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神になる男1(教皇視点)
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空から少女が落ちて来たと大騒ぎになり、その事実を確かめるために馬車を出した教皇アルフレッド・ジ・ハール・ミズレール14世は、すぐさま神殿に戻る事を強要され、イライラと執務室を歩き回っていた。
「天から女が落ちてくるなど、神業に違いないと言うのに!何が厄災だ!王太子め、出鼻をくじかれたわ、忌々しい!」
教皇からすれば、これこそ棚から牡丹餅、自分の影響をますます強固にし国を乗っ取る足がけになる所だったのを先を越されてしまったのだから。
孤児だったアルフレッドを見つけ出し、神殿に引き取ったのは前教皇ミズレール13世だが、その男は権力と欲にまみれた男だった。年端の行かない少年を性的虐待するのが趣味の男で、自分以外にも十人以上の子供を聖者見習いとしてそばに置いた。聖魔法は神から授けられたもので、弱者を助け生活を改善しようと意気込んでいた子供たちの夢は次々と壊され、荒んだ少年たちが神殿に溢れかえった。アルフレッドは、だが、性欲そのものに嫌悪感を持つようになった。自分は教皇のようにはならない。敬虔で清廉な人間になるのだ、と誓った。
壊れてしまった少年たちは集団で聖女を襲い慰み者にし、それを隠蔽する聖職者達という悪循環の中、アルフレッドは教皇殺害の計画を練った。性欲に塗れた聖職者など神殿に必要ない。自分が神殿の悪循環を変えてやるのだ、と意気込んだ。
幸いにも、ミズレール13世は、文句を言わず性的奉仕の代わりに金銭を欲するアルフレッドを好んでそばに置いていたので、アルフレッドの計画は意外なほど簡単に進んだ。
まず、教皇の食事の味付けを塩分の高いものに変え、飲水に少しずつ中毒性のある薬を盛り続けた。肉類を多めに野菜は少なく、高価なチョコレートや蜜を多く含んだ果物も必ず添えた。酒は糖度が高く酒精の強い物を毎食出した。甘味と酒と麻薬に依存し始めた教皇は1年も経たないうちに体調を崩したが、その度に聖魔法で少しだけ治療をかけ信頼を獲得し、次期教皇の約束も取り付けた。
次に、聖女を犯した少年たちを一人ずつ天罰が当たったかのように見せかけて殺した。性欲に塗れた復讐と狂気の集団はアルフレッドの計画に必要ないと切り捨てたのだ。
「神に仕える聖女に無体を働いた罰だ」
そう言えば、聖女達はアルフレッドに助けを求めるようになった。聖女達の信頼を勝ち取り、壊れた少年達を始末していく。だが、アルフレッドにとって聖女達はその少年達と変わらなかった。一度二度と犯された聖女達は快楽を覚え、アルフレッドにさえ擦り寄った。
流石に聖女を殺すわけにはいかず、アルフレッドはその聖女達にも同じ薬を与え始め、どこかぼんやりした聖女達を麻薬の栽培係にした。表向きは薬草の育成と聖なる泉に祈りを捧げるために引きこもっているとしたため、誰一人として疑うことがなかった。そうして、教皇と聖女のみが入ることのできる神殿の地下の聖なる泉の周りに麻薬を育て始めた。
そんな事を10年もすると、教皇はでっぷりと太り一人では立てないほどになる。その間にアルフレッドは聖魔法で金を稼ぐ事を示唆した。神殿に来たものは、お布施を、治療には銀貨1枚、と言った具合に。それを渋るものには天罰が下るぞと脅し、実際暗殺者や破落戸を使って地味な嫌がらせをした。神殿に来た人々に聖水と偽り、何十年も摂取しなければ中毒にならない程度の麻薬の入った水を飲ませることも忘れない。
麻薬を世話する聖女はすっかり中毒になっており、地下から出てくることはない。教皇は聖女が死ねば代替えを入れ、死んだ聖女はその場に埋めて麻薬の養分にした。魔力を養分にした土で麻薬は驚くほど良く育つ。
アルフレッドは笑いが止まらなかった。金と権力、それに信仰がつけば怖いものはない。
「どいつもこいつもバカばかり。この世界は私のものだ!はははっ!」
「聖魔力以外の魔力は悪魔の所業であり、神の望むところではない」と豪語し始めたのもその頃だ。
アルフレッドは貧民街に目をつけた。市井に暮らす魔力持ちを見つけては難癖をつけ、仕事を奪い住処を奪い希望を奪った。殺し屋や破落戸を使い、貧民街に誘導し、そこでゆっくり魔力のある人間を攫い、聖女や聖人として育てると大義名分を掲げ、動けない教皇の代行として神殿の教えをゆっくりと変えていったのだ。
街の人々は神の怒りを恐れ、アルフレッドに反発する人間はかなり減った。お布施や奉仕の代金をとり神殿に金が入ってくるようになると、自信を持つようになり自分自身が神になったような気になった。
虫の息だった教皇を熱い風呂に入れ、治療薬と偽り強度の麻薬を与え心臓麻痺を起こさせ殺し、教皇の立場も手に入れた。
我は神だ。世界は我のものになり、全ての人間が我の前に跪く。ありがたい説教に涙を流し、麻薬入りの聖水を飲み、金を落とす金の卵達。
全ては神である我のために。
そう驕るアルフレッドを窘める者は、どこにもいなかった。
メリアンに会うまでは。
噂が小耳に入った。
街で、貧民街で、風のように現れては人々を助ける天使のような少女がいる、と。最初は正義感の強いものは何処にでもいるものだ、と鼻で笑ったアルフレッドだったが、その少女が貧民街で魔法を覚えたようだ、と聞いた時「拙いことになった」と思った。
貧民街はアルフレッドにとって家畜場のようなものだ。聖魔力のある者を探し、神殿に引き入れる。聖人として育て麻薬の世話をさせなければいけないし、下手に力をつけさせては己の立場を危うくする可能性もある。
「ふむ。……使えるならば聖女に仕立て上げるか」
勝手に治療して歩かれるのはかなわないが、懐に入れて仕舞えば、麻薬漬けにして地下に押し込めば問題はない。あるいは、都合の良い広告塔にしても良い。
「使えなければ可哀想だが、出た杭は打ち付けなければな」
アルフレッドの意志に反してメリアンは手強い子供だった。力強い意志をその瞳に宿し人々の救済に走る。まるで遥か彼方の自分のように、明るい未来をまるで疑いなく。腹の底にひたりと冷たい水を落とされたような感覚が広がった。息苦しい凍り付くような一滴は、アルフレッドの心を凍らせた。
諜報員を使い少女を調べれば、侯爵家の一人娘、メリアン・ドリュモア・ガーランドだとわかった。まだ誰も気づいていないようだが、底の見えない魔力量と聖魔力の適性を持っている。どうやら秘密裏に家を抜け出しては、街で色々やらかしているようだった。二つ名は銀の風切鳥のメリー。まだ6歳の子供だ。魔法を学んだのは、侯爵家ではなく貧民街。
メリアンはアルフレッドの脅威になると本能が警鐘を鳴らした。この娘を手に入れなければ、大変なことになる。貧民街にメリアンを近づけるのは得策ではない。魔力持ちが力をつければ、反乱が起きる。己の世界制覇の夢が崩れ落ちるのを肌で感じて青ざめた。これまでの努力が水泡に帰してしまう。
アルフレッドは早速、メリアンの両親を手懐けることにした。あなた方の娘は素晴らしい聖魔力を持っているから神殿によこせと遠回しに伝えたが、答えは否。メリアンは一人娘の嫡子で婿を取り侯爵家を継がなければならない、というのが答えだった。
貴族に手を出すのはよほど注意深くしなければならない。国が出張ってくれば、うまくいくものもうまくいかなくなる。
「信仰心は高いようだな…。聖水に頼るとするか」
そうして約1年、侯爵夫妻は簡単にアルフレッドの手に落ちた。最近は国王の犬が貧民街をコソコソ動き回っている情報も手に入れたアルフレッドは貧民街を叩くことにした。麻薬の生産に響くが、多少の被害は致し方がない。これでメリアンが手に入れば、決定的な力の差になるし、メリアンを使いボロ儲けも出来る、と計算高く計画を実行した。
他国から手に入れた、魔力玉は強い刺激を受けて暴発するものだ。使用者も吹き飛ばされてしまうが、あまり役に立ちそうもない破落戸を使えば問題はないし、その方が都合が良い。事実を知る人間は少ない方が良いからだ。
貧民街の爆破事件を引き起こし、家畜共に決定的な絶望を味わってもらう。そして、その事件を聞きつけたメリアンは無駄な正義感を振り翳して助けに走ってくるだろう。そこで叩くのだ。「神の怒りを買ったのだ、懺悔しろ」と。
結果は散々だった。
小娘に言い返され家畜共の前で大恥をかいたのだ。信望者から納付された質の良いワインを床にぶち撒け棚のワイングラスを全て床に叩きつけた。
「許さんぞ、小娘が…っ!!」
あの娘だけは、このままにしておけん。あの自信に満ちた瞳を絶望に染めてやる。人生を闇に落とし苦悩と絶望の中で生きるように仕向けてやる。麻薬漬けにして楽に死ねると思うなよ。
神である我をバカにした所業は、地獄に落ちて後悔するがいい。
「天から女が落ちてくるなど、神業に違いないと言うのに!何が厄災だ!王太子め、出鼻をくじかれたわ、忌々しい!」
教皇からすれば、これこそ棚から牡丹餅、自分の影響をますます強固にし国を乗っ取る足がけになる所だったのを先を越されてしまったのだから。
孤児だったアルフレッドを見つけ出し、神殿に引き取ったのは前教皇ミズレール13世だが、その男は権力と欲にまみれた男だった。年端の行かない少年を性的虐待するのが趣味の男で、自分以外にも十人以上の子供を聖者見習いとしてそばに置いた。聖魔法は神から授けられたもので、弱者を助け生活を改善しようと意気込んでいた子供たちの夢は次々と壊され、荒んだ少年たちが神殿に溢れかえった。アルフレッドは、だが、性欲そのものに嫌悪感を持つようになった。自分は教皇のようにはならない。敬虔で清廉な人間になるのだ、と誓った。
壊れてしまった少年たちは集団で聖女を襲い慰み者にし、それを隠蔽する聖職者達という悪循環の中、アルフレッドは教皇殺害の計画を練った。性欲に塗れた聖職者など神殿に必要ない。自分が神殿の悪循環を変えてやるのだ、と意気込んだ。
幸いにも、ミズレール13世は、文句を言わず性的奉仕の代わりに金銭を欲するアルフレッドを好んでそばに置いていたので、アルフレッドの計画は意外なほど簡単に進んだ。
まず、教皇の食事の味付けを塩分の高いものに変え、飲水に少しずつ中毒性のある薬を盛り続けた。肉類を多めに野菜は少なく、高価なチョコレートや蜜を多く含んだ果物も必ず添えた。酒は糖度が高く酒精の強い物を毎食出した。甘味と酒と麻薬に依存し始めた教皇は1年も経たないうちに体調を崩したが、その度に聖魔法で少しだけ治療をかけ信頼を獲得し、次期教皇の約束も取り付けた。
次に、聖女を犯した少年たちを一人ずつ天罰が当たったかのように見せかけて殺した。性欲に塗れた復讐と狂気の集団はアルフレッドの計画に必要ないと切り捨てたのだ。
「神に仕える聖女に無体を働いた罰だ」
そう言えば、聖女達はアルフレッドに助けを求めるようになった。聖女達の信頼を勝ち取り、壊れた少年達を始末していく。だが、アルフレッドにとって聖女達はその少年達と変わらなかった。一度二度と犯された聖女達は快楽を覚え、アルフレッドにさえ擦り寄った。
流石に聖女を殺すわけにはいかず、アルフレッドはその聖女達にも同じ薬を与え始め、どこかぼんやりした聖女達を麻薬の栽培係にした。表向きは薬草の育成と聖なる泉に祈りを捧げるために引きこもっているとしたため、誰一人として疑うことがなかった。そうして、教皇と聖女のみが入ることのできる神殿の地下の聖なる泉の周りに麻薬を育て始めた。
そんな事を10年もすると、教皇はでっぷりと太り一人では立てないほどになる。その間にアルフレッドは聖魔法で金を稼ぐ事を示唆した。神殿に来たものは、お布施を、治療には銀貨1枚、と言った具合に。それを渋るものには天罰が下るぞと脅し、実際暗殺者や破落戸を使って地味な嫌がらせをした。神殿に来た人々に聖水と偽り、何十年も摂取しなければ中毒にならない程度の麻薬の入った水を飲ませることも忘れない。
麻薬を世話する聖女はすっかり中毒になっており、地下から出てくることはない。教皇は聖女が死ねば代替えを入れ、死んだ聖女はその場に埋めて麻薬の養分にした。魔力を養分にした土で麻薬は驚くほど良く育つ。
アルフレッドは笑いが止まらなかった。金と権力、それに信仰がつけば怖いものはない。
「どいつもこいつもバカばかり。この世界は私のものだ!はははっ!」
「聖魔力以外の魔力は悪魔の所業であり、神の望むところではない」と豪語し始めたのもその頃だ。
アルフレッドは貧民街に目をつけた。市井に暮らす魔力持ちを見つけては難癖をつけ、仕事を奪い住処を奪い希望を奪った。殺し屋や破落戸を使い、貧民街に誘導し、そこでゆっくり魔力のある人間を攫い、聖女や聖人として育てると大義名分を掲げ、動けない教皇の代行として神殿の教えをゆっくりと変えていったのだ。
街の人々は神の怒りを恐れ、アルフレッドに反発する人間はかなり減った。お布施や奉仕の代金をとり神殿に金が入ってくるようになると、自信を持つようになり自分自身が神になったような気になった。
虫の息だった教皇を熱い風呂に入れ、治療薬と偽り強度の麻薬を与え心臓麻痺を起こさせ殺し、教皇の立場も手に入れた。
我は神だ。世界は我のものになり、全ての人間が我の前に跪く。ありがたい説教に涙を流し、麻薬入りの聖水を飲み、金を落とす金の卵達。
全ては神である我のために。
そう驕るアルフレッドを窘める者は、どこにもいなかった。
メリアンに会うまでは。
噂が小耳に入った。
街で、貧民街で、風のように現れては人々を助ける天使のような少女がいる、と。最初は正義感の強いものは何処にでもいるものだ、と鼻で笑ったアルフレッドだったが、その少女が貧民街で魔法を覚えたようだ、と聞いた時「拙いことになった」と思った。
貧民街はアルフレッドにとって家畜場のようなものだ。聖魔力のある者を探し、神殿に引き入れる。聖人として育て麻薬の世話をさせなければいけないし、下手に力をつけさせては己の立場を危うくする可能性もある。
「ふむ。……使えるならば聖女に仕立て上げるか」
勝手に治療して歩かれるのはかなわないが、懐に入れて仕舞えば、麻薬漬けにして地下に押し込めば問題はない。あるいは、都合の良い広告塔にしても良い。
「使えなければ可哀想だが、出た杭は打ち付けなければな」
アルフレッドの意志に反してメリアンは手強い子供だった。力強い意志をその瞳に宿し人々の救済に走る。まるで遥か彼方の自分のように、明るい未来をまるで疑いなく。腹の底にひたりと冷たい水を落とされたような感覚が広がった。息苦しい凍り付くような一滴は、アルフレッドの心を凍らせた。
諜報員を使い少女を調べれば、侯爵家の一人娘、メリアン・ドリュモア・ガーランドだとわかった。まだ誰も気づいていないようだが、底の見えない魔力量と聖魔力の適性を持っている。どうやら秘密裏に家を抜け出しては、街で色々やらかしているようだった。二つ名は銀の風切鳥のメリー。まだ6歳の子供だ。魔法を学んだのは、侯爵家ではなく貧民街。
メリアンはアルフレッドの脅威になると本能が警鐘を鳴らした。この娘を手に入れなければ、大変なことになる。貧民街にメリアンを近づけるのは得策ではない。魔力持ちが力をつければ、反乱が起きる。己の世界制覇の夢が崩れ落ちるのを肌で感じて青ざめた。これまでの努力が水泡に帰してしまう。
アルフレッドは早速、メリアンの両親を手懐けることにした。あなた方の娘は素晴らしい聖魔力を持っているから神殿によこせと遠回しに伝えたが、答えは否。メリアンは一人娘の嫡子で婿を取り侯爵家を継がなければならない、というのが答えだった。
貴族に手を出すのはよほど注意深くしなければならない。国が出張ってくれば、うまくいくものもうまくいかなくなる。
「信仰心は高いようだな…。聖水に頼るとするか」
そうして約1年、侯爵夫妻は簡単にアルフレッドの手に落ちた。最近は国王の犬が貧民街をコソコソ動き回っている情報も手に入れたアルフレッドは貧民街を叩くことにした。麻薬の生産に響くが、多少の被害は致し方がない。これでメリアンが手に入れば、決定的な力の差になるし、メリアンを使いボロ儲けも出来る、と計算高く計画を実行した。
他国から手に入れた、魔力玉は強い刺激を受けて暴発するものだ。使用者も吹き飛ばされてしまうが、あまり役に立ちそうもない破落戸を使えば問題はないし、その方が都合が良い。事実を知る人間は少ない方が良いからだ。
貧民街の爆破事件を引き起こし、家畜共に決定的な絶望を味わってもらう。そして、その事件を聞きつけたメリアンは無駄な正義感を振り翳して助けに走ってくるだろう。そこで叩くのだ。「神の怒りを買ったのだ、懺悔しろ」と。
結果は散々だった。
小娘に言い返され家畜共の前で大恥をかいたのだ。信望者から納付された質の良いワインを床にぶち撒け棚のワイングラスを全て床に叩きつけた。
「許さんぞ、小娘が…っ!!」
あの娘だけは、このままにしておけん。あの自信に満ちた瞳を絶望に染めてやる。人生を闇に落とし苦悩と絶望の中で生きるように仕向けてやる。麻薬漬けにして楽に死ねると思うなよ。
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