23 / 43
23 殿との離別
しおりを挟む
第四話 殿との離別
障子の隙間から差し込む灰混じりの光が、広間の畳に鈍く落ちる。
お菊は深々と正座し、背筋を伸ばして殿の前に臨んだ。
控えの間には、彼女の直近の護衛として本多忠壽、金之助、鉄之介が一列に座し、黙って頭を垂れている。
藩主・松平武寛の脇には、加藤成弘が静かに控えていた。
鍛え上げられた体躯と、剣の気配を漂わせる男である。
お菊はしばし沈黙した後、ゆっくりと口を開く。
声は低く、しかし明瞭だった。
「殿、申し上げにくきことではございますが、私、ここを離れねばなりませぬ」
武寛の顔が瞬間、固まる。
彼の額に冷や汗が滲む。
周囲の者たちの視線が重くのしかかった。
「何だと……どういうことじゃ、菊殿」
お菊は視線を逸らさずに、しかし声を少し震わせて続けた。
「先ほどの襲撃、賊の目的は私でございました。まさしく私を連れ去らんとしたところを、ここに控えている三名に助けていただきました。もし、私がこの屋敷に留まれば、殿をはじめ城中にまで禍が及ぶ恐れがございます」
その言葉が広間に落ちると、武寛の顔色は瞬時に変わった。
不安と狼狽が入り混じり、額の血管がわずかに浮く。
脇に控える加藤成弘は、倦んだ目つきのまま外の方角を鋭く睨み、すぐにでも手を打たんとする体勢を見せている。
加藤の背には、万一の際に備えた侍としての職能が翳っていた。
しばしの沈黙の後、お菊は深く息をつき、唇を引き結んで言葉を選ぶように続けた。
声は低く、しかし決意が滲んでいる。
「殿、私がここに留まることは――藩の危機を招くことになります。ですから、お願いがございます。いったんここを離れ、身を潜めさせていただけませんでしょうか。城外へ出て、追手の目を逸らすのです。いわば『雲隠れ』でございます」
言い切った瞬間、お菊の両手がかすかに震えた。
彼女は自ら申し出る形でその言葉を発したのだ。
広間のあちこちでささやきが起こるが、お菊は動じない。
これは自分の判断であり、藩と殿を守るための最良の道だと信じているのだ。
武寛は一拍ほど間を置いてから、ぎこちなくも重々しく問い返した。声には動揺が残る。
「雲隠れとな……。行く当ては、あるのか?」
お菊は頷き、僅かに顔を伏せながら答えた。
「はい。手立てはございます。先ほどお助けくださった方々と共に参ります。彼らが護り、私が戸を外でばらまくことで、城の注意をそらすことができましょう」
加藤はなおも眉間に皺を寄せたが、侍としての判断は迅速だった。重い声で一言付け加える。
「殿。城に留まるよりも、外で身を隠す方が一時の安寧を得られるのは確かでございます。だが、準備と護衛は万全にせねばなりませぬ」
武寛はさらに黙考し、やがて肩の力を抜いて、ぎこちなくも殿としての言葉を吐いた。
「……ならば、赦す。気をつけて参れ。藩と城は儂がなんとかする」
お菊は小さく礼をし、その目には安堵と残る不安が混じった光が宿った。
控えの者たちがざわつく中、決断は下された。
お菊自身の口から出た「雲隠れ」の提案が、城中の運命を一つ動かしたのであった。
廊下の扉が閉まると、三人は重苦しい空気をやや弾ませるかのように別室へ引き上げた。鉄之介が不満を抑えきれず、まず口を開く。
「ちっ……聞いたか、あの殿様。『赦す』だとよ。普通は『守る』って言うだろうが。どんだけ臆病なんだ、あいつ」
金之助が慌てて鉄之介の袖を引き、たしなめる。
「鉄之介、やめてください。今はお姫様が許されたことをありがたく思わないと」
忠壽は痩せた頬に抑えた笑みを浮かべ、だが言葉は落ち着いている。
「拙者も殿の判断に一理あると存ずる。城におれば、殿の荷が増えよう。お菊様が身を潜めるのは、最も現実的で賢明な措置である」
鉄之介は肩をすくめ、毒気を含んで言葉を返す。
「わかっちゃいるが……腹立つぜ。『赦す』で済ますのかよ。さっさと城の外へ放り出せばよかったんだ」
金之助は真剣にお菊を案じる表情で首を振った。
「お姫様は、藩と民を第一に考えている方です。ですから自ら身を引くと決めたのです。俺たちが守らねばいけません」
忠壽が間に入り、鉄之介の乱暴な言葉を制した。言い方は穏やかだが厳格だ。
「鉄之介よ、その口は時に人を傷つける。私の前で愚痴を言うのは構わぬが、今は腹を据えて行動せねばならぬ」
鉄之介は舌打ちしてから、口を引き結んだ。
「わかったよ。だがよ──あの殿の側に居る侍は、なにものだ? なんか気に入らねぇな」
忠壽がわずかに姿勢を正し、静かに応じる。
「先ほど御前に控えておったのは、加藤成弘殿。館林藩きっての剣豪にて、殿の御身辺を預かる御方だ。城中随一、否、国の内でも指折りの剣客と聞き及ぶ」
金之助が目を丸くした。
「そんなに……強いのですか」
「うむ。拙者も遠目ながらその太刀筋を見たことがある。無駄口なく、無駄打ちなく、ひと太刀で事を収める人となりだ。殿を護る剣──それが加藤殿の在り方よ」
鉄之介は鼻を鳴らした。
「ふん。話だけならいくらでも盛れる。いつか手合わせして確かめてやるさ。今の俺と、どんなもんかとな」
忠壽は目だけでたしなめる。
「時と礼を弁えよ、鉄之介。いずれ縁があれば、しかるべき手順で願い出よう。今はお菊様の御身こそ肝要だ」
お菊がそっと言葉を添える。
「加藤は殿を守る剣。私は皆さまに守られる身。役目は異なれど、いずれ頼ることもありましょう。けれど今は――外へ出て、追手の目を逸らすのが先と考えます」
金之助が強く頷く。
「承知しました。まずはお姫様をお連れして安全な場所へ」
鉄之介は大槌を肩に担ぎ直し、ぶっきらぼうに笑った。
「おう。加藤の相手は後回しだ。今は“護る”のが先だな」
忠壽は三人を見渡し、短く結んだ。
「では動く。荷は軽く、足は早く──城を静かに発つぞ」
忠壽は、静かに家臣たちを見渡した。
「白河を六人で出た我らも私と……お前たち二人になってしまった。これからは、お菊様、金之助、鉄之介と常に行動を共にする」
低く厳かな声に、二人の家臣は気を引き締めた。
鉄之介はにやりと笑い、肩の刀を軽く叩いた。
「へっ、ようやく血が騒ぐぜ。相手が佐野でも化け物でも構わねぇ、俺がまとめてぶった斬ってやる!」
金之助は少し緊張した面持ちで、お菊の方に目を向ける。
「お姫様、道中は危のうございます。ですが……朱の珠が必ずや道を示すと、俺は信じております」
お菊は静かに頷いた。その背後には、彼女の身の回りの世話をする女中が控えていた。
こうして、この六人の一行が館林城を後にした。
目的は――佐野の追手を振り切り、そして珠の力を持つ仲間を探し出すこと。
金之助が懐に忍ばせた朱の辰の珠は、微かに脈を打ち、まだ見ぬ者たちを導くように光を宿していた。
障子の隙間から差し込む灰混じりの光が、広間の畳に鈍く落ちる。
お菊は深々と正座し、背筋を伸ばして殿の前に臨んだ。
控えの間には、彼女の直近の護衛として本多忠壽、金之助、鉄之介が一列に座し、黙って頭を垂れている。
藩主・松平武寛の脇には、加藤成弘が静かに控えていた。
鍛え上げられた体躯と、剣の気配を漂わせる男である。
お菊はしばし沈黙した後、ゆっくりと口を開く。
声は低く、しかし明瞭だった。
「殿、申し上げにくきことではございますが、私、ここを離れねばなりませぬ」
武寛の顔が瞬間、固まる。
彼の額に冷や汗が滲む。
周囲の者たちの視線が重くのしかかった。
「何だと……どういうことじゃ、菊殿」
お菊は視線を逸らさずに、しかし声を少し震わせて続けた。
「先ほどの襲撃、賊の目的は私でございました。まさしく私を連れ去らんとしたところを、ここに控えている三名に助けていただきました。もし、私がこの屋敷に留まれば、殿をはじめ城中にまで禍が及ぶ恐れがございます」
その言葉が広間に落ちると、武寛の顔色は瞬時に変わった。
不安と狼狽が入り混じり、額の血管がわずかに浮く。
脇に控える加藤成弘は、倦んだ目つきのまま外の方角を鋭く睨み、すぐにでも手を打たんとする体勢を見せている。
加藤の背には、万一の際に備えた侍としての職能が翳っていた。
しばしの沈黙の後、お菊は深く息をつき、唇を引き結んで言葉を選ぶように続けた。
声は低く、しかし決意が滲んでいる。
「殿、私がここに留まることは――藩の危機を招くことになります。ですから、お願いがございます。いったんここを離れ、身を潜めさせていただけませんでしょうか。城外へ出て、追手の目を逸らすのです。いわば『雲隠れ』でございます」
言い切った瞬間、お菊の両手がかすかに震えた。
彼女は自ら申し出る形でその言葉を発したのだ。
広間のあちこちでささやきが起こるが、お菊は動じない。
これは自分の判断であり、藩と殿を守るための最良の道だと信じているのだ。
武寛は一拍ほど間を置いてから、ぎこちなくも重々しく問い返した。声には動揺が残る。
「雲隠れとな……。行く当ては、あるのか?」
お菊は頷き、僅かに顔を伏せながら答えた。
「はい。手立てはございます。先ほどお助けくださった方々と共に参ります。彼らが護り、私が戸を外でばらまくことで、城の注意をそらすことができましょう」
加藤はなおも眉間に皺を寄せたが、侍としての判断は迅速だった。重い声で一言付け加える。
「殿。城に留まるよりも、外で身を隠す方が一時の安寧を得られるのは確かでございます。だが、準備と護衛は万全にせねばなりませぬ」
武寛はさらに黙考し、やがて肩の力を抜いて、ぎこちなくも殿としての言葉を吐いた。
「……ならば、赦す。気をつけて参れ。藩と城は儂がなんとかする」
お菊は小さく礼をし、その目には安堵と残る不安が混じった光が宿った。
控えの者たちがざわつく中、決断は下された。
お菊自身の口から出た「雲隠れ」の提案が、城中の運命を一つ動かしたのであった。
廊下の扉が閉まると、三人は重苦しい空気をやや弾ませるかのように別室へ引き上げた。鉄之介が不満を抑えきれず、まず口を開く。
「ちっ……聞いたか、あの殿様。『赦す』だとよ。普通は『守る』って言うだろうが。どんだけ臆病なんだ、あいつ」
金之助が慌てて鉄之介の袖を引き、たしなめる。
「鉄之介、やめてください。今はお姫様が許されたことをありがたく思わないと」
忠壽は痩せた頬に抑えた笑みを浮かべ、だが言葉は落ち着いている。
「拙者も殿の判断に一理あると存ずる。城におれば、殿の荷が増えよう。お菊様が身を潜めるのは、最も現実的で賢明な措置である」
鉄之介は肩をすくめ、毒気を含んで言葉を返す。
「わかっちゃいるが……腹立つぜ。『赦す』で済ますのかよ。さっさと城の外へ放り出せばよかったんだ」
金之助は真剣にお菊を案じる表情で首を振った。
「お姫様は、藩と民を第一に考えている方です。ですから自ら身を引くと決めたのです。俺たちが守らねばいけません」
忠壽が間に入り、鉄之介の乱暴な言葉を制した。言い方は穏やかだが厳格だ。
「鉄之介よ、その口は時に人を傷つける。私の前で愚痴を言うのは構わぬが、今は腹を据えて行動せねばならぬ」
鉄之介は舌打ちしてから、口を引き結んだ。
「わかったよ。だがよ──あの殿の側に居る侍は、なにものだ? なんか気に入らねぇな」
忠壽がわずかに姿勢を正し、静かに応じる。
「先ほど御前に控えておったのは、加藤成弘殿。館林藩きっての剣豪にて、殿の御身辺を預かる御方だ。城中随一、否、国の内でも指折りの剣客と聞き及ぶ」
金之助が目を丸くした。
「そんなに……強いのですか」
「うむ。拙者も遠目ながらその太刀筋を見たことがある。無駄口なく、無駄打ちなく、ひと太刀で事を収める人となりだ。殿を護る剣──それが加藤殿の在り方よ」
鉄之介は鼻を鳴らした。
「ふん。話だけならいくらでも盛れる。いつか手合わせして確かめてやるさ。今の俺と、どんなもんかとな」
忠壽は目だけでたしなめる。
「時と礼を弁えよ、鉄之介。いずれ縁があれば、しかるべき手順で願い出よう。今はお菊様の御身こそ肝要だ」
お菊がそっと言葉を添える。
「加藤は殿を守る剣。私は皆さまに守られる身。役目は異なれど、いずれ頼ることもありましょう。けれど今は――外へ出て、追手の目を逸らすのが先と考えます」
金之助が強く頷く。
「承知しました。まずはお姫様をお連れして安全な場所へ」
鉄之介は大槌を肩に担ぎ直し、ぶっきらぼうに笑った。
「おう。加藤の相手は後回しだ。今は“護る”のが先だな」
忠壽は三人を見渡し、短く結んだ。
「では動く。荷は軽く、足は早く──城を静かに発つぞ」
忠壽は、静かに家臣たちを見渡した。
「白河を六人で出た我らも私と……お前たち二人になってしまった。これからは、お菊様、金之助、鉄之介と常に行動を共にする」
低く厳かな声に、二人の家臣は気を引き締めた。
鉄之介はにやりと笑い、肩の刀を軽く叩いた。
「へっ、ようやく血が騒ぐぜ。相手が佐野でも化け物でも構わねぇ、俺がまとめてぶった斬ってやる!」
金之助は少し緊張した面持ちで、お菊の方に目を向ける。
「お姫様、道中は危のうございます。ですが……朱の珠が必ずや道を示すと、俺は信じております」
お菊は静かに頷いた。その背後には、彼女の身の回りの世話をする女中が控えていた。
こうして、この六人の一行が館林城を後にした。
目的は――佐野の追手を振り切り、そして珠の力を持つ仲間を探し出すこと。
金之助が懐に忍ばせた朱の辰の珠は、微かに脈を打ち、まだ見ぬ者たちを導くように光を宿していた。
0
あなたにおすすめの小説
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
江戸の夕映え
大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。
「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三)
そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。
同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。
しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
影武者の天下盗り
井上シオ
歴史・時代
「影武者が、本物を超えてしまった——」
百姓の男が“信長”を演じ続けた。
やがて彼は、歴史さえ書き換える“もう一人の信長”になる。
貧しい百姓・十兵衛は、織田信長の影武者として拾われた。
戦場で命を賭け、演じ続けた先に待っていたのは――本能寺の変。
炎の中、信長は死に、十兵衛だけが生き残った。
家臣たちは彼を“信長”と信じ、十兵衛もまた“信長として生きる”ことを選ぶ。
偽物だった男が、やがて本物を凌ぐ采配で天下を動かしていく。
「俺が、信長だ」
虚構と真実が交差するとき、“天下を盗る”のは誰か。
時は戦国。
貧しい百姓の青年・十兵衛は、戦火に焼かれた村で家も家族も失い、彷徨っていた。
そんな彼を拾ったのは、天下人・織田信長の家臣団だった。
その驚くべき理由は——「あまりにも、信長様に似ている」から。
歴史そのものを塗り替える——“影武者が本物を超える”成り上がり戦国譚。
(このドラマは史実を基にしたフィクションです)
【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜
旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】
文化文政の江戸・深川。
人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。
暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。
家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、
「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。
常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!?
変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。
鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋……
その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。
涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。
これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる