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2章 教育
19 トラブル
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「えー。では、これより、授業を始めます。まぁ、俺はそこまで筆記は教えないけどな」
「どういうことですか?」
「そうだな。まぁ、言っておこう。俺ははっきり言って筆記はいらないと考えている。それはなーーー」
俺はそれについての自分の意見を説明し始める。この世界では実力が全て。どんなに筆記が出来ても実技が出来なかったらそれは差別の対象でしかない。だからこそ、このクラスをなくさないためには試合に勝たなければならない。
3人の俺の生徒たちは「なるほど」と頷いている。
「分かったか?」
「「「はい」」」
「じゃあ、実技室にでも行くか?」
「それなんですが………」
その中の少女の一人が申し訳なさそうに説明する。その少女が言うにはこのクラスには実技室を使用する権利すらも貰えていないのだという。俺がここにいた時も差別はあった。しかし、それでもその権利くらいは得ていた。
「なるほどな……じゃあ、少し遠いけど高等部のを使うか」
「え………いいんですか?許可が必要なんでは」
「そうだな、じゃあ、電話してくるから少し待ってろ」
「だ、誰にですか?」
「誰って………ローザ学園長以外に誰がいるんだ?」
「直接なんですか?あなたは……何者」
「じゃあ、言ってくるから少し待ってろよ」
「「「はい……」」」
俺はそのクラスを出る。そして、ズボンのポケットから俺の携帯電話を取り出す。そして、連絡先を選択してローザさんに電話をかける。プルプルと2回鳴ったところで「もしもし」という声が電話の奥から聞こえてきた。
「もしもし、ローザさん?」
「ナツくん、どうしたの?」
「いや……高等部の実技室を使いたいんだけど」
「あぁ……あのクラスは使用権がないんだっけ?」
「そうそう、ローザさんに中等部のことは頼めないし高等部のを貸して欲しいんだけど」
「まぁ、いいけど。立会人がいないとな」
「あぁ……そうか。じゃあ、レイラさんを立会人にしてくれないか?」
「………レイラ・グラーニンのことか?」
「そうですけど」
「なるほどね………着替えをしてもらって結構、仲良くなったみたいで」
「いやいや、俺の知り合いで頼める人がローザさん以外にいなかったっていうだけだよ」
「まぁ………いいけど。間違いを起こすなよ。中学生にもレイラにも」
「んなわけあるかっ!じゃあ、頼んだよ。今から行くから」
「あぁ……分かった。手配しておく」
「じゃあ」
俺は電話を切ってポケットに携帯電話を入れた。そして、俺は教室に戻る。
「許可取れたから行くか」
「も、もう……ですか?」
「あぁ……立会人はちゃんとしているから」
俺たちは教室から出てから向かおうとする。しかし、俺は忘れ物を思い出したかのように3人の少女たちに言う。
「すまん。先に行っててくれ。少し用事を思い出した」
「は、はい。用事って何ですか?」
「まぁ、俺も一応雇われ教師だからな。それなりのことはしとかないといけないんだよ」
「へぇ………教師って大変なんですね」
「まぁ、新米だからな。気をつけて行けよ」
「大丈夫ですよ。行くって言ってもこの学園の敷地内ですから」
「そうか?でも、お前らは立場が少し違う」
「大丈夫ですよ」
「そうか、じゃあな」
俺は生徒たちとは逆方面、職員室方面に向かう。そして、俺は小声で、
「はぁ……それがあぶねーって言ってんだよ」
この学園の敷地面積は国内一で、しかも、世界でも上位に位置している。ここのクラスとは違い、エリートと呼ばれている人たちが多くいる。その中には残念なことに差別意識を持っている人もいるのが現状だ。そして、俺は歩き始めた。
###
「ナツ先生って何考えているか分からないね」
「だね………筆記はほとんどしないって言ったってテストがあるのにどうするのかね?」
「さぁ………考えがあるんじゃない?」
「そうかなぁ………」
この3人はとても仲良しだ。補習室という境遇なのにいつも明るく振る舞っている。しかし、ナツ・ヴァーンという未知の先生がやってきてこの3人は動揺を隠せない。
そして、この3人がこの補習室にいる理由の一つがもうすでにここに出ていた。勝ったことがないという理由には注意力が足りないなどがある。この時もそうだ。
3人で歩きながら話し込んでいるとドスンという音とともに嫌な気配だけが漂ってきた。3人とは比べ物にならないほど大きな魔力の量。3人は思わず後ろに一歩、後ずさる。
「何だてめーら。いてーじゃねーか」
「ひっ…………オルガ先輩」
「はっ、補習室の連中じゃねーか。お前らは誰にぶつかってんだ?」
「す、すいません。私たちの注意力が足りませんでした」
「へぇ………それだけで許されるとでも?この学園では強い方が優遇されるのはお前らも知っているよな?」
「も、もちろんです」
「じゃあ、ここで何やられても文句を言えないよな?」
「え………っ、」
オルガ先輩は拳を振り上げ、殴りかかろうとした。その拳には多くの魔力が注ぎ込まれている。もし、直撃したら相当なダメージを与えること間違いない。
頭ではそれが完璧に分かっている。しかし、それに身体はついていかない。恐ろしい状況に直面した3人は目を瞑る。その時だった。
「何をしている?」
「てめー、何者だ」
オルガ先輩に睨みを利かしているナツ・ヴァーンがそこにはいた。しかも、オルガ先輩の喉元には一本のナイフが突きつけられていた。
「どういうことですか?」
「そうだな。まぁ、言っておこう。俺ははっきり言って筆記はいらないと考えている。それはなーーー」
俺はそれについての自分の意見を説明し始める。この世界では実力が全て。どんなに筆記が出来ても実技が出来なかったらそれは差別の対象でしかない。だからこそ、このクラスをなくさないためには試合に勝たなければならない。
3人の俺の生徒たちは「なるほど」と頷いている。
「分かったか?」
「「「はい」」」
「じゃあ、実技室にでも行くか?」
「それなんですが………」
その中の少女の一人が申し訳なさそうに説明する。その少女が言うにはこのクラスには実技室を使用する権利すらも貰えていないのだという。俺がここにいた時も差別はあった。しかし、それでもその権利くらいは得ていた。
「なるほどな……じゃあ、少し遠いけど高等部のを使うか」
「え………いいんですか?許可が必要なんでは」
「そうだな、じゃあ、電話してくるから少し待ってろ」
「だ、誰にですか?」
「誰って………ローザ学園長以外に誰がいるんだ?」
「直接なんですか?あなたは……何者」
「じゃあ、言ってくるから少し待ってろよ」
「「「はい……」」」
俺はそのクラスを出る。そして、ズボンのポケットから俺の携帯電話を取り出す。そして、連絡先を選択してローザさんに電話をかける。プルプルと2回鳴ったところで「もしもし」という声が電話の奥から聞こえてきた。
「もしもし、ローザさん?」
「ナツくん、どうしたの?」
「いや……高等部の実技室を使いたいんだけど」
「あぁ……あのクラスは使用権がないんだっけ?」
「そうそう、ローザさんに中等部のことは頼めないし高等部のを貸して欲しいんだけど」
「まぁ、いいけど。立会人がいないとな」
「あぁ……そうか。じゃあ、レイラさんを立会人にしてくれないか?」
「………レイラ・グラーニンのことか?」
「そうですけど」
「なるほどね………着替えをしてもらって結構、仲良くなったみたいで」
「いやいや、俺の知り合いで頼める人がローザさん以外にいなかったっていうだけだよ」
「まぁ………いいけど。間違いを起こすなよ。中学生にもレイラにも」
「んなわけあるかっ!じゃあ、頼んだよ。今から行くから」
「あぁ……分かった。手配しておく」
「じゃあ」
俺は電話を切ってポケットに携帯電話を入れた。そして、俺は教室に戻る。
「許可取れたから行くか」
「も、もう……ですか?」
「あぁ……立会人はちゃんとしているから」
俺たちは教室から出てから向かおうとする。しかし、俺は忘れ物を思い出したかのように3人の少女たちに言う。
「すまん。先に行っててくれ。少し用事を思い出した」
「は、はい。用事って何ですか?」
「まぁ、俺も一応雇われ教師だからな。それなりのことはしとかないといけないんだよ」
「へぇ………教師って大変なんですね」
「まぁ、新米だからな。気をつけて行けよ」
「大丈夫ですよ。行くって言ってもこの学園の敷地内ですから」
「そうか?でも、お前らは立場が少し違う」
「大丈夫ですよ」
「そうか、じゃあな」
俺は生徒たちとは逆方面、職員室方面に向かう。そして、俺は小声で、
「はぁ……それがあぶねーって言ってんだよ」
この学園の敷地面積は国内一で、しかも、世界でも上位に位置している。ここのクラスとは違い、エリートと呼ばれている人たちが多くいる。その中には残念なことに差別意識を持っている人もいるのが現状だ。そして、俺は歩き始めた。
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「ナツ先生って何考えているか分からないね」
「だね………筆記はほとんどしないって言ったってテストがあるのにどうするのかね?」
「さぁ………考えがあるんじゃない?」
「そうかなぁ………」
この3人はとても仲良しだ。補習室という境遇なのにいつも明るく振る舞っている。しかし、ナツ・ヴァーンという未知の先生がやってきてこの3人は動揺を隠せない。
そして、この3人がこの補習室にいる理由の一つがもうすでにここに出ていた。勝ったことがないという理由には注意力が足りないなどがある。この時もそうだ。
3人で歩きながら話し込んでいるとドスンという音とともに嫌な気配だけが漂ってきた。3人とは比べ物にならないほど大きな魔力の量。3人は思わず後ろに一歩、後ずさる。
「何だてめーら。いてーじゃねーか」
「ひっ…………オルガ先輩」
「はっ、補習室の連中じゃねーか。お前らは誰にぶつかってんだ?」
「す、すいません。私たちの注意力が足りませんでした」
「へぇ………それだけで許されるとでも?この学園では強い方が優遇されるのはお前らも知っているよな?」
「も、もちろんです」
「じゃあ、ここで何やられても文句を言えないよな?」
「え………っ、」
オルガ先輩は拳を振り上げ、殴りかかろうとした。その拳には多くの魔力が注ぎ込まれている。もし、直撃したら相当なダメージを与えること間違いない。
頭ではそれが完璧に分かっている。しかし、それに身体はついていかない。恐ろしい状況に直面した3人は目を瞑る。その時だった。
「何をしている?」
「てめー、何者だ」
オルガ先輩に睨みを利かしているナツ・ヴァーンがそこにはいた。しかも、オルガ先輩の喉元には一本のナイフが突きつけられていた。
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