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王宮の崩壊②
誰かと思って見てみたら、なんと王様。騎士たちに混じって全然目立たなかったよ。声を上げた事で全員の視線が王に刺さった。誰一人として頭を下げるものがいない。何せ俺がディスったばかりだからね。感情に任せて死刑とか宣った事、後悔させてやるよ。ここまで、ただ伯爵領を盛り上げて国に貢献していただけだと思ったら大間違いだ。
「これは、これは。国王陛下。平民になった俺たちが国を出ることに許可はいらないはずですよね」
「わ、わしがいつお前達の縁切りを許したのだ!許さんぞ!」
「陛下は昨日、側近の仕事はクビだ、とっとと王宮から出て行け、2度と来るなと仰いましたがお忘れですか?嘔吐もあろう方が言動をコロコロ変えては民はついて来ませんよ。
それに俺は26歳のいい大人です。養子縁組の解消にわざわざ王の許可は要りません。親父様…ハイベック伯爵のサインもいただいています。それに書類はすでに提出済です」
とは言え、親父様はその書類にサインしたこともわかっていないだろうけどね。例の瘴気の森を貰い受けた時のものだから。金勘定をしただけでちゃんと書類を読まなかったのはあちらの不備だ。ただしアルヴィーナについては実は何の保証もない。婚姻届もまだ出していないからだ。そのためにもここではっきりさせなければ。
「ア、アルヴィーナ嬢は渡さん!お前はどこへでも行くがいい!衛兵!騎士ども!誰でもいい!アルヴィーナ嬢を保護しろ!」
王が声を荒げて喚き散らすが、誰もが王を睨みつけた。
「この騒ぎになっても、自分だけ部屋に立てこもって何もしなかった能無しが」
「カレンティエ様がいなければ、いつでもどこでも侍女を引き込もうとしていた蜘蛛男が」
「アルヴィーナ様を馬車馬のように働かせ自分だけは高みの見物気取りか」
「急事に何の指示も出せず、何が王か」
不満は次の不満を呼び、その声は次第に怒りを帯びてくる。次第に不平不満が渦巻き、王は逆に囲まれてしまった。王を守る者は誰一人としていない。
「あなた方、王族との魔力契約では、アルヴィーナの好みになるよう殿下を再教育すると言う事だった。その件で、アルヴィーナが拒否した場合と、シンファエル殿下が問題を起こした場合は契約は解消されると言ったではないですか!それもお忘れですか!それとも契約を反故にするのなら罰則があることもお忘れか!」
宰相と王妃は契約を解消する前に逃げた。もし王がこの契約を反故にすると言うのであれば、3人とも罪人の焼印がつく。解消するしかないはずだ。
「エヴァン殿とアルヴィーナ様が出て行くというのなら俺たちも後に続く!」
「そうだ!騎士は皆アルヴィーナ様に誓いを立てた!我が身はどこまでもアルヴィーナ様とともに!」
「アルヴィーナ様の幸せを私たち王宮侍女は見守ってきました!どんな下働きであろうと名前を覚えていただき優しくして下さったアルヴィーナ様にお支えするのは私の誇りですわ!」
「エヴァン殿の画期的な発明にどれだけ助けられたことか!テイマーの仕事がなければ僕の家族は路頭に迷っていた!伯爵領でも年老いた母は川まで水汲みをせずに済んだのだ!それがどれほどの助けになったか、平民でなければわからない!」
「それだけじゃないわ!あの臭い王子の面倒をお一人で見て下さった!誰もが吐く匂いを一週間もたたないうちに消して下さったのよ!」
俺は唖然とした。
このままだと伯爵領の暴動のようになってしまう。すでに王は四面楚歌で汗だくになっている。チラリと王子を見れば、上半身半分がスカイの口の中に入っていた。
スカイ…。それは気を利かせてくれたのかな?聞かせたくないんだね?
「アルヴィーナ…どうする?放っておくと国王、殺されそうだけど」
「そうだね。それはまあいいんだけど、」
えっ?良いの?良いのか?
「それ以上にここにいる全員ついて来るとか、やめてもらいたいよね」
「あ、それもあったな…」
ついて来るってどこまでついて来るつもりなのか。瘴気の森とか、無理だろ?伯爵領だって、一気にこれだけの人間は受け入れ態勢にないし。
さあ、王様。どうする?ここでどれだけアルヴィーナに縋っても、あんたについていく国民がいなさそうだけど?
「これは、これは。国王陛下。平民になった俺たちが国を出ることに許可はいらないはずですよね」
「わ、わしがいつお前達の縁切りを許したのだ!許さんぞ!」
「陛下は昨日、側近の仕事はクビだ、とっとと王宮から出て行け、2度と来るなと仰いましたがお忘れですか?嘔吐もあろう方が言動をコロコロ変えては民はついて来ませんよ。
それに俺は26歳のいい大人です。養子縁組の解消にわざわざ王の許可は要りません。親父様…ハイベック伯爵のサインもいただいています。それに書類はすでに提出済です」
とは言え、親父様はその書類にサインしたこともわかっていないだろうけどね。例の瘴気の森を貰い受けた時のものだから。金勘定をしただけでちゃんと書類を読まなかったのはあちらの不備だ。ただしアルヴィーナについては実は何の保証もない。婚姻届もまだ出していないからだ。そのためにもここではっきりさせなければ。
「ア、アルヴィーナ嬢は渡さん!お前はどこへでも行くがいい!衛兵!騎士ども!誰でもいい!アルヴィーナ嬢を保護しろ!」
王が声を荒げて喚き散らすが、誰もが王を睨みつけた。
「この騒ぎになっても、自分だけ部屋に立てこもって何もしなかった能無しが」
「カレンティエ様がいなければ、いつでもどこでも侍女を引き込もうとしていた蜘蛛男が」
「アルヴィーナ様を馬車馬のように働かせ自分だけは高みの見物気取りか」
「急事に何の指示も出せず、何が王か」
不満は次の不満を呼び、その声は次第に怒りを帯びてくる。次第に不平不満が渦巻き、王は逆に囲まれてしまった。王を守る者は誰一人としていない。
「あなた方、王族との魔力契約では、アルヴィーナの好みになるよう殿下を再教育すると言う事だった。その件で、アルヴィーナが拒否した場合と、シンファエル殿下が問題を起こした場合は契約は解消されると言ったではないですか!それもお忘れですか!それとも契約を反故にするのなら罰則があることもお忘れか!」
宰相と王妃は契約を解消する前に逃げた。もし王がこの契約を反故にすると言うのであれば、3人とも罪人の焼印がつく。解消するしかないはずだ。
「エヴァン殿とアルヴィーナ様が出て行くというのなら俺たちも後に続く!」
「そうだ!騎士は皆アルヴィーナ様に誓いを立てた!我が身はどこまでもアルヴィーナ様とともに!」
「アルヴィーナ様の幸せを私たち王宮侍女は見守ってきました!どんな下働きであろうと名前を覚えていただき優しくして下さったアルヴィーナ様にお支えするのは私の誇りですわ!」
「エヴァン殿の画期的な発明にどれだけ助けられたことか!テイマーの仕事がなければ僕の家族は路頭に迷っていた!伯爵領でも年老いた母は川まで水汲みをせずに済んだのだ!それがどれほどの助けになったか、平民でなければわからない!」
「それだけじゃないわ!あの臭い王子の面倒をお一人で見て下さった!誰もが吐く匂いを一週間もたたないうちに消して下さったのよ!」
俺は唖然とした。
このままだと伯爵領の暴動のようになってしまう。すでに王は四面楚歌で汗だくになっている。チラリと王子を見れば、上半身半分がスカイの口の中に入っていた。
スカイ…。それは気を利かせてくれたのかな?聞かせたくないんだね?
「アルヴィーナ…どうする?放っておくと国王、殺されそうだけど」
「そうだね。それはまあいいんだけど、」
えっ?良いの?良いのか?
「それ以上にここにいる全員ついて来るとか、やめてもらいたいよね」
「あ、それもあったな…」
ついて来るってどこまでついて来るつもりなのか。瘴気の森とか、無理だろ?伯爵領だって、一気にこれだけの人間は受け入れ態勢にないし。
さあ、王様。どうする?ここでどれだけアルヴィーナに縋っても、あんたについていく国民がいなさそうだけど?
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