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2章 教育
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「…………え、どうして俺だけここ?」
理事長に指導の話を持ちかけられて2日が経った。そして、今日はもうすでにヴァレッヂ学園の中等部に来ていた。他の3人が指導するクラスはエリートクラス。しかし、どういうわけか俺が担当することになったクラスは最低ランクの補習室の生徒だった。
俺も昔はここの中等部に通っていたため、このクラスのことはよく知っている。というか、そもそも俺自身がこのクラスの出身なのだ。
「どうして………かは分かりませんが、学園長のローザ先生の指示です」
「はぁ……やっぱりか」
俺がこのクラスの出身だということはローザさんしか知らない。というか、ローザさんがこのクラスの担任だったのだ。それから何年もお世話になっている。
「まぁ、引き受けちゃったからな………行くか」
「はい。私がこのクラスの副担任になったマティルダ・キャトリーです。よろしくお願いします」
「あ、はい。よろしくお願いします。というか、本当に俺が担任でいいんですか?」
「それは、もちろん。ローザ学園長が推している人ですから」
「そうだけどな……免許ないのに」
「いや……大丈夫です。エリートクラスだと免許は必要ですが、この補習クラスにはそんなの必要ありません」
「………じゃあ、他の人たちは?」
「担任ではありません。副担任や事務作業などをしてもらっています」
「そうですか……でも、それなら補習室の生徒でも免許を持っている人を担任にした方がいいのでは?」
「それもそうなんですが、免許所有者が年々減ってきていまして………。中々、上手くいかないんです」
「そういうもんかな」
俺たちの話はひと段落する。すると、俺はその補習室の扉を開けようとする。俺がここの校舎に来てから一番古いであろう場所。扉も他のスライド式とは違い、木製で引き戸だった。俺はノックもせずにその部屋の中に入る。
それで一番驚いたのはそこにいた生徒の数だ。
たったの3人。
俺はここの出身だったから知っているが、他のクラスよりも断然に生徒数がいない。しかも、差別の対象となっているのだ。
「これから、このクラスの担任として1ヶ月、教えることになったナツ・ヴァーンです。よろしく」
俺が挨拶する。しかし、返事は返ってこない。俺がいた時はもう開き直ったかのようだったこのクラスも今は将来が心配になるほど暗いものだった。そんなクラスに副担任のマッティー先生が「はぁ……」とため息をつきながら言う。
「はい、はい。注目。ナツ先生が挨拶しているんだからちゃんと聞きなさい」
「マティルダ先生も分かっているでしょ?俺たちに先がないことを」
「それは………だからこそ、ナツ先生に来てもらったんでしょ?」
「そうなんですか?でも、所詮高校生ですよね?」
「まぁ、でも、学園長の推しているから大丈夫」
「その学園長がここをなくそうとしているんじゃないんですか?」
「まぁ、そういうことだから、しっかりとナツ先生の話を聞いてね。では、ホームルームを終わりにします」
俺の意見なしにホームルームは終わった。俺は何も言えずに聞いていることしかできなかった。というか、俺がどうしてここに来させられたのかもローザさんからは聞いていない。もちろん、あの理事長からも。教室から出た俺はマッティー先生にさっきの話について詳しく聞く。
「マティルダ先生。少し話いいですか?」
「まぁ………いいですよ、なんですか?」
「さっきの話についてです」
「さっき………あぁ……補習室がなくなるという話ですか?」
「そうです。本当になくなるんですか?」
「まぁ………実力がない者たちに居場所がないというのがもともとの学園の考え方ですからね」
「じゃあ……さっきの子たちは?」
「………残念ですが、転校ですかね」
「え………じゃあ、どうすればあそこを存続させられますかね?」
「そうですね………あの子たちは一度も勝ったことがないんです」
「なるほど………試合で勝つということですか」
「はい」
中等部にも高等部にも毎一週間に一回、試合という者が行われる。どのチームとやるかは学園側が決めるがそれに勝つことによりポイントを得られる。そして、多いチーム3チームが夏の選抜へと選ばれる。しかし、たくさんのチームがある中、最低ランクのチームがそんな舞台に立てるとは正直、思えないが。
「一回でも勝てればいいということですか?」
「まぁ、それでも危ういですが、一応は」
「で、その試合はいつですか?」
「明後日です」
「明後日………ですか?少し厳しいですね」
「まぁ、明後日に勝たなくても今月中はまだ平気かと」
「そうですか……今月中には勝たないといけないということですね」
「分かりました。いろいろ、考えてみます」
「お願いします」
俺は職員室に向かう前にあるところに電話した。それは、この学園で誰もが知っている人物。プルプルプルと3回鳴ったところで電話が通じる。そして、電話の奥から「もしもし」という女性の声が聞こえてくる。
「ローザさんっ、あのこと黙っていたでしょ?」
「……ナツ。もう事情が分かったのか?」
「あぁ……でも、どうして俺なんですか?」
「だって、他の奴らよりナツくんの方が思い入れあるしょ?」
「なるほど……感情移入させようとしているということですか?」
「まぁ、ね。でも、やるんでしょ?」
「そりゃあ、俺が学んだところを潰すなんて俺は許しませんから」
「そうだろ?じゃあ、せいぜい頑張ってね」
「はぁ……」
俺は電話を切る。そして、俺は最低ランクのクラスを勝たせなくてはいけなくなってしまった。はぁ……方法を考えなくては。
理事長に指導の話を持ちかけられて2日が経った。そして、今日はもうすでにヴァレッヂ学園の中等部に来ていた。他の3人が指導するクラスはエリートクラス。しかし、どういうわけか俺が担当することになったクラスは最低ランクの補習室の生徒だった。
俺も昔はここの中等部に通っていたため、このクラスのことはよく知っている。というか、そもそも俺自身がこのクラスの出身なのだ。
「どうして………かは分かりませんが、学園長のローザ先生の指示です」
「はぁ……やっぱりか」
俺がこのクラスの出身だということはローザさんしか知らない。というか、ローザさんがこのクラスの担任だったのだ。それから何年もお世話になっている。
「まぁ、引き受けちゃったからな………行くか」
「はい。私がこのクラスの副担任になったマティルダ・キャトリーです。よろしくお願いします」
「あ、はい。よろしくお願いします。というか、本当に俺が担任でいいんですか?」
「それは、もちろん。ローザ学園長が推している人ですから」
「そうだけどな……免許ないのに」
「いや……大丈夫です。エリートクラスだと免許は必要ですが、この補習クラスにはそんなの必要ありません」
「………じゃあ、他の人たちは?」
「担任ではありません。副担任や事務作業などをしてもらっています」
「そうですか……でも、それなら補習室の生徒でも免許を持っている人を担任にした方がいいのでは?」
「それもそうなんですが、免許所有者が年々減ってきていまして………。中々、上手くいかないんです」
「そういうもんかな」
俺たちの話はひと段落する。すると、俺はその補習室の扉を開けようとする。俺がここの校舎に来てから一番古いであろう場所。扉も他のスライド式とは違い、木製で引き戸だった。俺はノックもせずにその部屋の中に入る。
それで一番驚いたのはそこにいた生徒の数だ。
たったの3人。
俺はここの出身だったから知っているが、他のクラスよりも断然に生徒数がいない。しかも、差別の対象となっているのだ。
「これから、このクラスの担任として1ヶ月、教えることになったナツ・ヴァーンです。よろしく」
俺が挨拶する。しかし、返事は返ってこない。俺がいた時はもう開き直ったかのようだったこのクラスも今は将来が心配になるほど暗いものだった。そんなクラスに副担任のマッティー先生が「はぁ……」とため息をつきながら言う。
「はい、はい。注目。ナツ先生が挨拶しているんだからちゃんと聞きなさい」
「マティルダ先生も分かっているでしょ?俺たちに先がないことを」
「それは………だからこそ、ナツ先生に来てもらったんでしょ?」
「そうなんですか?でも、所詮高校生ですよね?」
「まぁ、でも、学園長の推しているから大丈夫」
「その学園長がここをなくそうとしているんじゃないんですか?」
「まぁ、そういうことだから、しっかりとナツ先生の話を聞いてね。では、ホームルームを終わりにします」
俺の意見なしにホームルームは終わった。俺は何も言えずに聞いていることしかできなかった。というか、俺がどうしてここに来させられたのかもローザさんからは聞いていない。もちろん、あの理事長からも。教室から出た俺はマッティー先生にさっきの話について詳しく聞く。
「マティルダ先生。少し話いいですか?」
「まぁ………いいですよ、なんですか?」
「さっきの話についてです」
「さっき………あぁ……補習室がなくなるという話ですか?」
「そうです。本当になくなるんですか?」
「まぁ………実力がない者たちに居場所がないというのがもともとの学園の考え方ですからね」
「じゃあ……さっきの子たちは?」
「………残念ですが、転校ですかね」
「え………じゃあ、どうすればあそこを存続させられますかね?」
「そうですね………あの子たちは一度も勝ったことがないんです」
「なるほど………試合で勝つということですか」
「はい」
中等部にも高等部にも毎一週間に一回、試合という者が行われる。どのチームとやるかは学園側が決めるがそれに勝つことによりポイントを得られる。そして、多いチーム3チームが夏の選抜へと選ばれる。しかし、たくさんのチームがある中、最低ランクのチームがそんな舞台に立てるとは正直、思えないが。
「一回でも勝てればいいということですか?」
「まぁ、それでも危ういですが、一応は」
「で、その試合はいつですか?」
「明後日です」
「明後日………ですか?少し厳しいですね」
「まぁ、明後日に勝たなくても今月中はまだ平気かと」
「そうですか……今月中には勝たないといけないということですね」
「分かりました。いろいろ、考えてみます」
「お願いします」
俺は職員室に向かう前にあるところに電話した。それは、この学園で誰もが知っている人物。プルプルプルと3回鳴ったところで電話が通じる。そして、電話の奥から「もしもし」という女性の声が聞こえてくる。
「ローザさんっ、あのこと黙っていたでしょ?」
「……ナツ。もう事情が分かったのか?」
「あぁ……でも、どうして俺なんですか?」
「だって、他の奴らよりナツくんの方が思い入れあるしょ?」
「なるほど……感情移入させようとしているということですか?」
「まぁ、ね。でも、やるんでしょ?」
「そりゃあ、俺が学んだところを潰すなんて俺は許しませんから」
「そうだろ?じゃあ、せいぜい頑張ってね」
「はぁ……」
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