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第四章 『ヤマト運用商会』結成
ヤマトの過去
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――ヤマトはかつて、森の中で育った。
両親に捨てられたのか、なんらかの出来事があって森へ放りだされたのかは、本人も覚えていない。
森で長いこと生活しているうちに、動物たちの言葉が分かるようになり、ピー助やポゥ太たちに出会った。
動物たちとの生活は慣れれば苦ではなかったが、ある日、たまたま森を通りがかった一人の女性と出会う。
彼女は、ヤマトに興味を持つと森から連れ出し、自分の元で育てた。
実は彼女の正体は、国内でもそれなりに有名な個人投資家だった。
しかし、ヤマトは別に『投資家』として育てられたのではない。
ただただ彼女の金に対する教育が厳しかっただけだ。
師匠はかなりの稼ぎがあり、裕福だったが、ヤマトが決してそれに溺れないようにと、少ない小遣いだけを与え、それで生活するように強制した。
今考えれば、十歳ちょっとの少年にはかなりスパルタな教育だが、ピー助たちが一緒にいてくれたおかげで、彼らが観察した師匠の手法を見よう見まねで実践することができた。
そうやって小鳥たちの協力を得て、いつの間にか投資家としての手法を身に着けていたというわけだ。
「ヤマトさんも辛い経験をされてきたんですね……」
ヤマトが話し終えると、シルフィがうるうると涙目で見てきた。
マヤたちもなんだかしんみりした雰囲気になっている。
「別に大した話じゃないよ。それに、師匠に拾われたおかげで、ここまでこられたんだから」
「ヤマトは強い男だね。人には優しいくせに、強い芯のようなものを持ってるんだから」
ラミィがうんうんと頷き、ヤマトは「そんなことないよ」と照れくさそうに首を横へ振る。
「……あっ、丁度いい機会だ」
ヤマトはふと、手紙の内容を思い出し、ベッドから腰を上げ立ち上がった。
これからのことを話すべきだと思ったのだ。
ハンナはヤマトの雰囲気が変わったことに首を傾げる。
「ヤマトくん、どうしたの? 急に真面目な顔になっちゃって」
「うん。実は話しておかなきゃいけないことがあるんだ」
「それはいったいどんな話?」
ラミィはヤマトの表情からかなり大事な話なのだと悟ったようだ。
緊張で少しばかり頬を強張らせている。
「僕は今まで、色々とトリニティスイーツへのアドバイスや資金管理をしてきたけど、そろそろ正式に手を引こうと思う」
「……え?」
「そ、そんなぁ……」
思いもよらぬ言葉に、シルフィとハンナが瞳を揺らす。
対してマヤは、表情を曇らせるだけであまり動揺しておらず、神妙な面持ちで見つめていた。
おそらく予想していたのだろう。
みんなの疑問をラミィが代表して問う。
「理由を聞いてもいいかな?」
「一つは、君たちがもう十分強いパーティになったこと。それも、全盛期のソウルヒートを超えるぐらいにね。もう一つは、僕の新しい挑戦のためだ」
「挑戦?」
「実は、個人で商会を立ち上げようと思うんだ」
「え? 商会を、ですか?」
マヤが驚きに目を見開いて問い、ヤマトは強く頷く。
「僕には師匠みたいになるっていう夢があってね。そのためには必要なことなんだ」
「そう、ですか……それは仕方のないこと、なんですよね……」
シルフィは寂しそうに俯く。
言いたいことを我慢しているようだ。
「大丈夫だよ、シルフィ。別に遠くへ行くわけじゃないんだ」
すると、今度はマヤが目の前まで歩み寄ってきて、潤んだ瞳で見上げてきた。
「そんな、先生……私、まだ自信がありません。とてもではないですが、まだまだ先生のようには……」
「大丈夫だよ、マヤ。別に僕のようにやる必要はないんだから」
「先生……」
マヤはそれ以上なにも言わず、熱っぽい視線を至近距離でぶつけてくる。
ヤマトは思わずたじろいだ。
なんだか情熱的な雰囲気にドキドキしてくる。
「こらー! そこ近いよ!」
「そ、そうです! なにどさくさに紛れていい雰囲気になってるんですか!?」
ハンナとシルフィが声を上げ、ラミィがくすくすと笑う。
ようやくいつもの雰囲気が戻って来た。
マヤは「別にいいじゃないですか」と言ってもっと密着してこようとするが、二人の間にキュウ子が割って入った。
「キュゥッ!」
「はぁ、キュウ子さん、あなたはいつも肝心なところで……」
キュウ子は、「ヤマトさんは誰にも渡しません!」と言っているが、ヤマトはそれにはあえて触れないでおく。
ちなみに、ピー助とポゥ太は、シルフィとハンナの肩の上から嫉妬に燃える目を向けてきていた。
「コホンッ! まあ、なにはともあれ、ヤマトが新しい道へ進もうというのだから、仲間として応援しようじゃないか」
ラミィがリーダーらしくまとめると、ハンナ、シルフィ、マヤが頷いた。
シルフィは、ヤマトの両手を優しく包み、微笑みながら告げる。
「ヤマトさん、心から応援しています。でも仲間であることに変わりはありません。これからもよろしくお願いしますね」
「もちろんだよ」
ヤマトはシルフィの手の上にもう片方の手を乗せ、これからも彼女たちの助けになろうと胸に誓うのだった。
両親に捨てられたのか、なんらかの出来事があって森へ放りだされたのかは、本人も覚えていない。
森で長いこと生活しているうちに、動物たちの言葉が分かるようになり、ピー助やポゥ太たちに出会った。
動物たちとの生活は慣れれば苦ではなかったが、ある日、たまたま森を通りがかった一人の女性と出会う。
彼女は、ヤマトに興味を持つと森から連れ出し、自分の元で育てた。
実は彼女の正体は、国内でもそれなりに有名な個人投資家だった。
しかし、ヤマトは別に『投資家』として育てられたのではない。
ただただ彼女の金に対する教育が厳しかっただけだ。
師匠はかなりの稼ぎがあり、裕福だったが、ヤマトが決してそれに溺れないようにと、少ない小遣いだけを与え、それで生活するように強制した。
今考えれば、十歳ちょっとの少年にはかなりスパルタな教育だが、ピー助たちが一緒にいてくれたおかげで、彼らが観察した師匠の手法を見よう見まねで実践することができた。
そうやって小鳥たちの協力を得て、いつの間にか投資家としての手法を身に着けていたというわけだ。
「ヤマトさんも辛い経験をされてきたんですね……」
ヤマトが話し終えると、シルフィがうるうると涙目で見てきた。
マヤたちもなんだかしんみりした雰囲気になっている。
「別に大した話じゃないよ。それに、師匠に拾われたおかげで、ここまでこられたんだから」
「ヤマトは強い男だね。人には優しいくせに、強い芯のようなものを持ってるんだから」
ラミィがうんうんと頷き、ヤマトは「そんなことないよ」と照れくさそうに首を横へ振る。
「……あっ、丁度いい機会だ」
ヤマトはふと、手紙の内容を思い出し、ベッドから腰を上げ立ち上がった。
これからのことを話すべきだと思ったのだ。
ハンナはヤマトの雰囲気が変わったことに首を傾げる。
「ヤマトくん、どうしたの? 急に真面目な顔になっちゃって」
「うん。実は話しておかなきゃいけないことがあるんだ」
「それはいったいどんな話?」
ラミィはヤマトの表情からかなり大事な話なのだと悟ったようだ。
緊張で少しばかり頬を強張らせている。
「僕は今まで、色々とトリニティスイーツへのアドバイスや資金管理をしてきたけど、そろそろ正式に手を引こうと思う」
「……え?」
「そ、そんなぁ……」
思いもよらぬ言葉に、シルフィとハンナが瞳を揺らす。
対してマヤは、表情を曇らせるだけであまり動揺しておらず、神妙な面持ちで見つめていた。
おそらく予想していたのだろう。
みんなの疑問をラミィが代表して問う。
「理由を聞いてもいいかな?」
「一つは、君たちがもう十分強いパーティになったこと。それも、全盛期のソウルヒートを超えるぐらいにね。もう一つは、僕の新しい挑戦のためだ」
「挑戦?」
「実は、個人で商会を立ち上げようと思うんだ」
「え? 商会を、ですか?」
マヤが驚きに目を見開いて問い、ヤマトは強く頷く。
「僕には師匠みたいになるっていう夢があってね。そのためには必要なことなんだ」
「そう、ですか……それは仕方のないこと、なんですよね……」
シルフィは寂しそうに俯く。
言いたいことを我慢しているようだ。
「大丈夫だよ、シルフィ。別に遠くへ行くわけじゃないんだ」
すると、今度はマヤが目の前まで歩み寄ってきて、潤んだ瞳で見上げてきた。
「そんな、先生……私、まだ自信がありません。とてもではないですが、まだまだ先生のようには……」
「大丈夫だよ、マヤ。別に僕のようにやる必要はないんだから」
「先生……」
マヤはそれ以上なにも言わず、熱っぽい視線を至近距離でぶつけてくる。
ヤマトは思わずたじろいだ。
なんだか情熱的な雰囲気にドキドキしてくる。
「こらー! そこ近いよ!」
「そ、そうです! なにどさくさに紛れていい雰囲気になってるんですか!?」
ハンナとシルフィが声を上げ、ラミィがくすくすと笑う。
ようやくいつもの雰囲気が戻って来た。
マヤは「別にいいじゃないですか」と言ってもっと密着してこようとするが、二人の間にキュウ子が割って入った。
「キュゥッ!」
「はぁ、キュウ子さん、あなたはいつも肝心なところで……」
キュウ子は、「ヤマトさんは誰にも渡しません!」と言っているが、ヤマトはそれにはあえて触れないでおく。
ちなみに、ピー助とポゥ太は、シルフィとハンナの肩の上から嫉妬に燃える目を向けてきていた。
「コホンッ! まあ、なにはともあれ、ヤマトが新しい道へ進もうというのだから、仲間として応援しようじゃないか」
ラミィがリーダーらしくまとめると、ハンナ、シルフィ、マヤが頷いた。
シルフィは、ヤマトの両手を優しく包み、微笑みながら告げる。
「ヤマトさん、心から応援しています。でも仲間であることに変わりはありません。これからもよろしくお願いしますね」
「もちろんだよ」
ヤマトはシルフィの手の上にもう片方の手を乗せ、これからも彼女たちの助けになろうと胸に誓うのだった。
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