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「……かわいい弟だと、これまで庇ってやったと言うのに。お前がこうなってしまったのは私たちの責任でもある。だから、公開処刑を受ける前に北の塔に入れてやると言っているんだ。理解しろ」
「こ、公開処刑って、たかだか婚約破棄ぐらいで!」
「……たかだか、婚約破棄ぐらいで、だと?お前は本当にあの侯爵家の恐ろしさを分かっていなかったんだな…。教えたつもりでいたのは、つもりに過ぎなかったのか。残念だ」
「貴様のような愚鈍の王子を産んだ責で、お前の母親も北の塔に収容が決まった。……まあ建前だがな」
「はぁ!?母上まで!?な、なんで!どうしてそんなことが許されるのですか!」
「貴様の頭に脳みそを詰め込まず、腹の中に残したからだろうよ」
国王と王太子は、話は終わったとばかりに近衛騎士にアゴで合図をし、フランシスを連れ去る様命じた。
「父上!兄上!私はっ!私はただ…っ!」
悲鳴を上げながら、フランシスは連れて行かれた。それが一番安全な道なのだと言わんばかりに。
「これで、侯爵家の溜飲は下がるでしょうか」
「わからん。何しろ三度目だ。過去の2回までは、納税額の減額と、俺が頭を下げることで呑んでもらったが。これでフランシスは終わった。王妃とは離縁する。その上で実家に帰らせようと思う」
「母上に責任を問われることはないように、ですか」
「…うむ。王妃も理解しておるだろう…。侯爵夫人に詰られ、髪が全て抜け落ちたらしい」
「そ、それは…。あの方に詰られたのなら離縁もやむを得ませんね。領地に引きこもりますか」
「……少なくとも熱りが冷めるまでは。お前は間違えるなよ」
「肝に銘じて」
「フランシスは当面、北の塔に入れ、例のアマディリア嬢も塔に連れていけ。その後でうまく二人を王族管轄の僻地で匿うことにしよう。王族の籍は抜き、幽閉ということになるが」
「……それで無事に済むでしょうか?アマディリアという女は相当やらかしていますし、見せしめのために処刑にしたほうがよろしいのでは?」
「シェイン伯にどう顔向けるというのだ?娘は殺すが商売は続けろとでも?伯爵の商売は国庫を潤しているのだ。今更なしにするわけにはいかん」
「ですが、それも麻薬や違法の……」
「はあ。まともな方法でこの小国が豊かになるとでも思っているのか?お前はフランシスの愛する女を奪えるのか?」
「それは…。ですが、フローレスの怒りを考えると」
「ふん。歌うだけの輩に何ができる?いくら怒ったところでせいぜい亡霊を動かして脅すだけのことだろう。よもや国を潰そうなどとは考えまい。あのフローレスの娘は惜しいが、フランシスには無理だろう。熱りが覚めたら第二王子でも向かわせるか。あれは武芸ばかりで女には疎いからな」
「……」
王太子アドランは眉を顰めたものの、父王に逆らう事はせず沈黙を貫いた。
「こ、公開処刑って、たかだか婚約破棄ぐらいで!」
「……たかだか、婚約破棄ぐらいで、だと?お前は本当にあの侯爵家の恐ろしさを分かっていなかったんだな…。教えたつもりでいたのは、つもりに過ぎなかったのか。残念だ」
「貴様のような愚鈍の王子を産んだ責で、お前の母親も北の塔に収容が決まった。……まあ建前だがな」
「はぁ!?母上まで!?な、なんで!どうしてそんなことが許されるのですか!」
「貴様の頭に脳みそを詰め込まず、腹の中に残したからだろうよ」
国王と王太子は、話は終わったとばかりに近衛騎士にアゴで合図をし、フランシスを連れ去る様命じた。
「父上!兄上!私はっ!私はただ…っ!」
悲鳴を上げながら、フランシスは連れて行かれた。それが一番安全な道なのだと言わんばかりに。
「これで、侯爵家の溜飲は下がるでしょうか」
「わからん。何しろ三度目だ。過去の2回までは、納税額の減額と、俺が頭を下げることで呑んでもらったが。これでフランシスは終わった。王妃とは離縁する。その上で実家に帰らせようと思う」
「母上に責任を問われることはないように、ですか」
「…うむ。王妃も理解しておるだろう…。侯爵夫人に詰られ、髪が全て抜け落ちたらしい」
「そ、それは…。あの方に詰られたのなら離縁もやむを得ませんね。領地に引きこもりますか」
「……少なくとも熱りが冷めるまでは。お前は間違えるなよ」
「肝に銘じて」
「フランシスは当面、北の塔に入れ、例のアマディリア嬢も塔に連れていけ。その後でうまく二人を王族管轄の僻地で匿うことにしよう。王族の籍は抜き、幽閉ということになるが」
「……それで無事に済むでしょうか?アマディリアという女は相当やらかしていますし、見せしめのために処刑にしたほうがよろしいのでは?」
「シェイン伯にどう顔向けるというのだ?娘は殺すが商売は続けろとでも?伯爵の商売は国庫を潤しているのだ。今更なしにするわけにはいかん」
「ですが、それも麻薬や違法の……」
「はあ。まともな方法でこの小国が豊かになるとでも思っているのか?お前はフランシスの愛する女を奪えるのか?」
「それは…。ですが、フローレスの怒りを考えると」
「ふん。歌うだけの輩に何ができる?いくら怒ったところでせいぜい亡霊を動かして脅すだけのことだろう。よもや国を潰そうなどとは考えまい。あのフローレスの娘は惜しいが、フランシスには無理だろう。熱りが覚めたら第二王子でも向かわせるか。あれは武芸ばかりで女には疎いからな」
「……」
王太子アドランは眉を顰めたものの、父王に逆らう事はせず沈黙を貫いた。
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