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1章 イグニドル
9話 『大群』
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俺たちはギルド協会の指示でこの街、イグニドルの正門へ向かった。
向かう途中のそこには、いつもあるはずの活気は完全に失われていた。
あるのは冒険者の焦りだけ。
そのことから俺は良からぬことが起きていると察した。
そして、俺は正門へ到着した。
そこには、今までこんなに冒険者がいたかと驚くほど、数がいた。
俺は人混みを駆け抜けながら前へと進む。
そこにいたのは信じられない数の奴らだった。
俺が出会ってきたモンスターは前の勇者生活と合わせて、大分いる。
しかし、その中で最もと言ってもいいほど苦戦した敵。
それが今、俺の目の前にいた。
そいつらのことを我々は『ゾンビ』と呼んでいる。
奴らの特徴は知っての通り、弱点を狙わない限り、倒すことが出来ないというもの。
そして、弱点を見つけ、正確にそのポイントを狙うのはさらに、至難の技なのだ。
ゾンビにはもっと厄介なことがある。
それは、ゾンビ、一体一体弱点が異なるということ。
同じ場所ならば前に戦ったことのある俺は有利に働くだろう。
しかし、全員の弱点が違う。
そして、一番の問題点は数にある。
俺が見えるだけでも100体は超えている。
この数のモンスターと戦ったことはまず、ない。
初級モンスターであってもそんなことは中々、ないのだ。
冒険者はゾンビに対する強さというよりも数に圧倒されている恐怖心の方が強かった。
俺は辺りを見渡す。
そこにはさっきまで一緒だったはずのステラの姿がない。
俺は人混みの中、大声で叫ぶ。
「ステラっー!」
今のステラの力では一人は危険すぎる。
俺は一生懸命呼ぶ。
しかし、一向に返事は返ってこない。
俺は少しだけ焦りを感じていた。
ゾンビは一定のリズムに合わせて徐々にこっちに迫ってきている。
俺はステラのことを一旦、置いておき、この状況を打破する方法を考える。
しかし、どうもこの状況はおかしい。
ゾンビというのはそう簡単に、そして、勝手に動き出すものではない。
というか、ゾンビというのは我々がつけただけであって、本当の名前ではない。
墓守という職業を知っているだろうか。
ゾンビの役割はどちらかといえば墓守に近いかもしれない。
墓を守る死者。
それが本来のゾンビに与えられたこの世界の使命なのだ。
墓に勝手に入ったりすると、動き出すこともある。
しかし、こうも勝手にイグニドルの街を攻めに来るとは考えにくい。
だとしたら、どうしてだ?
俺は頭の中を精一杯回転させ、考える。
「……まさか」
そこで、俺はある一つの仮定を生み出した。
それは、この世界では『禁術』と呼ばれる絶対に犯してはいけない魔法。
コントロール魔法。
その魔法は人の魔力を勝手に操作してしまうというもの。
禁術と呼ばれるだけあって最強な能力だ。
しかし、こういったチート能力にも条件やペナルティーは存在する。
普通の魔法だったら魔力の消費などなのだが、この禁術は以上に危険なものだ。
そして、禁術にもたくさんの種類がある。
このコントロール魔法がどんなペナルティーかは俺は分からないが、相当なものだろう。
俺は一番前まで出ると目の前一帯を見渡す。
こういった強力な魔法を使う場合、術者が必ず近くにいる。
それは、さっきも言ったペナルティーをできる限り、減らすためだ。
俺はこの元凶の存在を気を張りながら探している。
そこで、俺はあることに気がつく。
今まで、俺はゾンビ側の辺りしか探していなかった。
しかし、それだと相手にとってもいかにも見つけて欲しいと言ってるに等しい。
だとすると、相手はゾンビ側にはいないだろう。
だとすると、どこにいる?
頭を再度、フル回転させ、考える。
そこであることに行き着く。
「なるほど……この冒険者に犯人がいる、ということになるのか」
相手側にいないなら、こっち側にいる。
俺はそう考えたのだ。
しかし、それを探すのは至難の技だ。
相手が人間じゃなければ、はっきりと分かったものの、相手は人間。
どこで、どうやって魔法をかけているのか俺に調べる術はなかった。
だからと言って、諦めるというのは俺の性分に合わない。
見つけたい、その気持ちが俺には強くあった。
一定のスピードで迫ってきているゾンビ。
だからこそ、考える時間が少しだけ与えられている。
俺はこの少しだけだけど確実にある時間使い、考えた。
この状況を打破する方法を。
俺の能力ではこの数を相手にするのは無理に決まっている。
しかし、考えても一向に答えが出ない。
俺一人ではこれ以上は無理みたい。
「戦う……しか、ないか」
俺はボソリと呟く。
これまで、色々と考えてきたが、いい案は浮かばなかった。
俺たちに残された方法はあのゾンビたちを蹴散らすことだけだった。
「そ、そうだそうだ」
「そうだとも。ここで殺られるわけにはいかねーよな」
全員が俺の小言に頷き、言葉を発した。
どういうわけだが、勇者でもない俺の言葉をみんなはすんなりと受け入れていた。
「じゃあ、行くかっ」
『おー!』
結局俺が仕切ることになってしまった。
倒せば、黒幕が出てくる。
俺たちはそう信じて、ゾンビたちに向かっていった。
向かう途中のそこには、いつもあるはずの活気は完全に失われていた。
あるのは冒険者の焦りだけ。
そのことから俺は良からぬことが起きていると察した。
そして、俺は正門へ到着した。
そこには、今までこんなに冒険者がいたかと驚くほど、数がいた。
俺は人混みを駆け抜けながら前へと進む。
そこにいたのは信じられない数の奴らだった。
俺が出会ってきたモンスターは前の勇者生活と合わせて、大分いる。
しかし、その中で最もと言ってもいいほど苦戦した敵。
それが今、俺の目の前にいた。
そいつらのことを我々は『ゾンビ』と呼んでいる。
奴らの特徴は知っての通り、弱点を狙わない限り、倒すことが出来ないというもの。
そして、弱点を見つけ、正確にそのポイントを狙うのはさらに、至難の技なのだ。
ゾンビにはもっと厄介なことがある。
それは、ゾンビ、一体一体弱点が異なるということ。
同じ場所ならば前に戦ったことのある俺は有利に働くだろう。
しかし、全員の弱点が違う。
そして、一番の問題点は数にある。
俺が見えるだけでも100体は超えている。
この数のモンスターと戦ったことはまず、ない。
初級モンスターであってもそんなことは中々、ないのだ。
冒険者はゾンビに対する強さというよりも数に圧倒されている恐怖心の方が強かった。
俺は辺りを見渡す。
そこにはさっきまで一緒だったはずのステラの姿がない。
俺は人混みの中、大声で叫ぶ。
「ステラっー!」
今のステラの力では一人は危険すぎる。
俺は一生懸命呼ぶ。
しかし、一向に返事は返ってこない。
俺は少しだけ焦りを感じていた。
ゾンビは一定のリズムに合わせて徐々にこっちに迫ってきている。
俺はステラのことを一旦、置いておき、この状況を打破する方法を考える。
しかし、どうもこの状況はおかしい。
ゾンビというのはそう簡単に、そして、勝手に動き出すものではない。
というか、ゾンビというのは我々がつけただけであって、本当の名前ではない。
墓守という職業を知っているだろうか。
ゾンビの役割はどちらかといえば墓守に近いかもしれない。
墓を守る死者。
それが本来のゾンビに与えられたこの世界の使命なのだ。
墓に勝手に入ったりすると、動き出すこともある。
しかし、こうも勝手にイグニドルの街を攻めに来るとは考えにくい。
だとしたら、どうしてだ?
俺は頭の中を精一杯回転させ、考える。
「……まさか」
そこで、俺はある一つの仮定を生み出した。
それは、この世界では『禁術』と呼ばれる絶対に犯してはいけない魔法。
コントロール魔法。
その魔法は人の魔力を勝手に操作してしまうというもの。
禁術と呼ばれるだけあって最強な能力だ。
しかし、こういったチート能力にも条件やペナルティーは存在する。
普通の魔法だったら魔力の消費などなのだが、この禁術は以上に危険なものだ。
そして、禁術にもたくさんの種類がある。
このコントロール魔法がどんなペナルティーかは俺は分からないが、相当なものだろう。
俺は一番前まで出ると目の前一帯を見渡す。
こういった強力な魔法を使う場合、術者が必ず近くにいる。
それは、さっきも言ったペナルティーをできる限り、減らすためだ。
俺はこの元凶の存在を気を張りながら探している。
そこで、俺はあることに気がつく。
今まで、俺はゾンビ側の辺りしか探していなかった。
しかし、それだと相手にとってもいかにも見つけて欲しいと言ってるに等しい。
だとすると、相手はゾンビ側にはいないだろう。
だとすると、どこにいる?
頭を再度、フル回転させ、考える。
そこであることに行き着く。
「なるほど……この冒険者に犯人がいる、ということになるのか」
相手側にいないなら、こっち側にいる。
俺はそう考えたのだ。
しかし、それを探すのは至難の技だ。
相手が人間じゃなければ、はっきりと分かったものの、相手は人間。
どこで、どうやって魔法をかけているのか俺に調べる術はなかった。
だからと言って、諦めるというのは俺の性分に合わない。
見つけたい、その気持ちが俺には強くあった。
一定のスピードで迫ってきているゾンビ。
だからこそ、考える時間が少しだけ与えられている。
俺はこの少しだけだけど確実にある時間使い、考えた。
この状況を打破する方法を。
俺の能力ではこの数を相手にするのは無理に決まっている。
しかし、考えても一向に答えが出ない。
俺一人ではこれ以上は無理みたい。
「戦う……しか、ないか」
俺はボソリと呟く。
これまで、色々と考えてきたが、いい案は浮かばなかった。
俺たちに残された方法はあのゾンビたちを蹴散らすことだけだった。
「そ、そうだそうだ」
「そうだとも。ここで殺られるわけにはいかねーよな」
全員が俺の小言に頷き、言葉を発した。
どういうわけだが、勇者でもない俺の言葉をみんなはすんなりと受け入れていた。
「じゃあ、行くかっ」
『おー!』
結局俺が仕切ることになってしまった。
倒せば、黒幕が出てくる。
俺たちはそう信じて、ゾンビたちに向かっていった。
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