女神様からもらったスキル「不死」はループ地獄の神罰でした!?

里見知美

文字の大きさ
29 / 29

おまけ:女神の小言

しおりを挟む
 
 そよそよと吹くそよ風に銀の髪を靡かせながら、一人の女神がため息をついた。

「はぁ~~、インテンスだったわぁ。このまま無限ループだったらどうしようかと思っちゃった、もー」

 花粉がいけないのよ、花粉が。

 そもそも姉様の世界の真似事をして、天界に擬似世界なんか作るからいけなかったのだ。私のせいだけど!

 女神は無菌室にいるようなものだ。環境汚染に弱かった。

 手折れば枯れてしまう様なきれいなお花に花粉があるなんて思いもしなかった。

 思えば、その過去にも姉様の世界の勇者なんてモンがかっこいいと思い、自分の世界にもと思ったのがいけなかった。物事は全て陰と陽、表と裏がある。善がいれば悪がいるのは世界の理だ。それを忘れて勇者と賢者と聖女となんて作ったものだから、悪が生まれ、愚者が生まれ、魔女が生まれた。

 そして戦争が起こり、正義を振りかざす勇者が驕り高ぶり、悪が寄せ集まって魔王になり、愚者はますます愚者になり自堕落になった。魔女達が額を寄せ合わせ魔族ができ、賢者は我が道を行って精霊になってしまった。それからというもの核分裂を繰り返す細胞達はあっという間に増えて、世界にそれぞれの秩序を造ったまでは良かったのだけど。

 世界は案外狭かった。

 いや、皆が私を信仰してくれればまだ良かった。でも私を信仰する人が皆無!ここ大事!皆無って何!?

 その間に悪さをして命を落とした魔族が、伝道師になって女神の良さを人々に伝えるっていうから輪廻の輪に入れてあげたのに全然チャンネル合わせてくれないし、そう思ってため息をついた隙に思いっきり道外してるし!魔族(の生まれ変わり)は周りを巻き込んで坂道を転がるように愚者になり、ますます悪さをした。なんで魔族なんかに私の信仰を任せたのか、自分で自分がわからない。

 あのクソ悪魔。トイレ掃除300年でも足りないわ。早いとこ連れ戻して清浄しないと私の世界が汚れまくっちゃう。最後にもう一人クソ悪魔の軌道訂正をさせようと、魔族の魂4分の1と私のまつ毛を練って併せて二で割った魂に後追いさせたら、まんまと飲み込まれて小蝿の様になってるし、もー!ほんとに、もー!!悪魔は業が強すぎた!二度と輪廻に入れてやらない!

 その上、私の爪の垢で作った可愛い分身ちゃんを探しても探しても見つからないから、どこに行ったのかと思って覗き込んだら、くしゃみ暴発。しまった、と思った時には下界へぽっちゃん。おかげで私の分身ちゃん見つけられたけど、何あれ!汚されてるじゃないの!あれもあのクソ悪魔のせい!?もー許せない!

 ちょっと!分身ちゃんに与えた私の魔力どこ行っちゃったのよ、あんな死にそうな魔力しか残ってないじゃないの!これじゃ浄化もままならないわ。

 そうだ、リセット!

 姉様の世界でそんなのがあったわ。げえむとかいうやつ。何度死んでも蘇るしプレイするたび選択肢が変えれるから面白い。終わらせても失敗してもリセットすればまた初めからスタートできちゃう、そんなすごいのがげえむといってた。

じゃあ、それポチッとな。

 そうそう、思い通りに動いてちょうだいね。ついでに今死にそうだから、パワーアップさせとくわ。後お助けくんの君にもちょっとお裾分け、と。チームバランスって大事よね。

 ちょっと、何また死んでるのよ、あんた何回死ねば気がすむの!?いい加減怒るわよ。いや、ダメダメ、私が怒ったら世界飛んじゃう。もー、しょうがないからもうちょっとだけ手助けね。はい飛んで飛んで、はい回収~。よくできました。じゃ後はお好きにどうぞ。

 あ、「飛翔の翼」は返してもらうわね~、まだ新種族は欲しくないから。……ああ、でも竜人とか鳥族とかいても楽しいかも……。

 まあ、クソ悪魔、それで懺悔してるつもり?悪態ついてるじゃないの!全然反省の色なしね。やっぱり500年トイレ掃除の罰ね。え?増えてる?誤差よ、誤差!その後はしょぼい畑の地虫に転生させよう。ちょっとは私の世界に役立ちなさいよっ!

 さて、私の分身ちゃん。ようやく綺麗になったみたいね。良かったわ。これからもうちょっと役に立ってもらわなくちゃ。お助け君も無事リンクできたし。そう言えば、精霊になった賢者の群れがいたわねぇ。あれももうちょっと役に立ってもらおう。

 手始めに北の大陸から始めましょうか。ちょっと魔力の無駄遣いしてて、チカチカドンパチ鬱陶しいのよね。クソ悪魔が増長したのもこいつらのせいみたいだし。この辺の加護はもう全部外しちゃおっと。コレからは自力で生きなさいな。

 ああ、でもこの世界の人たちちょっと休ませるとあっという間に年取って死んじゃうし。手助けが必要になるかしらねぇ。分身ちゃんに私のこと広めてもらおっかな。

 とっとと神託おろしちゃえ。


「メリアン、メリアン。聞こえますかー?」


-- FIN --
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです

みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。 時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。 数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。 自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。 はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。 短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました を長編にしたものです。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...