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53話 反撃を
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会議室を出てしばらく王宮の中を歩いていくと、2メートルはある扉の前で立ち止まった。
「ここだ」
「ここにみんなが……」
不安が押し寄せ、規則的になる心臓の鼓動が体の中から響き渡る。
この扉を開けたらまた絶望してしまうかもしれない。
そんな考えが頭をよぎるなか、俺は扉に手を当てて前に強く押した。
ギィィィ……
「これ……どういうことだよ……」
扉が開かれて、俺の目の前に広がった光景は悲惨な状態そのものであった。
扉の先の部屋ではファイアーウルフ達が手当てを受けていて、体中に怪我を負って血に染まる者や、腕や足などに包帯を何重にも巻いている者もいた。
俺と別れた後に何があったんだ……。
「まだ詳しく話を聞いてないからわからないが、兵士に呼ばれて俺が門に駆けつけたら、大怪我を負ったこの者達がいた」
「またあいつらにやられたのか……。この部屋以外にもいるんだろ?」
「いや、これで全員だ」
「は……?そんなわけないだろ。だってどう考えても少なすぎる……」
本来ならファイアーウルフ達は500人近くいるはずだ。
だが、この部屋には100人程度しかいない。
それでこの部屋以外はもういないって……他の皆んなはどこに行ったんだよ……。
とにかく、早くエンファを見つけて話を聞かないと。
不安で震える体をなんとか落ち着かせて、横たわる怪我人で出来た通路を歩いて行き、エンファを探した。
「リウス様だ……」
「これで捕まった仲間が助かるぞ……!」
捕まった?まさか……!
こうなった原因を聞くために、俺は足を止めて近くのファイアーウルフ達に近寄った。
「ちょっと聞いてもいいか。捕まったって他の――」
「リウスじゃないか」
ファイアーウルフに質問をしようとした時に、横から俺の耳に目的の人物の声が入ってきた。
「エンファ……!よかった、無事……ではなさそうだな」
エンファは、頭を包帯で巻かれていて、腕にも怪我をした跡があった。
「そうだな。そこそこの傷を負ったさ」
前と変わらない調子で笑ってくるけど、やっぱり傷は痛いんだろうな。
どうしても笑顔が引き攣ってしまっている。
「なぁ、エンファ。俺と別れた後に何があったんだ?」
「実は……」
エンファは、笑顔から暗い表情に変わって思い口を開いて俺に何があったかを教えてくれた。
エンファの話をまとめると、俺と別れた後に全員で獣人の国に移動していると、どこからか現れた敵が攻撃を仕掛けてきて戦闘状態になったらしい。
だけど、敵はファイアーウルフ達を殺すことなく捕まえていき、ここにいる者達はなんとか逃げきることに成功したとのこと。
だが、敵の兵士がファイアーウルフ達を殺さなかったのは不幸中の幸いだ。
本来なら殺すことが目的だったはずなのに、殺さずに捕まえるということは新たな目的が出来たのだろうな。
「俺が弱いばかりに……すまなかったな……」
「エンファが謝るなよ。俺だって――」
「そうです。悪いのは俺です」
エンファの謝罪に続いて、後ろから俺達の様子を見ていたファイアーウルフの一人が前に出てきた。
「俺は短い間でしたが、カロス様に戦い方を教えてもらいました。それなのに……俺は……皆んなも、フェイ様も守ることができなかった……!」
一人の者の言葉により、少しざわついていた空間が一瞬にして静まり返った。
「君は?」
歯を食いしばり、拳を握るファイアーウルフは、俺が質問をすると慌てて自己紹介をした。
「申し遅れました。俺の名前はミルマと言います」
特に聞いたことのない名前だな。
でも、カロスに戦い方教えてもらったとなると、こいつは特別な力を持っているんだろうな。
「わかった。ところでミルマ、もう一つ質問をしてもいいか?」
「はい」
「お前は皆んなを助けたいか?」
「はい、仲間を助けたいです」
「わかった。皆んな、聞いてくれ」
ミルマの覚悟を確認した後に、広い空間で発せられた俺の声は静まり返った部屋に響き渡っていった。
「これから、敵に捕まった者を救出しに行こうと思う」
「それは本当ですか!」
「これで妻も助かる……!」
静まり返っていた空間は、一気に活気が溢れ出した。
「誰か協力してくれる人は――」
「俺たちも協力しよう」
「ムラルドル……」
扉の近くで話を聞いていたムラルドルは、俺達のところに歩きながら声を上げた。
「俺たちに協力すると言うことは、ムラルドルの仲間を傷つけるかもしれないんだぞ」
この先何があるかわからない。
どれだけの人数が残っているのかわからないし、俺たちよりも強いやつがいるかもしれない。
そんな状況で傷を負わないということは、まず不可能だろう。
「確かにな。戦場という場所では何があるかわからない。実際に、俺の配下達も戦場に出ていって戻って来なかった奴もいる。だけど……」
ムラルドルは一旦そこで止めて、また言葉を続けた。
「だけど、俺たちは借りを返したい。ミミィの命の恩人に協力しない者はこの国にはいないだろう」
「でも、それがこの国の民が傷ついていいことにはならない」
「そうだな。でも、俺たちが守りたい命をリウス、お前は守ってくれたんだ。なら、お前が守りたい命は、俺たちが守るべき命でもある」
絶対に助ける、ムラルドルの瞳にはそんな意思が籠っていた。
「わかった。その協力に感謝するよ」
「そうと決まれば作戦を立てなくてはな。会議室に戻ろう」
前回、ファイアーウルフ達と立てた作戦は失敗に終わり、フェイを死なせてしまった。
だから、今回の作戦は必ず成功させて、もう誰も死なせない。
「ここだ」
「ここにみんなが……」
不安が押し寄せ、規則的になる心臓の鼓動が体の中から響き渡る。
この扉を開けたらまた絶望してしまうかもしれない。
そんな考えが頭をよぎるなか、俺は扉に手を当てて前に強く押した。
ギィィィ……
「これ……どういうことだよ……」
扉が開かれて、俺の目の前に広がった光景は悲惨な状態そのものであった。
扉の先の部屋ではファイアーウルフ達が手当てを受けていて、体中に怪我を負って血に染まる者や、腕や足などに包帯を何重にも巻いている者もいた。
俺と別れた後に何があったんだ……。
「まだ詳しく話を聞いてないからわからないが、兵士に呼ばれて俺が門に駆けつけたら、大怪我を負ったこの者達がいた」
「またあいつらにやられたのか……。この部屋以外にもいるんだろ?」
「いや、これで全員だ」
「は……?そんなわけないだろ。だってどう考えても少なすぎる……」
本来ならファイアーウルフ達は500人近くいるはずだ。
だが、この部屋には100人程度しかいない。
それでこの部屋以外はもういないって……他の皆んなはどこに行ったんだよ……。
とにかく、早くエンファを見つけて話を聞かないと。
不安で震える体をなんとか落ち着かせて、横たわる怪我人で出来た通路を歩いて行き、エンファを探した。
「リウス様だ……」
「これで捕まった仲間が助かるぞ……!」
捕まった?まさか……!
こうなった原因を聞くために、俺は足を止めて近くのファイアーウルフ達に近寄った。
「ちょっと聞いてもいいか。捕まったって他の――」
「リウスじゃないか」
ファイアーウルフに質問をしようとした時に、横から俺の耳に目的の人物の声が入ってきた。
「エンファ……!よかった、無事……ではなさそうだな」
エンファは、頭を包帯で巻かれていて、腕にも怪我をした跡があった。
「そうだな。そこそこの傷を負ったさ」
前と変わらない調子で笑ってくるけど、やっぱり傷は痛いんだろうな。
どうしても笑顔が引き攣ってしまっている。
「なぁ、エンファ。俺と別れた後に何があったんだ?」
「実は……」
エンファは、笑顔から暗い表情に変わって思い口を開いて俺に何があったかを教えてくれた。
エンファの話をまとめると、俺と別れた後に全員で獣人の国に移動していると、どこからか現れた敵が攻撃を仕掛けてきて戦闘状態になったらしい。
だけど、敵はファイアーウルフ達を殺すことなく捕まえていき、ここにいる者達はなんとか逃げきることに成功したとのこと。
だが、敵の兵士がファイアーウルフ達を殺さなかったのは不幸中の幸いだ。
本来なら殺すことが目的だったはずなのに、殺さずに捕まえるということは新たな目的が出来たのだろうな。
「俺が弱いばかりに……すまなかったな……」
「エンファが謝るなよ。俺だって――」
「そうです。悪いのは俺です」
エンファの謝罪に続いて、後ろから俺達の様子を見ていたファイアーウルフの一人が前に出てきた。
「俺は短い間でしたが、カロス様に戦い方を教えてもらいました。それなのに……俺は……皆んなも、フェイ様も守ることができなかった……!」
一人の者の言葉により、少しざわついていた空間が一瞬にして静まり返った。
「君は?」
歯を食いしばり、拳を握るファイアーウルフは、俺が質問をすると慌てて自己紹介をした。
「申し遅れました。俺の名前はミルマと言います」
特に聞いたことのない名前だな。
でも、カロスに戦い方教えてもらったとなると、こいつは特別な力を持っているんだろうな。
「わかった。ところでミルマ、もう一つ質問をしてもいいか?」
「はい」
「お前は皆んなを助けたいか?」
「はい、仲間を助けたいです」
「わかった。皆んな、聞いてくれ」
ミルマの覚悟を確認した後に、広い空間で発せられた俺の声は静まり返った部屋に響き渡っていった。
「これから、敵に捕まった者を救出しに行こうと思う」
「それは本当ですか!」
「これで妻も助かる……!」
静まり返っていた空間は、一気に活気が溢れ出した。
「誰か協力してくれる人は――」
「俺たちも協力しよう」
「ムラルドル……」
扉の近くで話を聞いていたムラルドルは、俺達のところに歩きながら声を上げた。
「俺たちに協力すると言うことは、ムラルドルの仲間を傷つけるかもしれないんだぞ」
この先何があるかわからない。
どれだけの人数が残っているのかわからないし、俺たちよりも強いやつがいるかもしれない。
そんな状況で傷を負わないということは、まず不可能だろう。
「確かにな。戦場という場所では何があるかわからない。実際に、俺の配下達も戦場に出ていって戻って来なかった奴もいる。だけど……」
ムラルドルは一旦そこで止めて、また言葉を続けた。
「だけど、俺たちは借りを返したい。ミミィの命の恩人に協力しない者はこの国にはいないだろう」
「でも、それがこの国の民が傷ついていいことにはならない」
「そうだな。でも、俺たちが守りたい命をリウス、お前は守ってくれたんだ。なら、お前が守りたい命は、俺たちが守るべき命でもある」
絶対に助ける、ムラルドルの瞳にはそんな意思が籠っていた。
「わかった。その協力に感謝するよ」
「そうと決まれば作戦を立てなくてはな。会議室に戻ろう」
前回、ファイアーウルフ達と立てた作戦は失敗に終わり、フェイを死なせてしまった。
だから、今回の作戦は必ず成功させて、もう誰も死なせない。
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