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第三章 新旧パーティ逆転

最強パーティの誕生

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 マヤの姿を見たマキシリオンの目が輝き、ますます勢いを得る。

「でかしたぞ、マヤ」

「はい?」

「お前からも言ってやってくれよ。こいつらに襲われたんだって」

「はぁ……この期におよんで、私に頼ろうとするの?」

「は? お、おい、そりゃどういう……」

「言ったわよね? パーティを抜けると。私はもう、あなたたちの仲間じゃないわ」

「ま、待てよっ、マヤ! わ、分かった、俺たちの元へ戻ってきていい! だから――」

「私がバカだったわ。なにも分かっていなかったの。ソウルヒートが最強になれたのは、あなたちの実力が凄かったからじゃない。ヤマトさんがあなたたちの浪費を超えるスピードで資金を増やしていたからよ!」

「くっ……」

「騎士団長さん、先ほども伝えた通りです。このマキシリオン率いるソウルヒートは、ヤマト・スプライドが一人でいるところを襲撃し、パーティーの資金を奪おうと計画していまいた」

「ふむ、間違いないか? この状況からそうとは判断できないのだが」

「私がソウルヒートを抜ける前、そういう相談をしていたのを聞きました。しかし、ヤマトさんたちもそれを知って、対策をしていたのでしょう。正面からぶつかり合えば、勝つのは間違いなくヤマトさんたちですから」

「……そうか。あのソウルヒートがこんな追いはぎまがいの犯罪に手を染めていたなんて残念だ。おい前たち、こいつらを留置所へ連れていけ!」

「このアマァァァァァッ!」

 マキシリオンが怨嗟えんさの叫びを上げるが、騎士たちはソウルヒートの三人を無理やり立たせ、路地裏から連れて行く。
 スノウの麻痺も解けていたようだが、彼女はぐったりとうな垂れ、ライダも一気にふけたようなほうけた顔で抵抗しない。

 やがて路地裏へ静寂が訪れ、ラミィ、ハンナ、シルフィが見守る中、ヤマトとマヤが向かい合っていた。

「やっぱり、無用な心配だったわね」

「マヤさん、どうして……」

「ああいう人たちは、こうでもしないと反省しないのよ」

「でも、あそこまでする必要は……」

「はぁ……ヤマトさん、あなたは甘すぎるわ。まぁでも、それも魅力的なんだけどね」

 マヤはそう言って照れたようにはにかむ。

「え?」

「「んな!?」」

「相変わらずモテモテだね」

 呆けるヤマト、驚愕の事実に焦るシルフィとハンナ。
 ラミィは、いつも通りクールに微笑を浮かべ、やれやれと呟く。
 マヤは頬をほんのりと赤くしながらコホンッと咳払いした。

「それでヤマトさん、私をあなたの――」

「なっ、なななななっ」
「ちょ、ちょっとー!」

 今にも衝撃的な言葉が出て来そうな空気に、シルフィとハンナが慌てて駆け寄ろうとする。

「――弟子にしてください!」

「「「……ん?」」」

「ヤマトさん……いえ、先生! あなたの実力に惚れました。どうか私にも、あなたの技術をご指導いただけないでしょうか!?」

 マヤが深く頭を下げると、シルフィとハンナはずっこけた。
 ラミィは「ほぅ?」っと顎に手を当て、ニヤニヤしている。
 
「弟子って、そんな年でもないんだけどなぁ」

「どんな形でもいいですから、色々教えてほしいんです。そのためなら私、なんでもしますから!」

「はいアウトー! マヤちゃん、女の子が男に向かって、なんでもするとか言っちゃダメなんだよー!」

「そ、そうです! ハレンチですぅ!」

 二人が顔を真っ赤にして口を挟んでくる。
 ヤマトはうーんとうなり、どう断ろうか悩んでいると、ラミィが彼の肩へ手を置いた。

「ねぇ二人とも、私から提案いいかな?」

「ラミィ? どうしたの?」

「私は構いませんよ」

「マヤをトリニティスイーツに加えるのはどうだろう? ヤマトはメンバーとしては登録していないから、あと一人枠が空いているし、一緒に活動していく中で、マヤはヤマトのやり方を学べばいいんじゃないかな?」

「なるほど、そういうことか。まぁ、それなら僕は構わないよ。マヤさんはどう?」

「ぜ、ぜひお願いします!」

 ヤマトは逡巡したものの承諾し、マヤは目を輝かせ頭を下げる。
 シルフィとハンナはなにやら「新しいライバルがぁ」とヒソヒソささやき合っていたが、反対はしなかった。
 ラミィは満足げに頷くと、リーダーとして告げた。

「それじゃあ、一件落着ということで、マヤの歓迎会と行こうか!」

 今ここに、新たな最強パーティが誕生したのだった。
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