最強の魔術師と最悪の召喚魔

ノイ

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1章 学園1

07 再開

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俺は連れて行かれ、リズ・マクラウドはある部屋に止まった。その部屋には『学園長室』というプレートが貼られている。彼女はその部屋に優しくコンコンコンとノックをした。すると、中から

「入っていいぞ」

「はい。失礼いたします」

中からは女性の声が聞こえてきた。彼女はゆっくりとドアを開いた。中はさすが学園長室と言えるほど広く、整頓されていた。
俺は彼女に押されながら中に入っていく。俺が今、一番会いたくなかった人物がそこにはいた。赤髪の赤目。それは、まさしく烈火の炎のよう。俺はその女性と目があって挨拶をする。

「お久しぶりです。ローザさん」

「やっぱり、お前か……ナツ」

「あの……学園長とこの人は知り合いなのですか?」

 「なんだ?お前は知らんのか?」

「何をでしょうか?」

「私の家族だよ」

「家族?」

「まぁ、血は繋がってないけど」

「どういうことでしょうか?」

「昔な、路頭に迷ったこいつを引き取ったのは私の妹だよ」

「……そういうことですか」

納得はしたらしいリズ・マクラウド。しかし、それとこれとは別だとでも言いたいように彼女は話を変える。

「しかし……それと、これは違います。学園長の身内であろうと犯罪は犯罪です」

「まぁ………そうだ。だが、こいつは魔法を使ってないんだよ?」

「そ、それは……」

ローザさんと話をしているリズ・マクラウド。この学園ではローザさんの言葉は絶対。それに意見を出来る人も数少ない。となると、このリズ・マクラウドはそれなりに位が高いということになるのだろう。
話が統一されない二人。すると、俺たちの後ろにあるドアからコンコンコンというノック音が聞こえてくる。

「入っていいぞ」

「はい、失礼いたします」

ローザさんはリズ・マクラウドの話を中断させ、ドアの向こう側に呼びかける。すると、ドアはゆっくりと開かれて中からは2人の女性が出てくる。
1人はレーナ。もう一人はリズ・マクラウドと一緒にいたこの学園の制服を着た女性だった。

「学園長。レーナ・ハーヴェイを連れてきました」

「あぁ……ご苦労だったな。では、揃ったからこれから話をしようか。いいな?リズ」

「は、はい………」

そして、リズ・マクラウドとローザさんとの話し合いが始まった。

「ナツは魔法を使っていない。それは理解してるな?」

「はい……」

「じゃあ、処分をする必要性がないのもわかっているな?」

「そ、それは………」

「まぁ、いい。ナツの話は後に置いておこう。まずは魔法を使い、違反を起こしたそこのレーナの話をしようじゃないか」

「は、はい」

リズ・マクラウドはそれに反論することはなく素直に引き下がった。そして、レーナの話をし始める。その話を聞いて俺は唖然とする。

「この学園のルールは知っているな?」

「は、はい。一応、全て頭に入っています」

「真面目でよろしい。この学園の生徒は戦いを持って制すだろう?」

「そ、それは……そうですが、彼女たちはまだ厳密にはこの学園の生徒ではありません」

「そうか……お前は私に逆らうというのか」

「い、いえ……そういうわけでは」

「リンにでも言っておこうかな」

リズ・マクラウドはそう言われる青ざめたような表情をする。最初の方はこの学園のルールとか言ってたわりには最終的には学園長権限で捻じ曲げているような気がする。流石……ズルいところはリリさんと同じだ。
そして、リンという名前にも俺は聞き覚えがあった。俺は最年少で魔術師の免許を取った。そして、あの時は騒がれもしたものだ。しかし、そのあと、俺と同じように最年少で取った人物がいる。

「リンも……この学園にいるんですか?」

「あぁ……あいつ、言ってなかったの?」

「はい………」

俺がリンの名前を出すとリズ・マクラウドは俺の方を睨んでくる。そして、

「リンさんの悪口はやめてください」

「悪口なんて言ってねーけど」

「ど、どうして……あなたはそんなに知り合いが多いんですかっ!」

「どうしてって……言われてもなぁ」

「もう………分かりましたっ!私が勝負すればいいんですね。そこのレーナさんと」

「まぁ………そうなるとは思うが、お前らには団体戦を受けてもらうことにする」

「「「えっ!」」」

俺たちは驚く。というか、ローザさんが俺を強引に勝負に巻き込んだことに俺は驚いた。団体戦とは、数人対数人で魔法勝負を繰り広げるということなのだが、俺たちには不利な点がある。それは、

「ローザさん。俺を巻き込むのは別にいいんですが、レーナと出会ってまだ、数時間しか経ってないんですよ?」

「それがどうした?」

「団体戦ってチームワークが大切じゃないですか。あっちの方が有利に決まってます」

「はぁ……いちいち、うるさいな。そうは言ってもリズが彼女について行ければの問題だがな」

「それは……一体?」

すると、またしてもドアからはコンコンコンというノック音が聞こえてくる。俺たちは一斉にそっちの方へ振り向く。

「入っていいぞ」

「はい。失礼します」

ドアはゆっくりと開かれて外からは白い髪の少女が顔をのぞかせた。彼女は無表情だった。

「リン。お前、この団体戦に入れ」

「私が?何故でしょうか………っ!」

リンは俺を見て驚いているようだった。

「兄さま………」

「リン………」

俺とリンは別に絶縁状態だったわけではない。しかし、俺は自分でリンと会わす顔がないと思い、田舎に隠れ住んでいたそれだけだった。そして、リンは

「分かりました。そういうことならお受けします」

俺とリンの問題とレーナの問題が合わさってどんどん話は大きくなりつつあった。
はぁ……やるしかないってことか。
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