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5話

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はぁ、今日からまた学校。やっぱり祝日明けってどうにもやる気がでない。
でもまぁ、月曜日もいつもそんな感じなんだけどね。
きゃーひろとくーん!今日もかっこいい!

周りの女子達が騒ぎだした。
ひろと?今日から学校もどれるようになったんだ。
私は安心した気持ちとまた、少しきまずい気持ちもあった。

それにしてもヒロトがいない時の学校は、女子達がヒロト様不足とかなにかでとてつもなく闇のオーラを放っていたのに今ではすごくみんなの目が光り輝いている。

私はそういうのは昔から興味がなかった。
友達や恋人そんなもの私には必要なかった。
でも、ヒロトは違う。友達とか恋人とかじゃないく単純に助けたいという思いしかない。恋愛感情?そんなのあるわけないじゃん。
ほかの女子に殺されるのも嫌だし(汗

今日は席替え……その結果がまさかのヒロトと隣だった。
「よ、よろしくね、ヒロトくん」
一応って感じで私はあいさつしてみた。無視されるのを覚悟で
「おう、よろしくな」
あれ?意外と普通に対応してくれた。
前のことはあまり気にしてないのかな?いやそんなはずない。あれは2人だけの秘密だから今はこう接してくれてるに違いない。 

私はヒロトと普通に会話をした。
怪我はしっかり治ったのか、部活は出来そうなのか。
そう話しているうちにだんだんと気持ちが軽くなっていった。

いやーそれにしてもまわりの女子達の目が鋭い。

「今日の放課後病院に行くけどお前も来るか?いろいろと聞きたいこともあるしな。」

いろいろ聞きたいこと?もしかしてその時に全部言うのかな(汗
もう俺と関わるなとか……。

私は少し警戒しながらわかったと言った。


「はぁ、終わったな。よし帰ろ」

「う、うん」

ヒロトくんのさわやかスマイルが今の私にとってはすごく恐ろしく感じる。

えっ、ヒロトくん付き合ってるの!?私たちの王子なのにー!!
と、周りがざわめいている。
いろいろとめんどくさい事が今後おきそうだ…。

私は無視してヒロトくんに聞いた。
聞きたいことはなにか。
「お前、なんでおれが親を殺したって言ったんだ?…」

私は戸惑った。本当のことを言いたいけど、信じてもらえないかもしれないから。
でも、言わないと。
私はカバンからあの本を取り出した。

「これ、、図書館で見つけたの。あらすじを見てほしいの」

「本?わかった。」
ヒロトはその本に書かれてるあらすじを読んだ。
周りから批判されるということは〈まだ〉なのかもしれないけど。。。

「俺に似てるけど。でも、この本の主人公が親を殺したからってなんで俺にそう言ったんだよ。」

ヒロト…少しキレてる…でも無理もないよね。

「まだあるの。その本の中に紙切れが入っててね」

「紙切れ?本当だ。」

────これは7年前に起きた本当の話。

ヒロトは何も言わなかった。こんなのお前が書いたものだろとかも…。

「この字どこかで見た事ある……。」

え?どういうこと?
つまり、ヒロトの知り合いが書いたってことなのかな…!?
それだとやっぱり……この話って……。

私は自然と涙が出た。やっぱり本当だったんだ。

「ひかり?なんで泣いてるんだ」

「ごめん…ね…なんか悲しくなって。ヒロトがこんなにも苦しんでるのに…。」

「……っ。お前は何も悪くないから」

外だから少し泣いている姿が恥ずかしかった。それを分かってくれたのかヒロトは私をそっと抱きしめてくれた。
私はそこがとても心地よかった。
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