【完結】クローゼットの向こう側〜パートタイムで聖女職します〜

里見知美

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第4章:聖地アードグイ編

第80話:ルノーとクルトの出会い

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ルノー視点、過去編です。

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 ルノー・ク・ブラント。騎馬の部族に生まれ、ミラート神国に根付いた戦士。

 母親の腹を食い破って出てきた赤子と言われ、武神の加護を持つ……と、失われた部族の中に伝えられていた。だが、実質【親殺し】と疎まれ、恐れられてきた。

「マジで食い破って出てきたら、それもう赤ん坊じゃないっしょ」

 バカバカしい、とルノーは笑った。

 ルノーはつい今しがた迄戦っていた、血だまりに倒れた魔獣を見下ろしていた。ルノーの片手には魔獣の心臓がシュウシュウと音を立て、魔石に変わろうとしている。

 実際のところ、ルノーの部族は狩猟民族で、大陸を渡り歩く騎獣族だった。獣と共に住処を移し、寿命がきたら土に返すという、自然と共に歩んできたモーグリス部族だったが、ミラート神国になぜか根付いてしまった。それは遥か昔、祖先が聖女と交わした約束事なのだとか。

 ルノーは詳しいことは知らない。騎獣族は文字を持たなかったから全ては口頭で伝えられた。祖先の一人が聖女と契約を結んだのが発端だったらしい。

『もしも、この国が民を蔑ろにして権力や私腹を肥やし始めたら、あなた方執行人は立ち上がり、負の鎖を断ち切らなければなりません。精霊の愛し子が指針となりましょう。愛し子は穢されてはなりません。この国は精霊の善意から成り立っているのです。自然と共に生きるあなた方なら、きっと気がつくことでしょう。愛し子が出ずるとき、力ある子供が生まれるでしょう。愛し子に従い、精霊を敬い、人々を導いてください』

 自然と共に生き、風と共に移動を繰り返していた部族は、一つの地に留まりやがて血を濃くしていく。聖女との約束は、部族を縛り我らは牙を失った。長老たちはそう言って嘆き、何人かの若い衆はミラート神国を離れ、風と共に去って行った。

 ルノーは血を被って生まれてきた。子供の魔力が母のそれを数十倍上回り、魔力過多で母親を殺してしまったのだ。母は暴発して壮絶な死を迎えたが、その血の中でルノーは生き延びた。ルノー・ク・ブラントという名前は、故モーグリス部族の言葉で言う、血まみれの狼という意味だ。

 今ではそんな意味を知る者もいない。

 生まれた時から、ルノーは魔力に溢れ、わずか3歳の時に自分の体長の何十倍もある魔獣を魔力だけで倒した。それ以来、腫れ物に触れるかのように育てられ、5歳になる頃にはモーグリス族は散り散りになり、死に絶えた。そしてルノーは、ミラート神国にただ一人残された。

 その頃から、ルノーは自分の使命を実感した。愛し子を探そう。それが、己の存在意義。だが、あり過ぎる力を披露すれば必ず潰される。遠巻きに見られ、疎まれてきたルノーは、生きる術を敏感に感じ取り、魔力を抑える努力をし、へらへらとした笑みを貼り付け、感情を隠した。気さくな言葉遣い、目立たない言動、影のように振る舞い、常に二番手でいるように。

 12歳になったある日、ルノーはガルシア・デルドレ・ルフリスト軍師に出会った。王都で悪さをしていた大人数人を相手に大怪我をさせた事が、軍師の目を引いたらしい。心の中でしくじったと舌を鳴らしたが、ガルシアはルノーを褒めた。

「お前は、子供なのにまっすぐな目をしている」

 事実、王都では貧富の差が激しく、スラムに住む子供たちは生きるためにはなんでもする。盗みや恐喝はもちろん、報酬によっても殺人も厭わない。大人よりもむしろ子供たちの方が殺気を帯びて、虎視眈々と隙を狙っているのだ。放浪の旅を続けながら、狩猟を続けてきたルノーにとって金品には大した価値も執着もない。
 だから、そんな事情を知らないルノーにとって、ガルシアの言葉は奇妙に聞こえたのも無理もなかった。

 ———普通は、子供だからまっすぐな目をしてるんじゃないのか?

「誉めるくらいなら、報酬をくれ」

 スラムに住む子供のように、ルノーは手を出した。こうすれば、相手もきっと訝しまないだろう。もちろん警戒は解いていない。優しそうな顔をして笑顔を見せる大人が、実は一番危険だということを経験をもって知っているからだ。

 ガルシアは、ルノーの手のひらに銀貨を一枚載せた。それは、この王都の下町でなら一ヶ月は食うに困らない金額だ。

「私の部下になれば、衣食住には困らないし毎月の給金も出るぞ?」
「……暗殺とか頼むんじゃないよな?」

 目を細めて、ルノーは疑ってかかった。子供を軍部で使うなんて、ろくな大人じゃない。そう思ったからだ。だがガルシアは笑った。

「そんな恐ろしいことをさせるわけがない。君は、魔力を持っているだろう。それだけの量を隠して溜め込むのは体に良くない。訓練次第では、魔力をうまくコントロールできるし、給料ももらえる。一石二鳥だとは思わないか」

 ルノーは目を見開いて、ガルシアを凝視した。魔力感知ができるのだろうか。この男は危険だ。ルノーの第六感が警鐘を鳴らした。逃げるべきか、ごまかすべきか。

「俺の魔力がわかるのか?」
「見えるわけじゃないがね。私の息子と良く似た魔力を持っているからな」
「息子がいるのか、あんた」
「ああ、ハルクルトというんだ。君より幾分年上だが…会ってみるかね?」

 ルノーは魔力持ちに会ったことがなかった。いや、微々たる魔力は誰でも持っていて、王都で暮らしている平民は生活に必要な魔力ぐらいはあるのだが、攻撃魔法を使ったり、誰かを一息に殺せるような魔力持ちは市民街にはいなかったのだ。

 その当時、ルノーは知らなかったのだが、魔力量が一定以上ある者は軍事業務に従じなければならないという決まりがあった。結界内で魔力の暴走をすれば、そのまま魔人になる恐れがあるし、環境から魔性のものになりうる危険があったからだ。軍事施設に従事し、魔力をコントロールする。強い魔力持ちにはそれが義務付けられていた。だからこそ、ルノーが問題を起こしたと報告を受けた時、ガルシアがルノーを確保するため出てきたのだった。

 兎に角、ルノーは好奇心に負けガルシアの誘いに乗った。

 ガルシアに誘われるまま馬車に乗ると、そのまま軍師の自宅まで連れて行かれてしまった。ひどく危険な橋を渡ったものだと気がついた。軍師が少年好みという性癖を持っていたり、何かの実験に使われたりしていたかもしれないのだから。

 その可能性に気がついたルノーは、さりげなく逃げ道を探したが、軍師の家で逆さ吊りになった赤毛の青年と目が合い、金縛りにあった。その青年は魔獣のように眼光強く、天井からぶら下がっていたのだ。ゆらゆらと身体を揺らしてヘビのように威嚇をする。ルノーは身動きが取れなかった。

 ———何て魔力だ!

 距離があるのに、ルノーの足は床に張り付いたまま身動きが取れない。ビリビリと痺れる感覚がルノーの心臓を早めた。その男は、縛られて吊るされているわけではなく、天井の梁に足首を引っ掛けて、腹筋トレーニングをしていたのだ。ちなみにこの天井というのが、吹き抜けの2階建ほどの高さがある。ルノーは首が痛くなる程上を見上げ、ぽかんと口を開けた。

「親父か。何だこんな時間に」
「挨拶だな、ハルクルト。客人の手前だ。降りてこい」
「その子供が?」

 ハルクルトと呼ばれたその青年はふわりと天井から離れ、浮かび上がると、ゆっくり下降して床から1メートルくらい離れた場所に浮かび上がった。どこからともなく、薄い生成りのシャツが飛んできて、それを操るかのように肩から羽織る。

 ———いったい、どこから飛んできたんだ、あれ!?

 ハルクルトの魔力は、尋常じゃなかった。確実にルノー自身の持つ魔力よりも多い。風魔法を得意とするらしく、笑顔で魔力を放出し続けている。瞳の色はきれいな若草色だった。

「やあ。僕はハルクルトだ。君は?」
「る、ルノー。ルノー・ク・ブラント」
「……ふうん。血まみれの狼?モーグリス部族の言葉だね。なかなかの魔力を持ってる」
「!!」
「何だ、ハルクルトも気づいたか」

 軍師が残念そうに苦笑した。

「当然だよ。それに、あの部族の特徴がよく現れてる」
「特徴……?」
「まず魔力。それから肌の色。顔の形」
「か、顔の形?」
「目立ちたくないのなら瞳の色を変えるべきだし、髪の色も変えたほうがいい」
「へ……?」
「魔力の強さは瞳に出るし、その緑色の髪は目立つからね」

 髪の色は、部族では普通の色だったため、意識していなかった。確かに、緑の髪は滅多に見ない色だ。少し歴史をかじった人なら、ルノーが失われた部族の出だと気づくだろう。

 ———別に隠すつもりはなかったけど、目立つことは確かだな。

 ルノーの瞳は赤い。血の色の赤で、ぱっと見は黒っぽい茶色にも見えるが、光の加減でそれが血の色だとわかる。赤目は呪われた色として忌み嫌われる。この国の廃嫡された王子が赤目をしていると聞いたことがある。やはり呪われているから、廃嫡されたのだろうか。ルノーは親殺しとして嫌われた。この血が呪いならば、仕方がない。そう思っていたのだ。だが、どうやら呪いではなかったようだ。

「魔力の強さが瞳に現れるなんて、知らなかった」

 けど、それなら何故この男は若草色の瞳をしているのか。膨大な魔力に蹴倒されそうになりながら、ルノーはハルクルトを睨み返した。

 ハルクルトはにこやかに笑みを浮かべながら、次々と特徴を上げていく。その間、ルノーの足は微塵も動かせず、ハルクルトの視線から溢れる魔力は、食いつくように大きくなっていく。その若草色の瞳が徐々に深く変わる。ハルクルトの瞳が、樹海の奥地のような深い緑色になっていくのを、必死で見つめた。

 ルノーは脂汗を流し始め、恐怖に我慢できなくなり、魔力を吐き出した。ハルクルトから覆い被される魔力に対抗して押し返そうと試みたのだが、ハルクルトは笑顔を貼り付けたまま、さらなる魔力をルノーに押し付けてきた。

「う……ぐっ!」

 顔面蒼白になったルノーを見て、ようやくハルクルトは魔力を引っ込めた。めまいを起こしそうになってハルクルトを見上げると、そこには先ほどまでの笑顔はなく、冷ややかとも言える瞳で口角を少しだけ釣り上げた顔がルノーを見下ろしていた。

「死にたくなければ強くなれ」

 ハルクルトはそれだけ言うと、ガルシアに向き直り「これでよろしいか」と、とても親子とは思えない口調で話しかけた。ガルシアは苦笑を浮かべ、「ああ、十分だ」と答えた。

 ハルクルトが普通に歩き去った後、ようやくルノーは足が床から離れ、がくがくと膝をついてへたり込んでしまった。

「く、喰われるかと思った…」
「すまないね。あいつはどうも手加減というのを知らなくてね…。ルノーと言ったか。君はいくつだね?」
「じ、12」

 息すらうまく吸えなくて、震える声で答えると、ガルシアはルノーの背中を撫でながらルノーの横にしゃがみ込んだ。

「あいつのようになりたいか?」
「あ、あんな化け物……あ、すみません」
「いや、構わないよ。私もそう思う時がある」
「は、ハルクルト…さんは何を?」
「あれは軍部を嫌ってね。本当は聖騎士にしたかったのだが、本人は討伐隊に入ってしまってね。今では東の魔の森イーストウッドの精鋭討伐隊の隊長だよ」
「精鋭討伐隊……」
「それで、君はどうかな?私は将来有望な若者の時間を無駄にしたくないんでね」
「お、俺、ハルクルトさんの下で働いてみたいです」
「おお、そうかそうか。君はなかなか冷静な判断ができそうだ。あいつはすぐカッとして先走るところがあるから、冷却剤としてちょうどいいよ」

 ガルシアは無邪気に喜んだ。

 ———くそ、あんな力の前で、どうやって冷静になれってんだ。

「あいつは、風の赤獅子なんて恥ずかしい二つ名で呼ばれていてね。魔力のコントロールで右に出る者はいない。優男の風貌に騙される奴も多いが、それも技量とみていい。まあ、魔力で食われないよう、頑張ってくれ給え」

 次の日から、ルノーはハルクルトのスパルタな特訓に血の滲む思いで食らいついていき、魔力をコントロールしながら討伐隊に馴染んでいった。

 ルノー12歳、ハルクルトが20歳の時だった。
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