サクリファイスリベリオン ~冤罪で追いつめられた元凄腕ハンターは、ギルドの陰謀を暴き人脈を駆使して復讐する~

高美濃 四間

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最終章 激動の最終決戦

最後の乱入者

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 ルークがカエデに目配せすると、彼女は頷き真実を語り始めた。

「鉱石商ウィルム・クルセイドに、新種アビスの弱点を伝えたのは私です」

「っ!」

 カドルが目を見開き眉をひくつかせる。
 彼もようやく事態を把握したようだ。
 だが邪魔をする隙を与えまいと、すぐにルークが問いを投げる。

「なぜ君は新種の弱点を知っていたんだ?」

「それは……新種を生み出したのが、薬屋フローラだからです」

「な、なんだって!?」
「そ、そんなバカなことが……」
「待てっ、そんな言葉を信じるのか!?」
 
 カエデの証言に会議室が騒然となる。
 もちろんそれだけで信じろと言うのは無理があるが、間違いなく文官たちの心は揺れていた。
 大きな波紋が広がり、カドルやグレイヴもなんと言って静めるか思案する中、カエデは声を大にして続けた。

「フローラはずっと、新種を生み出す研究をしてきました。その試行錯誤の末に生まれたのが、アビスなのです」

 一人の文官が信じられないとばかりに、立ち上がり机に身を乗り出してカエデへ質問を浴びせる。

「アビスを人工的に生み出しただと? そんなことが可能なのか!?」

「はい。アビスの元となる素体さえあれば、ですが」

「素体?」

「アビスの素体として利用されているのは、生きた『竜人族』です。つまり、これまでの竜人失踪はすべてフローラ……いえ、ギルドの指示によるものでした。すべてはアビスを生み出すためです」

「そんなバカなこと……なぜギルドがっ!? なぜ、アビスを生み出す必要がある!?」

 到底信じられないと険しい表情で問う文官に、ルークが答える。

「それは私が先ほど言ったことです。ドラチナスを発展させるためですよ」

「なんと……」

 その文官は、カドルに強く味方している立場だが、矢継ぎ早に問い質すことで、それがかえってギルドの悪事を暴くことになっている。

「で、でたらめだっ!」

 慌てたグレイヴが大声で叫び話を遮る。太い金の眉が吊り上がり顔を憤怒で真っ赤に染めている。
 並大抵の者であればその迫力に怯むのだろうが、ルークの攻勢は揺らがない。
 
「グレイヴ殿、彼女は正真正銘フローラの薬師ですよ。そんな彼女が言っているのだから間違いありません。彼女が身分を偽っていると疑うのであれば、町の人々に聞いてみれば分かることです」

「くっ……あなたがそこの薬師と手を組んで、一芝居打っている可能性もあるでしょう!?」

「ありえないことです。そもそも私と彼女は面識がありません」

 睨み合うルークとグレイヴ。
 もはや乱戦。
 文官たちはざわめき様々な疑問をぶつけ合い、幹事もおろおろするばかりで、もはや領主選の体裁ていさいを保っていない。
 そんな中、とうとうカドルが怒りの声を上げる。

「もういい! ギルドの話は領主選には関係ない。後でじっくり聞いてやるから、今は出て行け!」

 カドルは背後の騎士へ目配せし、カエデを無理やり連れださせようとする。
 それに対し、ルークも彼女を連れて来た護衛に目で指示する。
 カエデに近づこうとした騎士の前に騎士が立ちはだかり、二人は静止。ルークとカドルの意思は拮抗した。
 すると、今度はグレイヴがずかずかと肩を怒らせながら歩き出した。
 その目的は当然カエデ。

「グレイヴ殿!?」

「安心されるがいい。俺も一緒に出て行きますから」

「やめろぉっ!」

 額に冷汗を浮かべ、慌てて呼び止めるルーク。
 だが、グレイヴを止めるために動かせる部下はもうこの場にいない。
 この度こそ万事休すに思われた。
 それでもカエデは、迫るグレイヴの覇気に怯まず気丈に睨み返していた。
 カドルが愉快そうに頬を吊り上げ呟く。

「これで悪あがきも終わりだ」

 まるで野獣のような大きく太いグレイヴの手が、カエデへ迫る。
 グレイヴは歪んだ笑みを浮かべ、カエデは後ずさる。
 これで今度こそ、ルークの敗北が決するかに思われた。
 そのとき――
 
 ――バタンッ!

 大きな音を立て、会議室の入口扉が開いた。
 同時に疾風が舞い、高潔なる闘気が雷の如く駆け抜ける。
 
「――んなっ!」

 驚愕に目を見開き硬直するグレイヴ。
 その手首は、最後の乱入者によって掴まれていた――
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