32 / 43
32 決意
しおりを挟む
第十三話 決意
清十郎は、柄に添えた指をゆっくりほどき、虚舟を真っ直ぐに見た。
「とにかく――俺は珠なんかに興味はない」
旅笠の陰の目が、鋼みたいに澄む。
「寅だか何だか知らないが、そんな危なっかしいものはいらぬ。
この剣だけで黒屍人を殲滅してやる」
武蔵が「ほう」と鼻を鳴らし、お蘭は薄く目を細めた。
鉄之介は槌を肩に戻したまま、黙って聞いている。
虚舟は青い杖に体重を預け、静かに首を振った。
「それは無理な話じゃ」
淡々とした声が、逆に重い。
「黒屍人は死者の蘇り。
この噴火はまだまだ多くの死者を生む。
斬っても斬っても――きりがない」
虚舟の言葉に、清十郎の眉がほんの僅か動いた。
だが、引かない。
「それでも俺は斬り続ける」
短い答えが、石みたいに落ちた。
そこにあるのは頑なさというより、生き方の芯だった。
その時、鉄之介がふっと笑った。
「おめえ、悪い奴じゃねえな」
清十郎の視線が、鉄之介へ移る。
鋭い目だ。
だが敵意だけではない。
「貴様は誰だ?」
「俺は鉄之介だ」
鉄之介は胸を親指で叩く。
「ここのお姫様を、こいつらから守ってる。
連れていかれそうになってるんでな」
「連れていくだと?」
清十郎の声が、ひとつ低くなる。
“民を守るために斬る”と言い切る男にとって、その言葉は聞き捨てならない。
そこへ、背後から落ち着いた声が割って入った。
「ああ。
我々とこ奴らは違う」
門の奥から現れたのは忠壽だった。
外の戦の埃をまといながらも、目は冷静に澄んでいる。
清十郎が半身を向ける。
「おぬしは?」
「拙者は、白河藩士・本多忠壽と申す。
お菊様をお守りしている」
清十郎は一瞬、言葉を失った。
白河。
武家。
護衛。
だが城の前に立つこの集団は、藩同士の礼儀の匂いじゃない。
「……どういう構図だ、これは」
清十郎の問いは苛立ちではなく、
全体を掴もうとする剣客の目だった。
忠壽は短く頷き、虚舟と佐野側へ顎を向ける。
「珠のことは理解なされたか」
「我らは、この不吉な珠の封印を目的として集めている。
こ奴らは、この珠で世の中を牛耳るつもりのようだ」
「――だから、絶対に渡さない」
虚舟は微かに笑ったが、否定もしない。
武蔵は肩をすくめ、お蘭は沈黙のまま視線を逸らさない。
清十郎は、ひとつ長く息を吐いた。
珠が何かはまだ腹に落ちきらない。
だが、この場の“線”は見えてきた。
珠を封じたい者たちと、珠を力にしたい者たち。
その間に、巫女がいて、器がいる。
清十郎の目が、戦の冷えから別の熱へ変わる。
「なるほど……だいぶ見えてきた」
刀の柄に添えた手が、少しだけ緩む。
だが次の瞬間、清十郎はまた虚舟へ視線を戻した。
「見えてきたが――
俺はまだ、どちらの駒にもなる気はない」
その一言に、門前の空気が再び張りつめる。
“理解”の先にあるのは、選択と衝突の気配だった。
「難しいことは俺には分からんが――」
武蔵が、歯の隙間から吐き捨てるように言った。
さっき斬られた胸元を指でなぞり、怒りを隠そうともしていない。
「もうこいつ斬っていいだろ。
さっきは油断してたが、片付けてやるよ。――俺一人で」
「待て!」
虚舟が杖を鳴らす。
だが武蔵の耳には届かない。
巨体が、ぐらりと前へ出た。
その一歩だけで石畳が沈む。
武蔵は大太刀を低く構え、薙ぎ払うような一撃を放った。
ぶおんッ!!
風圧が壁になる。
近くにいた黒屍人すら巻き込み、腐肉と骨がまとめて宙へ舞った。
だが清十郎は――そこにいない。
武蔵の刃が通った瞬間、清十郎の影は横へ“ずれて”いた。
足音がしない。
灰の上を滑るように、
風の薄いところへ身体を移している。
武蔵の眉が跳ねる。
「ちょこまかと……!」
次は縦。
太刀を上げ、叩き割る。
どんッ!!
地面が裂け、石の破片が跳ねる。
黒屍人の頭が砕け、
土煙が上がる。
清十郎は煙の外へすでにいる。
肩の位置が変わっていない。
呼吸すら乱れていない。
動きが軽い。
軽いのに、間合いだけは絶対に譲らない。
お蘭が一歩踏み出し、
加勢のために刃を構えかけたその時――
「黙って見てろ」
武蔵が手を横に出して制した。
視線は清十郎に張り付いたまま。
「邪魔だ」
「……なんだってぇ」
お蘭の目が鋭く細まる。
武蔵の勝手さに怒りは滲むが、いまは踏み込まない。
逆に一歩引き、冷たい視線で見据えた。
虚舟は一瞬、眉を動かした。
だがすぐに杖を軽く叩き、黒屍人たちを後退させる。
ざざざざ……
腐った群れが左右へ割れ、門前の広場に、ぽっかりと“円い空白”ができた。
二人の戦場。
珠の力を纏う武蔵の方が、どう見ても有利だ。
体躯、膂力、回復。
――常識なら、清十郎が押し潰される。
だが清十郎は、まったく引けを取らない。
武蔵が踏み込むたび、清十郎は半歩で“重さの芯”を外す。
大鉞が落ちるたび、その落ちる前の気配を読んで、すでに次の位置へいる。
ぶおんッ!!
どんッ!!
ぐわッ!!
武蔵の刃が地面を薙ぎ、割り、抉るたびに石が舞い、灰が爆ぜ、風が悲鳴を上げる。
しかし清十郎の刃は、音が違う。
しゃら、しゃら、しゃら。
雨の筋みたいに細い音。
武蔵の巨刃の“間”へ差し込み、肘、膝、脇、喉元――
動きの継ぎ目だけを狙って刻む。
“切り倒す”のではない。
“止まる場所を作る”ための剣だ。
武蔵の腕が一瞬、重くなる。
「……っ!」
その隙に清十郎が踏み込む。
きらり。
刃先の光が走り、武蔵の脇腹にまた線が入った。
血が散る。 武蔵が吠えるように笑った。
「いいねぇ……!
その剣、まだ遊べる!」
怒りと歓喜が混じっている。
獣が戦で目を覚ます瞬間の顔だ。
忠壽が思わず息を呑む。
「……なんと」
鉄之介も、目を丸くする。
「どういうことだ。
やつはただの侍だろ?
珠の力はないよな」
清十郎の剣は、珠の補正なしに武蔵の圧を切り返している。
それどころか、武蔵の“珠の回復”を上回る勢いで戦の主導権を奪いかけている。
金之助は、その戦いを見ながら胸の奥が焼けるように熱くなるのを感じた。
どくん。どくん。どくん。
辰の鼓動が激しくなる。
呼吸に合わせて熱が膨らみ、同時に――懐の巾着がぶるぶると震え始めた。
寅の珠だ。
辰と寅が、互いを探るように呼応している。
脈が速い。
まるで二つの心臓が、同じ胸の中で打ち始めたみたいだ。
「……なんだ?」
金之助は無意識に巾着へ手を当てる。
熱が、皮膚越しに刺さる。
「どうすれば……」
寅の珠が、器を求めている。
清十郎の剣、その身体、その“猛き芯”に引き寄せられようとしているのが分かる。
けれど同時に、
背筋の奥を撫でるような冷たい匂いがした。
――危ない。
――何かが、混じっている。
寅の求め方が、どこか焦っている。
むしろ“焦らされている”ような脈に聞こえる。
金之助は、視線を虚舟へ投げた。
青い杖。
静かな目。
けれどその奥に、何かが――
金之助の喉が鳴る。
寅は清十郎を欲している。
だが、未がその瞬間を狙っている。
まだ言葉にならない危険の形が、金之助の中で輪郭を結び始めていた。
門前の戦場では、
武蔵の巨刃と清十郎の雨の剣が火花を散らし続けている。
そして懐では、二つの珠が次の一拍へ向けて、激しく脈打っていた。
円く空いた門前の広場。
灰の上に、二つの影が獣みたいにぶつかり合う。
武蔵の大鉞が唸るたび、空気が裂け、石畳が震えた。
ぶおんッ!!
横薙ぎ。
風圧が壁になり、灰が一斉に舞い上がる。
清十郎は“刃が届く前の重さ”を読んで、半歩だけ外へ滑った。
外へ滑った直後に、武蔵の刃がそこを薙ぎ、地面を抉る。
どんッ!!
土と石が跳ね、黒い破片が雨のように降る。
清十郎の羽織の裾を掠め、灰が弾かれて白い筋を描いた。
清十郎の刀は、逆に静かだ。
しゃら、しゃら。
雨の筋のような斬撃が、武蔵の巨刃の“間”へ差し込む。
肘の内側。
膝の裏。
脇腹の継ぎ目。
喉元の薄い線。
――狙いは“骨の芯”じゃない。
動きの継ぎ目だ。
武蔵が踏み込むたび、その継ぎ目へ刃が来る。
来る前に、武蔵は鉞の角度を変える。
変えた瞬間に、清十郎は狙いをずらす。
ずらした瞬間に、武蔵が重さを落とす。
読み合いが、早すぎて音にならない。
がぎんッ!!
刃が真正面で噛み合った。
火花が散り、武蔵の大鉞が弾かれる――ように見えた。
だが弾かれたのは“先”ではない。
武蔵は柄の根で押し返し、全身の重さをそのまま潰しに変える。
清十郎は受けない。
受ければ折れると知っている。
足だけが滑る。
身体ごと“重さの外”へ抜ける。
武蔵の刃が落ちる。
清十郎が抜ける。
抜けた先に、清十郎の刃が走る。
きらり。
武蔵のわき腹にまた細い線が入り、血が弾けた。
武蔵は笑いながら肉が塞がっていくのを感じている。
痛みより先に、興奮が走る顔。
「いいぞ……もっと来い!」
巨体がさらに踏み込む。
どすッ。
この一歩で、間合いの空気が変わった。
武蔵の“重さ”が、広場の中心へ沈み込む。
灰が押し潰され、石畳が鳴る。
清十郎の刃が差し込む。
武蔵の鉞が受ける。
がきん、がきん、がきん。
受けるたびに火花が散り、
武蔵の手首が微かに“角度を覚えていく”。
――武蔵は学んでいる。
清十郎の速さの“癖”を。
踏み込みの“間”を。
刃の落ちる“呼吸”を。
清十郎も気づく。
さっきまで通っていたはずの線が、少しずつ塞がれていくのを。
清十郎はさらに速くなる。
速くなることで、読まれる前に斬る。
しゃらららら。
連ねた斬撃が武蔵の胸へ走る。
武蔵は鉞を“盾”にして受けた。
ぎぃんッ!!
鋼が震え、清十郎の刃が弾かれる。
弾かれた瞬間を、武蔵が逃さない。
ぶおんッ!!
返しの一撃。
巨刃が、今度は清十郎の“逃げ道ごと”薙ぐ。
清十郎が後ろへ飛ぶ。
飛んだ場所の石畳が割れて消えた。
――さっきまでの武蔵なら、
この攻撃の後に重さの戻りが一拍遅れた。
そこへ清十郎の刃が通った。
だが今の武蔵は違う。
重さが戻らない。
重さのまま、次へ繋げてくる。
清十郎が着地した瞬間、
もう武蔵の影が頭上に落ちていた。
どんッ!!
縦。
真っ直ぐ、城門へ突き刺すような叩き割り。
清十郎は半身で躱す――はずだった。
だが武蔵の刃が、落ち際にわずかに軌道を変えた。
清十郎の頬を、鋭い風が撫でる。
じゅっ。
熱い痛み。
浅い。
けれど確かに裂けた。
血が一筋、顎へ落ちた。
清十郎の目が、ほんのわずかに見開く。
武蔵は笑った。
「当たったなァ」
次の一撃。
ぶんッ!!
横薙ぎが二段、三段。
清十郎の退路を潰しながら来る。
躱すだけじゃ済まない。
清十郎は受け流しで線を作る。
がきんッ!!
一太刀目を受け流した瞬間、二太刀目が“間を詰めて”落ちる。
清十郎の袖が裂け、腕の外側に赤い線が走った。
かすり傷。
致命には遠い。
だが――
清十郎の剣が届きにくくなっている。
武蔵の鉞が、清十郎の“差し込みたい線”を全部塞ぐ。
塞いだまま重さを落とし、差し込む瞬間を潰してくる。
清十郎が踏み込む。
武蔵が受ける。
清十郎が角度を変える。
武蔵が先に角度を置く。
清十郎が“間”を詰める。
武蔵がその間に“重さ”を落とす。
刃が届く前に、鉞がそこにある。
清十郎の斬撃は、すべて巨刃に噛み殺され、火花だけが散る。
その火花の裏で、武蔵の攻撃が一つずつ当たり始めた。
頬。
肩の先。
太腿の外。
裾。
指先。
どれも浅い。
全部浅い。
――だが浅い傷が、呼吸の端を少しずつ削る。
清十郎は歯を食いしばり、足を滑らせた。
滑らせるたびに、灰が小さく跳ねる。
跳ねる灰が、“追い詰められていく距離”を物語る。
武蔵の巨体は、じわじわと前へ。
剣の面で押すんじゃない。
戦場そのものを押し潰してくる。
清十郎は逃げない。
逃げないが、余裕は削られる。
刃が届かない。
読まれる。
裂かれる。
心臓が強く打つ。
その鼓動一拍ごとに、武蔵の刃が近づく。
清十郎の肩で、血が温かく滲んだ。
浅い痛みなのに、灰の冷たさと混じって、妙に重い。
武蔵は低い声で嗤う。
「どうしたよ、“雨の剣”さん。
さっきみてぇに、俺の中を抜いてみろよ」
清十郎は答えない。
答えられない。
答える暇がない。
――武蔵が、完全に“捉え始めている”。
清十郎の世界が、少しだけ狭まった。
刃の線が、武蔵の巨刃に押し返されるたび、石畳の背中が近づいてくる。
そして、次の太刀。
武蔵が踏み込んだ。
清十郎が外した。
外した先に、武蔵の刃が待っていた。
ざっ。
清十郎の脇腹に、浅い熱。
羽織が裂け、血がにじむ。
武蔵の笑いが、低く響いた。
清十郎の呼吸が、初めて乱れた。
――押されている。
致命はない。
まだ立てる。
まだ速い。
だが、“攻めの時間”が消えていく。
受ける。
躱す。
ずらす。
耐える。
その繰り返しの中で、
清十郎の剣の芯が、じわじわと追い詰められていった。
門前の誰もが息をするのを忘れていた。
火花と血と灰の中で、“雨の剣”が、珠の獣に押し切られかけている。
その緊迫が、広場の空気を、さらに硬く、冷たく締め上げていた。
金之助の懐が、熱を持って震えだした。
巾着の内側で、寅の珠が――光を増している。
辰の珠と同じ朱の輝き。
だが色合いが違う。
辰の朱が深い血の色なら、寅は橙に近い明るさを帯び、燃えさしの火が一気に息を吹き返すように、眩く膨らんでいく。
布越しにでも分かるほどだ。
巾着の口から、朱と橙が混じる細い光が漏れ、金之助の指先を染めた。
ぶる、ぶる、ぶる……!
振動も激しさを増す。
珠が鼓動しているというより、何かを求めて暴れている。
清十郎が押し込まれ、かすり傷を重ねていくたび、寅の脈はさらに速くなる。
まるで――
“いま行け”
“いまだ”
と、金之助の胸の中を叩いているみたいだった。
「……っ」
金之助は息を呑み、巾着を押さえる。
辰も同時に反応していた。
胸の奥でどくどくと鳴り、血の温度が上がる。
二つの珠が、互いを照らし合い、ここに“揃うべき何か”があると告げている。
だがその光は、ただの喜びじゃない。
焦りの光だ。
寅はあの男を求めている。
あの男の“猛き芯”へ飛びつこうとしている。
それは分かる。
なのに――
同じ光の底に、
ひやりとした危うさが混じる。
まるで
“奪われる前に宿れ”と急き立てられているような。
金之助の背筋が冷たく鳴った。
虚舟が、じっとこちらを見ている。
青い杖は動かない。
動かないのに、目だけが静かに“時”を数えている。
巾着の中で寅が暴れるたび、
清十郎の身体のどこかが、光に呼ばれて震えているようにも見えた。
武蔵の巨刃が、清十郎を押し込み、
次の太刀が振り上がる。
その瞬間、寅の光がさらに増した。
朱というより、橙の炎。
掌の内で燃える小さな太陽。
金之助の喉がかすれた。
「……どうすれば……」
寅の珠が、
いまにも巾着を破って飛び出しそうなほど、光と脈動を昂らせていた。
清十郎は、柄に添えた指をゆっくりほどき、虚舟を真っ直ぐに見た。
「とにかく――俺は珠なんかに興味はない」
旅笠の陰の目が、鋼みたいに澄む。
「寅だか何だか知らないが、そんな危なっかしいものはいらぬ。
この剣だけで黒屍人を殲滅してやる」
武蔵が「ほう」と鼻を鳴らし、お蘭は薄く目を細めた。
鉄之介は槌を肩に戻したまま、黙って聞いている。
虚舟は青い杖に体重を預け、静かに首を振った。
「それは無理な話じゃ」
淡々とした声が、逆に重い。
「黒屍人は死者の蘇り。
この噴火はまだまだ多くの死者を生む。
斬っても斬っても――きりがない」
虚舟の言葉に、清十郎の眉がほんの僅か動いた。
だが、引かない。
「それでも俺は斬り続ける」
短い答えが、石みたいに落ちた。
そこにあるのは頑なさというより、生き方の芯だった。
その時、鉄之介がふっと笑った。
「おめえ、悪い奴じゃねえな」
清十郎の視線が、鉄之介へ移る。
鋭い目だ。
だが敵意だけではない。
「貴様は誰だ?」
「俺は鉄之介だ」
鉄之介は胸を親指で叩く。
「ここのお姫様を、こいつらから守ってる。
連れていかれそうになってるんでな」
「連れていくだと?」
清十郎の声が、ひとつ低くなる。
“民を守るために斬る”と言い切る男にとって、その言葉は聞き捨てならない。
そこへ、背後から落ち着いた声が割って入った。
「ああ。
我々とこ奴らは違う」
門の奥から現れたのは忠壽だった。
外の戦の埃をまといながらも、目は冷静に澄んでいる。
清十郎が半身を向ける。
「おぬしは?」
「拙者は、白河藩士・本多忠壽と申す。
お菊様をお守りしている」
清十郎は一瞬、言葉を失った。
白河。
武家。
護衛。
だが城の前に立つこの集団は、藩同士の礼儀の匂いじゃない。
「……どういう構図だ、これは」
清十郎の問いは苛立ちではなく、
全体を掴もうとする剣客の目だった。
忠壽は短く頷き、虚舟と佐野側へ顎を向ける。
「珠のことは理解なされたか」
「我らは、この不吉な珠の封印を目的として集めている。
こ奴らは、この珠で世の中を牛耳るつもりのようだ」
「――だから、絶対に渡さない」
虚舟は微かに笑ったが、否定もしない。
武蔵は肩をすくめ、お蘭は沈黙のまま視線を逸らさない。
清十郎は、ひとつ長く息を吐いた。
珠が何かはまだ腹に落ちきらない。
だが、この場の“線”は見えてきた。
珠を封じたい者たちと、珠を力にしたい者たち。
その間に、巫女がいて、器がいる。
清十郎の目が、戦の冷えから別の熱へ変わる。
「なるほど……だいぶ見えてきた」
刀の柄に添えた手が、少しだけ緩む。
だが次の瞬間、清十郎はまた虚舟へ視線を戻した。
「見えてきたが――
俺はまだ、どちらの駒にもなる気はない」
その一言に、門前の空気が再び張りつめる。
“理解”の先にあるのは、選択と衝突の気配だった。
「難しいことは俺には分からんが――」
武蔵が、歯の隙間から吐き捨てるように言った。
さっき斬られた胸元を指でなぞり、怒りを隠そうともしていない。
「もうこいつ斬っていいだろ。
さっきは油断してたが、片付けてやるよ。――俺一人で」
「待て!」
虚舟が杖を鳴らす。
だが武蔵の耳には届かない。
巨体が、ぐらりと前へ出た。
その一歩だけで石畳が沈む。
武蔵は大太刀を低く構え、薙ぎ払うような一撃を放った。
ぶおんッ!!
風圧が壁になる。
近くにいた黒屍人すら巻き込み、腐肉と骨がまとめて宙へ舞った。
だが清十郎は――そこにいない。
武蔵の刃が通った瞬間、清十郎の影は横へ“ずれて”いた。
足音がしない。
灰の上を滑るように、
風の薄いところへ身体を移している。
武蔵の眉が跳ねる。
「ちょこまかと……!」
次は縦。
太刀を上げ、叩き割る。
どんッ!!
地面が裂け、石の破片が跳ねる。
黒屍人の頭が砕け、
土煙が上がる。
清十郎は煙の外へすでにいる。
肩の位置が変わっていない。
呼吸すら乱れていない。
動きが軽い。
軽いのに、間合いだけは絶対に譲らない。
お蘭が一歩踏み出し、
加勢のために刃を構えかけたその時――
「黙って見てろ」
武蔵が手を横に出して制した。
視線は清十郎に張り付いたまま。
「邪魔だ」
「……なんだってぇ」
お蘭の目が鋭く細まる。
武蔵の勝手さに怒りは滲むが、いまは踏み込まない。
逆に一歩引き、冷たい視線で見据えた。
虚舟は一瞬、眉を動かした。
だがすぐに杖を軽く叩き、黒屍人たちを後退させる。
ざざざざ……
腐った群れが左右へ割れ、門前の広場に、ぽっかりと“円い空白”ができた。
二人の戦場。
珠の力を纏う武蔵の方が、どう見ても有利だ。
体躯、膂力、回復。
――常識なら、清十郎が押し潰される。
だが清十郎は、まったく引けを取らない。
武蔵が踏み込むたび、清十郎は半歩で“重さの芯”を外す。
大鉞が落ちるたび、その落ちる前の気配を読んで、すでに次の位置へいる。
ぶおんッ!!
どんッ!!
ぐわッ!!
武蔵の刃が地面を薙ぎ、割り、抉るたびに石が舞い、灰が爆ぜ、風が悲鳴を上げる。
しかし清十郎の刃は、音が違う。
しゃら、しゃら、しゃら。
雨の筋みたいに細い音。
武蔵の巨刃の“間”へ差し込み、肘、膝、脇、喉元――
動きの継ぎ目だけを狙って刻む。
“切り倒す”のではない。
“止まる場所を作る”ための剣だ。
武蔵の腕が一瞬、重くなる。
「……っ!」
その隙に清十郎が踏み込む。
きらり。
刃先の光が走り、武蔵の脇腹にまた線が入った。
血が散る。 武蔵が吠えるように笑った。
「いいねぇ……!
その剣、まだ遊べる!」
怒りと歓喜が混じっている。
獣が戦で目を覚ます瞬間の顔だ。
忠壽が思わず息を呑む。
「……なんと」
鉄之介も、目を丸くする。
「どういうことだ。
やつはただの侍だろ?
珠の力はないよな」
清十郎の剣は、珠の補正なしに武蔵の圧を切り返している。
それどころか、武蔵の“珠の回復”を上回る勢いで戦の主導権を奪いかけている。
金之助は、その戦いを見ながら胸の奥が焼けるように熱くなるのを感じた。
どくん。どくん。どくん。
辰の鼓動が激しくなる。
呼吸に合わせて熱が膨らみ、同時に――懐の巾着がぶるぶると震え始めた。
寅の珠だ。
辰と寅が、互いを探るように呼応している。
脈が速い。
まるで二つの心臓が、同じ胸の中で打ち始めたみたいだ。
「……なんだ?」
金之助は無意識に巾着へ手を当てる。
熱が、皮膚越しに刺さる。
「どうすれば……」
寅の珠が、器を求めている。
清十郎の剣、その身体、その“猛き芯”に引き寄せられようとしているのが分かる。
けれど同時に、
背筋の奥を撫でるような冷たい匂いがした。
――危ない。
――何かが、混じっている。
寅の求め方が、どこか焦っている。
むしろ“焦らされている”ような脈に聞こえる。
金之助は、視線を虚舟へ投げた。
青い杖。
静かな目。
けれどその奥に、何かが――
金之助の喉が鳴る。
寅は清十郎を欲している。
だが、未がその瞬間を狙っている。
まだ言葉にならない危険の形が、金之助の中で輪郭を結び始めていた。
門前の戦場では、
武蔵の巨刃と清十郎の雨の剣が火花を散らし続けている。
そして懐では、二つの珠が次の一拍へ向けて、激しく脈打っていた。
円く空いた門前の広場。
灰の上に、二つの影が獣みたいにぶつかり合う。
武蔵の大鉞が唸るたび、空気が裂け、石畳が震えた。
ぶおんッ!!
横薙ぎ。
風圧が壁になり、灰が一斉に舞い上がる。
清十郎は“刃が届く前の重さ”を読んで、半歩だけ外へ滑った。
外へ滑った直後に、武蔵の刃がそこを薙ぎ、地面を抉る。
どんッ!!
土と石が跳ね、黒い破片が雨のように降る。
清十郎の羽織の裾を掠め、灰が弾かれて白い筋を描いた。
清十郎の刀は、逆に静かだ。
しゃら、しゃら。
雨の筋のような斬撃が、武蔵の巨刃の“間”へ差し込む。
肘の内側。
膝の裏。
脇腹の継ぎ目。
喉元の薄い線。
――狙いは“骨の芯”じゃない。
動きの継ぎ目だ。
武蔵が踏み込むたび、その継ぎ目へ刃が来る。
来る前に、武蔵は鉞の角度を変える。
変えた瞬間に、清十郎は狙いをずらす。
ずらした瞬間に、武蔵が重さを落とす。
読み合いが、早すぎて音にならない。
がぎんッ!!
刃が真正面で噛み合った。
火花が散り、武蔵の大鉞が弾かれる――ように見えた。
だが弾かれたのは“先”ではない。
武蔵は柄の根で押し返し、全身の重さをそのまま潰しに変える。
清十郎は受けない。
受ければ折れると知っている。
足だけが滑る。
身体ごと“重さの外”へ抜ける。
武蔵の刃が落ちる。
清十郎が抜ける。
抜けた先に、清十郎の刃が走る。
きらり。
武蔵のわき腹にまた細い線が入り、血が弾けた。
武蔵は笑いながら肉が塞がっていくのを感じている。
痛みより先に、興奮が走る顔。
「いいぞ……もっと来い!」
巨体がさらに踏み込む。
どすッ。
この一歩で、間合いの空気が変わった。
武蔵の“重さ”が、広場の中心へ沈み込む。
灰が押し潰され、石畳が鳴る。
清十郎の刃が差し込む。
武蔵の鉞が受ける。
がきん、がきん、がきん。
受けるたびに火花が散り、
武蔵の手首が微かに“角度を覚えていく”。
――武蔵は学んでいる。
清十郎の速さの“癖”を。
踏み込みの“間”を。
刃の落ちる“呼吸”を。
清十郎も気づく。
さっきまで通っていたはずの線が、少しずつ塞がれていくのを。
清十郎はさらに速くなる。
速くなることで、読まれる前に斬る。
しゃらららら。
連ねた斬撃が武蔵の胸へ走る。
武蔵は鉞を“盾”にして受けた。
ぎぃんッ!!
鋼が震え、清十郎の刃が弾かれる。
弾かれた瞬間を、武蔵が逃さない。
ぶおんッ!!
返しの一撃。
巨刃が、今度は清十郎の“逃げ道ごと”薙ぐ。
清十郎が後ろへ飛ぶ。
飛んだ場所の石畳が割れて消えた。
――さっきまでの武蔵なら、
この攻撃の後に重さの戻りが一拍遅れた。
そこへ清十郎の刃が通った。
だが今の武蔵は違う。
重さが戻らない。
重さのまま、次へ繋げてくる。
清十郎が着地した瞬間、
もう武蔵の影が頭上に落ちていた。
どんッ!!
縦。
真っ直ぐ、城門へ突き刺すような叩き割り。
清十郎は半身で躱す――はずだった。
だが武蔵の刃が、落ち際にわずかに軌道を変えた。
清十郎の頬を、鋭い風が撫でる。
じゅっ。
熱い痛み。
浅い。
けれど確かに裂けた。
血が一筋、顎へ落ちた。
清十郎の目が、ほんのわずかに見開く。
武蔵は笑った。
「当たったなァ」
次の一撃。
ぶんッ!!
横薙ぎが二段、三段。
清十郎の退路を潰しながら来る。
躱すだけじゃ済まない。
清十郎は受け流しで線を作る。
がきんッ!!
一太刀目を受け流した瞬間、二太刀目が“間を詰めて”落ちる。
清十郎の袖が裂け、腕の外側に赤い線が走った。
かすり傷。
致命には遠い。
だが――
清十郎の剣が届きにくくなっている。
武蔵の鉞が、清十郎の“差し込みたい線”を全部塞ぐ。
塞いだまま重さを落とし、差し込む瞬間を潰してくる。
清十郎が踏み込む。
武蔵が受ける。
清十郎が角度を変える。
武蔵が先に角度を置く。
清十郎が“間”を詰める。
武蔵がその間に“重さ”を落とす。
刃が届く前に、鉞がそこにある。
清十郎の斬撃は、すべて巨刃に噛み殺され、火花だけが散る。
その火花の裏で、武蔵の攻撃が一つずつ当たり始めた。
頬。
肩の先。
太腿の外。
裾。
指先。
どれも浅い。
全部浅い。
――だが浅い傷が、呼吸の端を少しずつ削る。
清十郎は歯を食いしばり、足を滑らせた。
滑らせるたびに、灰が小さく跳ねる。
跳ねる灰が、“追い詰められていく距離”を物語る。
武蔵の巨体は、じわじわと前へ。
剣の面で押すんじゃない。
戦場そのものを押し潰してくる。
清十郎は逃げない。
逃げないが、余裕は削られる。
刃が届かない。
読まれる。
裂かれる。
心臓が強く打つ。
その鼓動一拍ごとに、武蔵の刃が近づく。
清十郎の肩で、血が温かく滲んだ。
浅い痛みなのに、灰の冷たさと混じって、妙に重い。
武蔵は低い声で嗤う。
「どうしたよ、“雨の剣”さん。
さっきみてぇに、俺の中を抜いてみろよ」
清十郎は答えない。
答えられない。
答える暇がない。
――武蔵が、完全に“捉え始めている”。
清十郎の世界が、少しだけ狭まった。
刃の線が、武蔵の巨刃に押し返されるたび、石畳の背中が近づいてくる。
そして、次の太刀。
武蔵が踏み込んだ。
清十郎が外した。
外した先に、武蔵の刃が待っていた。
ざっ。
清十郎の脇腹に、浅い熱。
羽織が裂け、血がにじむ。
武蔵の笑いが、低く響いた。
清十郎の呼吸が、初めて乱れた。
――押されている。
致命はない。
まだ立てる。
まだ速い。
だが、“攻めの時間”が消えていく。
受ける。
躱す。
ずらす。
耐える。
その繰り返しの中で、
清十郎の剣の芯が、じわじわと追い詰められていった。
門前の誰もが息をするのを忘れていた。
火花と血と灰の中で、“雨の剣”が、珠の獣に押し切られかけている。
その緊迫が、広場の空気を、さらに硬く、冷たく締め上げていた。
金之助の懐が、熱を持って震えだした。
巾着の内側で、寅の珠が――光を増している。
辰の珠と同じ朱の輝き。
だが色合いが違う。
辰の朱が深い血の色なら、寅は橙に近い明るさを帯び、燃えさしの火が一気に息を吹き返すように、眩く膨らんでいく。
布越しにでも分かるほどだ。
巾着の口から、朱と橙が混じる細い光が漏れ、金之助の指先を染めた。
ぶる、ぶる、ぶる……!
振動も激しさを増す。
珠が鼓動しているというより、何かを求めて暴れている。
清十郎が押し込まれ、かすり傷を重ねていくたび、寅の脈はさらに速くなる。
まるで――
“いま行け”
“いまだ”
と、金之助の胸の中を叩いているみたいだった。
「……っ」
金之助は息を呑み、巾着を押さえる。
辰も同時に反応していた。
胸の奥でどくどくと鳴り、血の温度が上がる。
二つの珠が、互いを照らし合い、ここに“揃うべき何か”があると告げている。
だがその光は、ただの喜びじゃない。
焦りの光だ。
寅はあの男を求めている。
あの男の“猛き芯”へ飛びつこうとしている。
それは分かる。
なのに――
同じ光の底に、
ひやりとした危うさが混じる。
まるで
“奪われる前に宿れ”と急き立てられているような。
金之助の背筋が冷たく鳴った。
虚舟が、じっとこちらを見ている。
青い杖は動かない。
動かないのに、目だけが静かに“時”を数えている。
巾着の中で寅が暴れるたび、
清十郎の身体のどこかが、光に呼ばれて震えているようにも見えた。
武蔵の巨刃が、清十郎を押し込み、
次の太刀が振り上がる。
その瞬間、寅の光がさらに増した。
朱というより、橙の炎。
掌の内で燃える小さな太陽。
金之助の喉がかすれた。
「……どうすれば……」
寅の珠が、
いまにも巾着を破って飛び出しそうなほど、光と脈動を昂らせていた。
0
あなたにおすすめの小説
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
無用庵隠居清左衛門
蔵屋
歴史・時代
前老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信は、厳しい倹約令として|寛政の改革《かんせいのかいかく》を実施した。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された|享保の改革《きょうほうのかいかく》、|天保の改革《てんぽうのかいかく》と合わせて幕政改革の三大改革という。
松平定信は厳しい倹約令を実施したのだった。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い|逼迫《ひっぱく》した幕府の財政で苦しんでいた。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題であった。
この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのであった。
そんな中、徳川家直参旗本であった緒方清左衛門は、己の出世の事しか考えない同僚に嫌気がさしていた。
清左衛門は無欲の徳川家直参旗本であった。
俸禄も入らず、出世欲もなく、ただひたすら、女房の千歳と娘の弥生と、三人仲睦まじく暮らす平穏な日々であればよかったのである。
清左衛門は『あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって千歳と弥生の幸せだけを願い、最後は無欲で死にたい』と思っていたのだ。
ある日、清左衛門に理不尽な言いがかりが同僚立花右近からあったのだ。
清左衛門は右近の言いがかりを相手にせず、
無視したのであった。
そして、松平定信に対して、隠居願いを提出したのであった。
「おぬし、本当にそれで良いのだな」
「拙者、一向に構いません」
「分かった。好きにするがよい」
こうして、清左衛門は隠居生活に入ったのである。
江戸の夕映え
大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。
「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三)
そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。
同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。
しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
影武者の天下盗り
井上シオ
歴史・時代
「影武者が、本物を超えてしまった——」
百姓の男が“信長”を演じ続けた。
やがて彼は、歴史さえ書き換える“もう一人の信長”になる。
貧しい百姓・十兵衛は、織田信長の影武者として拾われた。
戦場で命を賭け、演じ続けた先に待っていたのは――本能寺の変。
炎の中、信長は死に、十兵衛だけが生き残った。
家臣たちは彼を“信長”と信じ、十兵衛もまた“信長として生きる”ことを選ぶ。
偽物だった男が、やがて本物を凌ぐ采配で天下を動かしていく。
「俺が、信長だ」
虚構と真実が交差するとき、“天下を盗る”のは誰か。
時は戦国。
貧しい百姓の青年・十兵衛は、戦火に焼かれた村で家も家族も失い、彷徨っていた。
そんな彼を拾ったのは、天下人・織田信長の家臣団だった。
その驚くべき理由は——「あまりにも、信長様に似ている」から。
歴史そのものを塗り替える——“影武者が本物を超える”成り上がり戦国譚。
(このドラマは史実を基にしたフィクションです)
【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜
旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】
文化文政の江戸・深川。
人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。
暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。
家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、
「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。
常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!?
変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。
鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋……
その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。
涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。
これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる