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第3章:聖地ウスクヴェサール編
第77話:やきもち
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クローゼットのこちら側に戻ってきて一週間。ようやく旅の準備は整った。
クルトがアイザックから受け取った伝達石は分割してクルトはピアスに、ミヤコは指輪にして装備した。この一週間はまるで以前に戻ったかのように、緑の砦の食堂とミヤの自宅を行き来した。食材も使ってしまうべきだ、とクルトが店を開けたので、昼の時間だけキッチンに立ち手伝いをする。
東の魔の森が浄化されて以来、この周辺には討伐隊よりも冒険者が多くなったようだった。転移ポイントがまだ稼働しているようで、薬草や果実を採取に来る人、野生動物を狩りに来る冒険者が増えたのだ。野生動物が増えたおかげで食生活もかなり改善されたようだし、酪農も農業も少しづつ村や町に浸透しているようだった。
それほど危険もなくなったので、お店を利用する人も少なくなったとはいえ、ミヤコの料理を食べにわざわざ来る客もまだ多く、グレンフェールの街で聞いた噂を頼りに、常連たちも顔を見せた。冷やかしやミヤコ見たさで来る見物人も増えているようだ。
残念ながら、野菜泥棒や、薬草を狙った不届き者もいたようだが、精霊の電撃で退治されているらしい。
「ええ?またいなくなっちまうのか」
「はい。いろいろ見たいところもあるし、精霊から頼まれたこともあって」
「そっかあ。でもまた戻ってくるんだろ?」
「うん、新しいメニュー作って戻ってくるから、また来てください」
「おっしゃあ!それじゃ、楽しみに待ってるよ!俺たちの街にもそのうち寄ってくれよ」
一ヶ月以上も閉めていた店なのに、なかなか気の長い人たちだ。今度はどのくらいかかるかわからないが、戻ってこれるのならぜひ再開しようとクルトと笑い合った。
逆に、わかったこともある。
実家からクルトを連れて近くのスーパーまで買い物に出かけようとしたのだが、クルトはミヤコの家のある土地から外に出ることができなかった。
門から外に出ようとしたところで弾かれてしまったのだ。
まるで結界が張られているように透明な壁に阻まれて、クルトのこちらでの行動は家と庭の中だけということがわかった。
ミヤコの家は、何か特別な空間になっているのだろうか。
ちょっと一緒に買い物とかしたかったのにな、とミヤコはがっかりもしたのだが、特に出なければいけないようなこともなかったので、買い物は諦めた。
少し遅くなってしまったが、ハーバリストの店に消臭剤と食器洗剤を大量に納品し、半年分ということで取引を交わすことができた。これで、しばらくこちらに帰らなくても迷惑をかけることはないだろう。これまで通り、和子叔母に家の様子は見てもらいながら、畑も和子がサンデーマーケットなどで売りに出してくれるということになった。もちろん精霊さんたちにも、お世話のお願いをしてある。
「クルトさん、ミヤコは必ず返してくれよ」
叔父夫婦と淳、お腹の随分大きくなった美樹が出発の前夜にやってきて、一緒に甘酒を飲むことになった。酒のつまみには、久しぶりの茄子田楽とレンコンチップス。夕飯に手羽先の甘辛揚げを作り、炊きたてご飯を磯のりで食べる。白米も久しぶりだ。もちもちした米は、向こうの世界のハクラとはやはり粘りが違う。ゴマと磯のりが食欲をそそる。叔母の特製甘味噌に山椒と白ごまを振りかけた茄子田楽は口の中でとろけるようだった。
手羽先についたスパイスとタレで、ベタベタになった指先を舐めながら、淳がクルトを睨みつけた。
「こいつはなんでも背負いこむタチなんだ。何も言わずに支えてくれると思ったら大間違いだ。あんまりおざなりにしてると、或る日突然ブチ切れて捨てられる」
「ははっ。おざなりになんてできませんよ。僕が追いかけ回してるくらいなんですから」
「へっ。前の男も大事にしますとか何とか言って、結局アイツも捨てられたからな」
「前の男」
クルトがハッと口をつぐんでミヤコを見るが、ミヤコは慌てて両手を振り回し、否定する。
「淳兄さん!あれは私が捨てられたのよ」
「チッ。結果的にはお前がアイツを捨てたんだよ。ミヤコもいろいろあったんだろうけどさ、俺も家族なんだから頼ってこい」
「淳兄…」
「あんまり気が利かなくて、助けにならないかもしれないけど。何があってもミヤコの味方だからな」
「うん。ありがとう」
甘酒を飲みすぎたのか、頬を染めた哲也がクルトの肩に手を回して、頭をこてんとクルトの肩に乗せる。おじさんが酔っ払うなんて珍しいこともあるもんだ、とミヤコが驚いていたら、和子おばさんが苦笑していた。
「嫁に出す娘の親みたいな気分になってんのよ、お父さんったら」
「はあ?そんな気の早い…」
「あら、気の早いって……やっぱりその気なのね?」
「えっ!?いや、あの」
鋭い和子の一言であたふたしてしまうミヤコだった。
「だーかーらー、ミヤはいい女だからなぁ。男を侍らせるくらいでいいんだよ」
「おじさん、飲みすぎだよ」
「モテるんだろ、あっちでも?」
「……そうですね。蝿はどこにでもいますから」
「クルトさん!?」
「ちゃんと虫除けとして働きます」
「ダハハ!いいねえ」
男連中はどうやらちょっと飲みすぎたようだ。
はあ、と頭を横に振り、お酒の飲めない美樹に付き合って和子とミヤコはお汁粉を啜った。
「クルトさんって、あっくんに似てるわよねえ」
美樹がこそっとミヤコに耳打ちをする。
「えっ?そう?」
「うん、なんていうか、『俺が守るんだ!』ってすごい張り切ってる感じが」
「そうそう、もうミヤちゃんのこと可愛くてしょうがないって感じよねえ」
「ええ?そう、かな」
「ミヤちゃんにはあういうタイプがいいのよ、やっぱり。変に甘えたの優男よりもさ」
「だれ、それ?聡のこと?」
「あの人は例外よ。二股最低男。あれじゃなくて、ほら幼馴染の」
「鈴木くん?」
「酒屋の息子!あの子も悪くなかったんだけど、親父がね」
「あの子は甘えただったわよねえ」
「あと、ほら陸上部の…」
「誰のこと?!」
美樹と和子は、唖然とするミヤコを置いてきぼりにしてきゃっきゃっと恋話に花を咲かせた。
利則が甘えたに見えたとは、とミヤコは思い返す。陸上部のって誰だろう。ミヤコには記憶にすら残っていない男子の名前がポロポロと出てきて、もしかしたら知らないところでモテていたのだろうかと首を傾げた。
ふと見ると、ミヤコをじっと見つめるクルトと目が会い、ひらひらと手を振る。クルトがジェスチャーを使って、片手を胸に当て、それから指二本を自分の目元にやり同じ指をミヤコに向けた。
『I'm watching you』
どこでそんなジェスチャーを覚えたのか、あるいは向こうでも使うのか。そこでミヤコも『あなた(の視線)を受け止めます』のサインを送り返すと、クルトは一瞬きょとんとしてそれから真っ赤になって俯いてしまった。
「あれ?」
何かおかしなゼスチャーを送ってしまったのだろうかとミヤコは焦り、笑ってごまかした。
それが『あなたのすべてを受け止めます』という意味だと聞かされ、後になってキスの嵐を受け止める羽目になってしまうのだが。
叔父夫婦と淳たちが酔いどれ加減で家に戻った後、ミヤコとクルトは縁側で甘酒をすすりながら精霊がふわふわと飛び交う庭を眺めていた。
「ここは平和でいいよね」
クルトが静かに切り出した。
「うん、そうだね」
「……ミヤはこちらに残りたい?」
「うん?」
「…ここにいれば安全だし。君には何の義理もない。精霊王や大精霊に頼まれたのだって、本来ならミヤには関係のないことだろう」
「全く関係ないことでもないんだよ」
「……ここに残りたいなら、」
「クルトさん。だめだよ」
そう言いかけたクルトにミヤは被せるように言葉を重ねた。ミヤコを心配そうに覗き込むクルトにミヤコはニコッと笑いかける。
「だってみんな頑張ってるでしょ。魔獣や瘴気に苦しめられなくなって、緑の砦もグレンフェールの街もだんだん平和になってるじゃない?せっかくここまで来たんだもん。頑張ろうよ」
クルトは眩しそうに瞬きをすると目を伏せた。
「ありがとう」
「今更、だよ」
「で、さっきの話なんだけど」
「ん?」
「酒屋の息子」
「あ、鈴木くん?クルトさん会ったよね、ここで」
「あいつか」
「うん、友達だよって言ったよね?」
「……ああ。じゃリクジョウブってのは?」
「ええと、わかんない。気がつかなかったから」
「……ミヤが鈍感でよかったよ」
「あっひどい!」
「クルトさんだって、私の知らないところで」
「いないよ、そんな人は」
「婚約者がいたって」
「……別に愛していたわけじゃない」
「でも……きっと体は合わせてたんだよね…」
「ミヤ」
「ああ!ごめん!当たり前だよね!変なヤキモチ。30歳近くになって経験ないとかありえないよね。私だって」
そう言いかけて、ミヤコの言葉は塞がれてしまった。
「聞きたくないし…心配しなくても僕はミヤしか欲しくない」
「…ん」
「過去があるから、今のミヤがいる。過去に何があろうと、全部まとめて愛してる」
ミヤは真っ赤になりながらキスの嵐に翻弄されつつ、イケメンは何を言ってもサマになるんだよなあ、と内心舌を打つのだった。
==========
ミヤコだけと言いつつも、経験に否定はしていないクルトでした(まあ、成人した大人ですからね)。
あ、でも元婚約者には手出ししていません。政略だったので程々大事にはしているつもりでしたが。
俊則には勝ったと思っていますが、サトシには黒々とした思いもあり。でも言葉にはしません。
クルト、大人ですから。
次回から第4章に入ります。よろしくお願いします。
クルトがアイザックから受け取った伝達石は分割してクルトはピアスに、ミヤコは指輪にして装備した。この一週間はまるで以前に戻ったかのように、緑の砦の食堂とミヤの自宅を行き来した。食材も使ってしまうべきだ、とクルトが店を開けたので、昼の時間だけキッチンに立ち手伝いをする。
東の魔の森が浄化されて以来、この周辺には討伐隊よりも冒険者が多くなったようだった。転移ポイントがまだ稼働しているようで、薬草や果実を採取に来る人、野生動物を狩りに来る冒険者が増えたのだ。野生動物が増えたおかげで食生活もかなり改善されたようだし、酪農も農業も少しづつ村や町に浸透しているようだった。
それほど危険もなくなったので、お店を利用する人も少なくなったとはいえ、ミヤコの料理を食べにわざわざ来る客もまだ多く、グレンフェールの街で聞いた噂を頼りに、常連たちも顔を見せた。冷やかしやミヤコ見たさで来る見物人も増えているようだ。
残念ながら、野菜泥棒や、薬草を狙った不届き者もいたようだが、精霊の電撃で退治されているらしい。
「ええ?またいなくなっちまうのか」
「はい。いろいろ見たいところもあるし、精霊から頼まれたこともあって」
「そっかあ。でもまた戻ってくるんだろ?」
「うん、新しいメニュー作って戻ってくるから、また来てください」
「おっしゃあ!それじゃ、楽しみに待ってるよ!俺たちの街にもそのうち寄ってくれよ」
一ヶ月以上も閉めていた店なのに、なかなか気の長い人たちだ。今度はどのくらいかかるかわからないが、戻ってこれるのならぜひ再開しようとクルトと笑い合った。
逆に、わかったこともある。
実家からクルトを連れて近くのスーパーまで買い物に出かけようとしたのだが、クルトはミヤコの家のある土地から外に出ることができなかった。
門から外に出ようとしたところで弾かれてしまったのだ。
まるで結界が張られているように透明な壁に阻まれて、クルトのこちらでの行動は家と庭の中だけということがわかった。
ミヤコの家は、何か特別な空間になっているのだろうか。
ちょっと一緒に買い物とかしたかったのにな、とミヤコはがっかりもしたのだが、特に出なければいけないようなこともなかったので、買い物は諦めた。
少し遅くなってしまったが、ハーバリストの店に消臭剤と食器洗剤を大量に納品し、半年分ということで取引を交わすことができた。これで、しばらくこちらに帰らなくても迷惑をかけることはないだろう。これまで通り、和子叔母に家の様子は見てもらいながら、畑も和子がサンデーマーケットなどで売りに出してくれるということになった。もちろん精霊さんたちにも、お世話のお願いをしてある。
「クルトさん、ミヤコは必ず返してくれよ」
叔父夫婦と淳、お腹の随分大きくなった美樹が出発の前夜にやってきて、一緒に甘酒を飲むことになった。酒のつまみには、久しぶりの茄子田楽とレンコンチップス。夕飯に手羽先の甘辛揚げを作り、炊きたてご飯を磯のりで食べる。白米も久しぶりだ。もちもちした米は、向こうの世界のハクラとはやはり粘りが違う。ゴマと磯のりが食欲をそそる。叔母の特製甘味噌に山椒と白ごまを振りかけた茄子田楽は口の中でとろけるようだった。
手羽先についたスパイスとタレで、ベタベタになった指先を舐めながら、淳がクルトを睨みつけた。
「こいつはなんでも背負いこむタチなんだ。何も言わずに支えてくれると思ったら大間違いだ。あんまりおざなりにしてると、或る日突然ブチ切れて捨てられる」
「ははっ。おざなりになんてできませんよ。僕が追いかけ回してるくらいなんですから」
「へっ。前の男も大事にしますとか何とか言って、結局アイツも捨てられたからな」
「前の男」
クルトがハッと口をつぐんでミヤコを見るが、ミヤコは慌てて両手を振り回し、否定する。
「淳兄さん!あれは私が捨てられたのよ」
「チッ。結果的にはお前がアイツを捨てたんだよ。ミヤコもいろいろあったんだろうけどさ、俺も家族なんだから頼ってこい」
「淳兄…」
「あんまり気が利かなくて、助けにならないかもしれないけど。何があってもミヤコの味方だからな」
「うん。ありがとう」
甘酒を飲みすぎたのか、頬を染めた哲也がクルトの肩に手を回して、頭をこてんとクルトの肩に乗せる。おじさんが酔っ払うなんて珍しいこともあるもんだ、とミヤコが驚いていたら、和子おばさんが苦笑していた。
「嫁に出す娘の親みたいな気分になってんのよ、お父さんったら」
「はあ?そんな気の早い…」
「あら、気の早いって……やっぱりその気なのね?」
「えっ!?いや、あの」
鋭い和子の一言であたふたしてしまうミヤコだった。
「だーかーらー、ミヤはいい女だからなぁ。男を侍らせるくらいでいいんだよ」
「おじさん、飲みすぎだよ」
「モテるんだろ、あっちでも?」
「……そうですね。蝿はどこにでもいますから」
「クルトさん!?」
「ちゃんと虫除けとして働きます」
「ダハハ!いいねえ」
男連中はどうやらちょっと飲みすぎたようだ。
はあ、と頭を横に振り、お酒の飲めない美樹に付き合って和子とミヤコはお汁粉を啜った。
「クルトさんって、あっくんに似てるわよねえ」
美樹がこそっとミヤコに耳打ちをする。
「えっ?そう?」
「うん、なんていうか、『俺が守るんだ!』ってすごい張り切ってる感じが」
「そうそう、もうミヤちゃんのこと可愛くてしょうがないって感じよねえ」
「ええ?そう、かな」
「ミヤちゃんにはあういうタイプがいいのよ、やっぱり。変に甘えたの優男よりもさ」
「だれ、それ?聡のこと?」
「あの人は例外よ。二股最低男。あれじゃなくて、ほら幼馴染の」
「鈴木くん?」
「酒屋の息子!あの子も悪くなかったんだけど、親父がね」
「あの子は甘えただったわよねえ」
「あと、ほら陸上部の…」
「誰のこと?!」
美樹と和子は、唖然とするミヤコを置いてきぼりにしてきゃっきゃっと恋話に花を咲かせた。
利則が甘えたに見えたとは、とミヤコは思い返す。陸上部のって誰だろう。ミヤコには記憶にすら残っていない男子の名前がポロポロと出てきて、もしかしたら知らないところでモテていたのだろうかと首を傾げた。
ふと見ると、ミヤコをじっと見つめるクルトと目が会い、ひらひらと手を振る。クルトがジェスチャーを使って、片手を胸に当て、それから指二本を自分の目元にやり同じ指をミヤコに向けた。
『I'm watching you』
どこでそんなジェスチャーを覚えたのか、あるいは向こうでも使うのか。そこでミヤコも『あなた(の視線)を受け止めます』のサインを送り返すと、クルトは一瞬きょとんとしてそれから真っ赤になって俯いてしまった。
「あれ?」
何かおかしなゼスチャーを送ってしまったのだろうかとミヤコは焦り、笑ってごまかした。
それが『あなたのすべてを受け止めます』という意味だと聞かされ、後になってキスの嵐を受け止める羽目になってしまうのだが。
叔父夫婦と淳たちが酔いどれ加減で家に戻った後、ミヤコとクルトは縁側で甘酒をすすりながら精霊がふわふわと飛び交う庭を眺めていた。
「ここは平和でいいよね」
クルトが静かに切り出した。
「うん、そうだね」
「……ミヤはこちらに残りたい?」
「うん?」
「…ここにいれば安全だし。君には何の義理もない。精霊王や大精霊に頼まれたのだって、本来ならミヤには関係のないことだろう」
「全く関係ないことでもないんだよ」
「……ここに残りたいなら、」
「クルトさん。だめだよ」
そう言いかけたクルトにミヤは被せるように言葉を重ねた。ミヤコを心配そうに覗き込むクルトにミヤコはニコッと笑いかける。
「だってみんな頑張ってるでしょ。魔獣や瘴気に苦しめられなくなって、緑の砦もグレンフェールの街もだんだん平和になってるじゃない?せっかくここまで来たんだもん。頑張ろうよ」
クルトは眩しそうに瞬きをすると目を伏せた。
「ありがとう」
「今更、だよ」
「で、さっきの話なんだけど」
「ん?」
「酒屋の息子」
「あ、鈴木くん?クルトさん会ったよね、ここで」
「あいつか」
「うん、友達だよって言ったよね?」
「……ああ。じゃリクジョウブってのは?」
「ええと、わかんない。気がつかなかったから」
「……ミヤが鈍感でよかったよ」
「あっひどい!」
「クルトさんだって、私の知らないところで」
「いないよ、そんな人は」
「婚約者がいたって」
「……別に愛していたわけじゃない」
「でも……きっと体は合わせてたんだよね…」
「ミヤ」
「ああ!ごめん!当たり前だよね!変なヤキモチ。30歳近くになって経験ないとかありえないよね。私だって」
そう言いかけて、ミヤコの言葉は塞がれてしまった。
「聞きたくないし…心配しなくても僕はミヤしか欲しくない」
「…ん」
「過去があるから、今のミヤがいる。過去に何があろうと、全部まとめて愛してる」
ミヤは真っ赤になりながらキスの嵐に翻弄されつつ、イケメンは何を言ってもサマになるんだよなあ、と内心舌を打つのだった。
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ミヤコだけと言いつつも、経験に否定はしていないクルトでした(まあ、成人した大人ですからね)。
あ、でも元婚約者には手出ししていません。政略だったので程々大事にはしているつもりでしたが。
俊則には勝ったと思っていますが、サトシには黒々とした思いもあり。でも言葉にはしません。
クルト、大人ですから。
次回から第4章に入ります。よろしくお願いします。
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