にも、エリュクスは邪神復活の準備を進めているのだと思うとやはり何か打つ手が欲しい。

「今以上の情報を得るためには…冒険者ギルド本部か、修道騎士団本部に行くべきかもしれませんね」

 ある日の夕刻。ルカ達一行に与えられた宮廷内の一室で、ルカは一同にそう告げた。一室とは言っても、100人ほどの人間が集ってダンスパーティができそうなほどに広い部屋だ。加えて、それぞれに固有の寝室も与えられており、ルカ達は至れり尽くせりの対応を受けていると言って良い。だが、そんな待遇を受けるためにルカはこの場所にいる訳ではない。邪神復活を阻止する――それが、少年の今の目的だ。

「うぅーん…冒険者ギルド本部に行くってのは、アリかもしれないねぇ。自分もロストアルフェ先輩も長い間本部に顔を出してないからさぁ…この辺りで一度、帰っておくのも手かもねぇ。仕事だって任せっきりだからさぁ」

「そう……?ギルド本部に戻った所で……得るものは少ないと……思うけど。むしろ、邪魔が入るかも……しれない。それと、本部の仕事にしても……ドーイ達に任せておけば……問題ないでしょう…?」

「あははぁ、人使い荒いねぇ、先輩はぁ」

 そんなやり取りを交わすロストアルフェとレーム。彼女達も王都周辺の冒険者ギルド支部に命令を下し独自に調査を進めているが、未だ有力な情報は得られていないようだ。

「それじゃぁ、修道騎士団本部にでも行くかぁい?」

 レームは、椅子に腰掛けるヴェルナーに視線を送った。
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