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1章 学園1
05 化け物襲来
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俺たちはスクールバッグをバスに置いておき、戦場へと向かった。実際、場所などは見当がついていた。
ここを通っていた普通のスクールバスにまで速報が来るくらいだ。ここから10キロの範囲には確実にいるはず。そして、犯人の心理を察するに人か少ない場所は狙わないだろう。
そのような推測から俺たちはこの近くにあるこの国一の大きな動物園に向かった。俺たちの推測は的中していたらしくその動物園はパニックに陥っていた。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。あなたたちも逃げた方がいいです。あいつらは普通の魔術師では太刀打ちできません」
「どういうことですか?」
「あれは………正真正銘、化け物です」
俺たちはものすごい勢いで逃げていたこの動物園の係員であろう女性にこの場の状況を一通り聞いた。
その女性は恐ろしさのあまりほとんど情報はなかったが、ただ事ではないという雰囲気だけは伝わってきた。
女性は俺の質問に答えるとまた、走って逃げていった。俺たちは人を避け、前に進んでいく。
そこで俺たちの見たものは信じられないことだった。
「な、何だ……これは」
「ナツさん。これは、どういうことですか?」
「あの人が化け物って言っていた意味がようやくわかった」
「た、確かに……あれは、化け物そのものですね」
この動物園を襲っていたのは人間ではなかった。それは、別に比喩とかそんなことではない。正真正銘、人間ではない。
あるところでは可愛いはずのパンダが人を襲い、あるところでは昼間だというのにコウモリが空を舞っていた。この状況は普通ではない。そこで俺はあることに気がつく。
「……こいつら、操られているのか?」
「えっ!コントロールですか?」
「あぁ……それだけじゃない」
「ど、どういうことですか?」
「これは、恐らく……禁術の一種だろう」
「き、禁術って……あのですか?」
この世界にある魔法という力は別に万能ではない。レーナの言った通り物を操る魔法は最上級レベルになれば使えるだろう。
しかし、感情というのはそこまで甘くない。その感情は人のみを表しているわけではない。人間以外の動物であっても感情は存在する。それをコントロールするのは不可能に近い。
それを可能にする魔法が世界に5つだけ存在する。それが『禁術』と呼ぶのだが、その中の一つに感情すらもコントロールする魔法がある。
しかし、それは都市伝説でしかない。そう世の中には伝えられている。だが、俺は禁術というものが実際あることを知っている。レーナも予想通りの反応だ。
「あぁ……この魔法は危険すぎる」
「でも……ナツさん」
「何?」
「どうしてそういう魔法が禁止されてるんですか?」
「まぁ……危険な魔法ということが前提だな」
「どういうことですか?」
俺のことをまじまじと見てるレーナ。俺は誤魔化しきれないと考え、正直にその『理由』を話すことにした。
「さっきも言った通り、禁術には5つの種類がある」
「はい……」
「そのどれもが危険かつ、凶悪なものなんだ。普通に使うには大して問題ないとしてもその5つ全てがもし、凶悪人物に使われてしまえば世界は絶滅してしまうと考えられたんだな」
「な、なるほど……だからそれ自体を禁止することにしたんですね」
「まぁ、だからこそ魔術師というものがこの世界にできたんだがな」
「そ、そういうことだったんですか」
「あぁ……所詮、魔術師はこの国の狗でしかないからな」
「そ、それは……なんとなくわかります」
そして、俺たちは再度人間たちを襲っている動物たちを見る。その目には理性を失っているように見える。
そして、もうこのあたりにいた人間たちは逃げたようで動物たちは何に攻撃することもなく暴れていた。
「はぁ……ここまできたんだ。戦うしかねーか」
「はい。行きましょう」
「もうどうにでもなれっ!」
俺たちは走って動物たちの方へ走って向かった。そこで、俺たちは大事なことに気がついた。それは、
「おいっ、レーナ。俺、武器持ってねーぞ」
「わ、私は持ってます」
「………俺戦えねーし、来た意味なくね?」
「も、持っているかと思ってました」
「俺たちは明日から学園生活始まるんだぜ。持ってるわけないだろ」
「でも……それにしては、いろいろと詳しかったような」
「それは………」
俺は目をそらして誤魔化した。レーナは「まぁ、今は戦うしかないみたいですし」と言った。俺は助かったと安堵した。
「じゃあ、見ててください。私の勇姿を」
「お、おいっ!待てって」
レーナは走った。そして、レーナの目の前には大きい目を光らせたパンダが立っている。パンダも、可愛いといってもクマの仲間だ。その姿はまさしくクマそのままだった。
「武器展開。【グングニル】」
すると、手は輝き、その輝きが消えると槍を握っていた。その槍は鋭く、凄まじい魔力があることに俺は気がついていた。レーナの実力の一部を垣間見た気がした。
「私は戦うために魔術師を目指しているのですから」
レーナのその言葉にはこんな辺鄙な場所だからというだけではない魔術師になった本当の理由があるような気がしてならなかった。
ここを通っていた普通のスクールバスにまで速報が来るくらいだ。ここから10キロの範囲には確実にいるはず。そして、犯人の心理を察するに人か少ない場所は狙わないだろう。
そのような推測から俺たちはこの近くにあるこの国一の大きな動物園に向かった。俺たちの推測は的中していたらしくその動物園はパニックに陥っていた。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。あなたたちも逃げた方がいいです。あいつらは普通の魔術師では太刀打ちできません」
「どういうことですか?」
「あれは………正真正銘、化け物です」
俺たちはものすごい勢いで逃げていたこの動物園の係員であろう女性にこの場の状況を一通り聞いた。
その女性は恐ろしさのあまりほとんど情報はなかったが、ただ事ではないという雰囲気だけは伝わってきた。
女性は俺の質問に答えるとまた、走って逃げていった。俺たちは人を避け、前に進んでいく。
そこで俺たちの見たものは信じられないことだった。
「な、何だ……これは」
「ナツさん。これは、どういうことですか?」
「あの人が化け物って言っていた意味がようやくわかった」
「た、確かに……あれは、化け物そのものですね」
この動物園を襲っていたのは人間ではなかった。それは、別に比喩とかそんなことではない。正真正銘、人間ではない。
あるところでは可愛いはずのパンダが人を襲い、あるところでは昼間だというのにコウモリが空を舞っていた。この状況は普通ではない。そこで俺はあることに気がつく。
「……こいつら、操られているのか?」
「えっ!コントロールですか?」
「あぁ……それだけじゃない」
「ど、どういうことですか?」
「これは、恐らく……禁術の一種だろう」
「き、禁術って……あのですか?」
この世界にある魔法という力は別に万能ではない。レーナの言った通り物を操る魔法は最上級レベルになれば使えるだろう。
しかし、感情というのはそこまで甘くない。その感情は人のみを表しているわけではない。人間以外の動物であっても感情は存在する。それをコントロールするのは不可能に近い。
それを可能にする魔法が世界に5つだけ存在する。それが『禁術』と呼ぶのだが、その中の一つに感情すらもコントロールする魔法がある。
しかし、それは都市伝説でしかない。そう世の中には伝えられている。だが、俺は禁術というものが実際あることを知っている。レーナも予想通りの反応だ。
「あぁ……この魔法は危険すぎる」
「でも……ナツさん」
「何?」
「どうしてそういう魔法が禁止されてるんですか?」
「まぁ……危険な魔法ということが前提だな」
「どういうことですか?」
俺のことをまじまじと見てるレーナ。俺は誤魔化しきれないと考え、正直にその『理由』を話すことにした。
「さっきも言った通り、禁術には5つの種類がある」
「はい……」
「そのどれもが危険かつ、凶悪なものなんだ。普通に使うには大して問題ないとしてもその5つ全てがもし、凶悪人物に使われてしまえば世界は絶滅してしまうと考えられたんだな」
「な、なるほど……だからそれ自体を禁止することにしたんですね」
「まぁ、だからこそ魔術師というものがこの世界にできたんだがな」
「そ、そういうことだったんですか」
「あぁ……所詮、魔術師はこの国の狗でしかないからな」
「そ、それは……なんとなくわかります」
そして、俺たちは再度人間たちを襲っている動物たちを見る。その目には理性を失っているように見える。
そして、もうこのあたりにいた人間たちは逃げたようで動物たちは何に攻撃することもなく暴れていた。
「はぁ……ここまできたんだ。戦うしかねーか」
「はい。行きましょう」
「もうどうにでもなれっ!」
俺たちは走って動物たちの方へ走って向かった。そこで、俺たちは大事なことに気がついた。それは、
「おいっ、レーナ。俺、武器持ってねーぞ」
「わ、私は持ってます」
「………俺戦えねーし、来た意味なくね?」
「も、持っているかと思ってました」
「俺たちは明日から学園生活始まるんだぜ。持ってるわけないだろ」
「でも……それにしては、いろいろと詳しかったような」
「それは………」
俺は目をそらして誤魔化した。レーナは「まぁ、今は戦うしかないみたいですし」と言った。俺は助かったと安堵した。
「じゃあ、見ててください。私の勇姿を」
「お、おいっ!待てって」
レーナは走った。そして、レーナの目の前には大きい目を光らせたパンダが立っている。パンダも、可愛いといってもクマの仲間だ。その姿はまさしくクマそのままだった。
「武器展開。【グングニル】」
すると、手は輝き、その輝きが消えると槍を握っていた。その槍は鋭く、凄まじい魔力があることに俺は気がついていた。レーナの実力の一部を垣間見た気がした。
「私は戦うために魔術師を目指しているのですから」
レーナのその言葉にはこんな辺鄙な場所だからというだけではない魔術師になった本当の理由があるような気がしてならなかった。
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