最強の魔術師と最悪の召喚魔

ノイ

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2章 教育

20 決戦への準備

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「何をしている?」

「てめー、何者だ」

オルガの喉元には一本のナイフが突きつけられている。そして、俺は睨みを利かしている。俺は怒りという感情が久しぶりに表へと出ている。俺の素早い動きに驚いていたオルガも俺を睨んでいる。

「俺?俺は昨日から補習室で担任をしているナツ・ヴァーンという」

「補習室の担任か?ふっ、教師が本当に生徒に向かって刃物を突きつけていいと思ってるのか?」

「いいんじゃね?俺は補習室の担任だ。そんなことくらいに気にしねーよ」

「はっ、生徒もクズだと思ったら担任もクズだったとはな」

「そうか?」

「それでも学園にはルールがある。お前がクビ切られるのもそのうちだな」

「どうだろうな。俺は免許も持っていない教師だ。というか、俺は高校生だ。この学園は一貫教育なんだよ。別に生徒が生徒に向かって刃物を突きつけていても問題ないだろ?」

「クズがっ!わかった。それなら俺と決闘をしろ」

「なるほどな……分かったよ。ケンカを売る奴は叩きのめす」

俺がオルガの決闘を受けている間に俺たちの周りには人だかりが出来ている。

「はぁ……分かったよ。俺もこのままでは終われないしな。決闘を受けてやるよ。だが、覚悟をしてろよ。俺は手加減をしない」

「へっ、ほざいてろ」

そんな話をしていると遠くから声が聞こえてくる。

「何をしてるっ、お前らは授業に戻りなさい」

その声が聞こえるとともにそこら辺にいた生徒たちは自分がいるべきところへ戻っていった。そして、道ができた。ゆっくりと俺たちの方へその人はやってくる。

「せ、先生っ」

「お、お前は…………」

その人物はオルガの担任の先生だった。爽やかな先生だが、その裏には何を考えているか分からないような不気味さが備わっていた。魔力の量も相当。流石、エリートクラスの先生だと言える。

「おやおや、ナツ先生。どうかしましたか?」

「どうかしたか………よくそんなことが言えるなエル」

「お久しぶりです。ナツさん。で、どうかしましたか?」

「同じことを繰り返しているが、お前だってわかっているんだろ?」

「何をでしょうか?」

「何を………じゃねーだろ。止めに入らずにずっと見てやがって」

「ハハハ。バレていましたか。この決闘受けたのは意外でしたよ。争いごとが嫌いなあなたが」

「まぁな。俺も意外だよ。だが、俺は高校生であってもあいつらの担任だからな」

「腑抜けになったかと思いましたが、安心しました」

「そうか?それはよかったな」

「では、日程を決めましょうか。俺が審判として入ります。いいですね?」

「まぁ、いい。だが、普通の決闘は3審制じゃなかったっけ?」

「そうですね………俺もあと一人は用意できてももう一人が厳しいですかね」

「そうか。それなら、俺が手配するよ」

「では、お願いします」

そして、日程が決まった。日程は明日の10時からということになった。俺は

「お前ら、今日は一旦教室で授業を行うことにする」

「「「は、はい」」」

俺たちは教室に戻る。そして、3人の少女たちを席に着かせる。すると、その中の一人が申し訳なさそうに言い始める。

「す、すいません」

「………?何で謝ってるんだ?」

「いや………だって、巻き込んでしまったので」

「何言ってる、俺が自ら巻き込まれに行ったんだろ?」

「ですが………」

「まぁ、そんなことより、あのオルガっていうやつの情報を何かくれないか?」

「は、はい」

そうして、その少女は話し始める。オルガはエリートクラスの中でも特に気性が荒い性格なのだという。近距離戦を得意とし、威力だけならエリートクラスの中でもトップクラスなのだという。

「それよりも………オルガ先輩は夏の選抜に選ばれているのです」

「夏の選抜か………もうそんな季節か。なるほどな、相当な実力みたいだな」

「はい。優勝候補になっているんです」

「ほぉ………あいつがね、頭を使わないただの筋力バカだと思っていたけど違うんだな」

「は、はい。あのとき、そんなこと思っていたんですか?」

「まぁな。それより、武器は何なんだ?」

「それが……………」

3人は俺にあらゆる情報を教えてくれた。しかし、あいつがどんな武器を使っているのかは見たことないらしい。どんなに威力のある拳でも強さには限度がある。中学生にはそれほどの使い手がいないということなのか?

「そうか………じゃあ、本当に近距離戦が得意なのかも危ういということか」

「そうなりますね………すいません」

「だから、何で謝るんだよ。俺が負けるとでも思っているということか………はぁ、生徒たちにそう思われているとはな」

「……」

「冗談だよ」

俺は3人に向かって笑った。3人もそれにつられて笑う。オルガは強いかもしれない。そして、どんなに強いのかは俺には分からない。だが、俺はもう負けないと決意した。あのときのことをまた、繰り返さないためにも。
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