憤慨

ジョン・グレイディー

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第十三章

光と影

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 やっと東京オリンピックが閉会した。ウィルス禍の中でのオリンピック。日本は歴史に名を刻んだと関係者は褒め称える。総理大臣と知事は特別功労。2人はそれを辞退することなく受領するとのことだ。

 かたやウィルスは連日、国内感染者数の最多記録を更新している。毎日、10000人以上の人々が感染し、医療現場は崩壊間近の状態に陥っている。

 光と影

 正に見事なコントラストを歴史は作成した。

 光を浴びる、脚光の当たる種類の人間はいつの時代も決まっている。保身のみを頑なに守り通し、良心の呵責に目を向けない厚顔無恥な無能の人間だ。糸も簡単に名誉を授かる。ウィルス禍を拡大した責任をカモフラージュするかのように世界の運動会を強行開催した、この2人に…

    影のある人々もオリンピックの終焉とともに、その病んだ心と身体に光がやっと当たり出した。
 小田急線の無差別テロ事件。自身の不幸な人生の矛先を無差別に乗客へ向けた。幸せそうな人々を殺したかったと…、病んでいる…。

 ウィルス感染で自宅療養の人も病状の急変により死亡した。ウィルス関係患者の病院受け入れは困難となっている中での犠牲者だ。

 運動会に使った何兆円もの金が、ウィルス関係の環境整備に使われていたら助かった命だ。

 小田急線の事件も然り。ウィルス禍の精神ストレスをもう少し政府が意識しておれば、この事件も予知できた現象として、前もっての警鐘を鳴らす事ができたかもしれない。

 ウィルス禍の中で世界の運動会を行うと、この影が必ず出来上がることを意識する。リスク側にアンテナを向けずにどこを感知していたのか、間抜け野郎ども目!胸糞悪い!

 必ず光と影が生じ、影のリスクに先見の目を向けることのできる政治家こそ、能力のある政治家だ。そんな政治家は平和ボケの日本には存在しないがな。

 IOCに押し切られ、一年延期し、とうの昔に旬を過ぎた運動会を嫌々ながら開催して、ウィルスを増大させ、人々の危機管理意識を鈍化させ、医療現場を崩壊させ、人々の精神を病ませ、無差別テロを発生させ…

    そんな中、お祭り運動会の閉会式、そこに、のこのこ出席し、ぐだぐだと宣い、自己満足に浸っている、真の罪人の政治家ども!

 誰もこの2人に制裁を下すことは出来ないのか!

 まぁ、どうでも良い、妬み根性の俺には恰好の餌食だがな…

    俺が何を言いたいか?わかってくれたかな…

    光の当たる人間は、ずっと前から決まっているのさ。

 その者が悪魔であろうとも、卑怯者であろうとも、狡猾な人間であろうとも、厚顔無恥な人間であろうとも、その者が本心を言わない限り、その者に光は当たる。

「本来、名誉を授かるような事など何もしていないばかりか、やるべきことも果たせず、それを誤魔化すことに必死になって…
     ノーと言えない日本人の典型なのに、自分が大切なだけなのに、シナリオどおり脚光を浴びさせて頂きありがとうございます。」

 この本心は、2人は墓場の隅まで持って行くことだろう。その厚かましい精神力だけは、褒めてやるよ。

 そして、影の中に居続ける人間。

 小田急線のテロ!

 正に今日の影の象徴だ。
 
 お前は病んで間違ってる。幸せそうな人々を標的にしてはいけない。幸せそうに見えても、幸せだとは限らない。

 幸せな人間。そんな人間は皆無だ。皆無であるから標準は着けやすい。潜在してるのさ。狡猾に本性を隠し、二面性を持った人間。美味しい獲物が弱るまで姿を見せない狡賢い人間。

 怨むなら、そういう類の人間を怨め!

 今、朝の4時47分だ。

 普通なら船に乗ってる時間だが、台風の影響で今日は海に出られない。

 暇つぶしにグダグを並べたまでだ。

 大阪時代の俺の話に戻ろう。

 誰もが嫌がる仕事、クレーマー対応をし出した途端、狡猾な連中は、俺に群がり出した。

 明らかに俺に対する風当たりが変化した。

 奇しくも、俺に対する厄介者扱いを励行していた大阪支店の上層部も、敢えて見ようとしなかった俺の経歴に目を向けざるを得ない状況も生じ出した。

 遂に「ハゲタカ」共が大阪に舞い降り始めたのだ。

 そう、外資系のホールディングスが当社に狙いをつけ、小手先始めに、旧態依然とした悪しき対応、内部統制を引き摺ってる大阪に照準を絞ってきた。

 大阪支店の会社計算上のバランスシートは資本金ばかり膨大に増加させている、言わば、メタボ状態だった。

 子会社を吸収合併して、人員整理、リストラ策を敢行した手法は九州支社と同様であったが、大阪人のセコさが、合併手法に如実に表出されていた。

 吸収する子会社の部署、ノウハウを全て吸収した。

 物を貯めるだけ貯めて、物を捨てることができない。

 物を捨てることは、イコール、「損」とした意識が蔓延していた大阪人らしい愚かな合併手法だった。

 全くもって子会社の事業整理をすることなく、単なる足し算で吸収している。

 資本金額も足し算の繰り返しだ。増大する。膨大する。メタボの額となる。効率化してないことが諸に露呈されている。

 外資系のホールディングス、ハゲタカはそれを逃すようなヘマはしない。

 大阪支店の債権者の会社を買収し、ハゲタカどもは、債権者として爪を立て、債権額の保証としての剰余金の少なさを追及して来た。

 大阪支店の上層部は、会社法に不慣れであり、ましてや会社計算規則など熟知していなかった。

 あるスキルは商人根性のみであった。

 弁護士に泣きつくが、いきなり泣きつかれても、内部統制のやり取りを把握していない外部の存在である弁護士に迅速な対応ができるはずがない。

 帳簿整理している会計士との打合せで時間だけが過ぎ去り、ハゲタカ債権者の詰問にアンサーが出せない。

 そこで、大阪支店の上層部は、今まで腫れ物のように扱っていた俺の経歴に仕方なく目を向け、そして、掌を返すように俺に懇願して来た。

「君の九州支社での経歴を見た。合併契約の作成、折衝にもあたっている。会社計算規則にも精通している。そのスキルを我が大阪でも活かしてくれないか。」と

 俺はこんな輩、直ぐに翻る卑怯者ほど嫌いな人間は居ない!

 俺は断った。

 断れるか?って、

 簡単さ。目を合わさず、下を向き、「出来ません。」、「自信がありません。」これを何度も繰り返せば良いだけの話だ。

 俺には、とっくの昔に野心というエネルギーは消え去り、鬱病に犯された脆弱な精神の人間だったからな。

 大阪支店の上層部は、俺を村八分したことにバツが悪そうに、懇願を続ける。

「君への当初対応は、適切なものであったとは決して言えないことは十分に把握し、そして反省している。今後は営業部から、君の真価が発揮できる人事部に異動してもらうつもりでいる。何とか会社の為、応じてくれないか?」と

 情け無いと思わないかい?会社だぞ!命令すればよく、それに従わなければ首にすればよいだけの話だ。

 此方は、たわいのない一係長だ。それも、大阪人でもない、九州もんだ。

 ここで言っておく。大阪支店の最大の欠点は、地元贔屓、これに尽きる!

 大阪人は地元で固まり、他所者より地元大阪人をえこ贔屓する風潮があった。だから、東京に勝てない。それが、分かってない。

 俺の悪い心が、昼寝から起きたように、欠伸をしながら、久々、茶々を入れ込んで来た。

「お前の一番嫌う、二枚舌の卑怯者だな~。からかってやれよ~」と

 俺はやっと顔を上げ、この大阪支店の上層部、支店長の間抜け面を気怠そうに見遣り、こう言った。

「私は大阪出身でない社員です。大阪エリアの貢献についても将来に至るまで期待のできない社員です。また、本社からも睨まれている問題社員です。そのことは、貴方が一番ご存知かと…」と

 この卑怯者のコヨーテ野郎の支店長は慌てて、俺に懇願し続けた。

「今後の君の処遇については、九州支社に確実に引き継ぐことを約束します。ここでの君のキャリアは本社にも改めて報告し、会社貢献度の大きさをアピールするので、何とか協力してくれないか?」と

 俺は、この時を待っていた。

 この機を絶対に逃さなかった!

「私を散々利用し、落武者の烙印を印した本社に貢献する気は微塵もない。
 また、この大阪支店に義理立てもない。
 私は負け犬であっても、卑怯者にはなりたくない。」と

 ぐうの根も出なかった。

 この支店長は固まり、貧乏ゆすりをするのみであった。

 俺の顔を、俺の目を見ることさえ出来なくなった。

 俺の放った言葉は、この卑怯者の確信であり、そして、それは今となっては、急所となった。

 俺の悪い心が、俺を更に煽る。

「早くトドメを刺してやれよ!もう、こいつは死に体だよ!」と

 俺もトドメの潮時かと思い、この卑怯者をある意味、楽にしてやった。

「もう、何ふり構わず忖度するのはやめたらどうです。みっともないですよ。貴方は今までどおり本社のイエスマンとして、また、大阪贔屓の支店長として、ブレずにやるべきだ。私のような者に掌を返すべきではない!」と

 大阪支店長はあからさまにこう言った。

「その通りです。この会社では、イエスマンでないと出世は出来ません。掌を返すことは、私共にはよくあることです。仰るとおりです。」と

 大阪支店長の表情は、冷酷な餓鬼のように、その視点は空を彷徨い、口元は弛みだらしなくなっていった。

 俺の悪い心は満足気に落とし所を言及して来た。

「いい頃合いだ。卑怯者から本音を言わせたのには価値がある。また、会社の懐に入り込み、真の卑怯者を見出せ!」と

 俺もそれを良しとし、この餓鬼のような支店長にこう言った。

「私を利用するなら利用すれば良い。私には関係がなく、関心もない。よって、その異動も断ることはありません。」と

 支店長は喜び、俺に握手をしに近寄ったが、それは違うと改心し、後退りし、俺に礼を言うと、この部屋から出て行った。

 恐らく本社に電話を掛けに行ったのであろう。厄介者を味方につけたパフォーマンスを評価して貰いにね。

 腐れ本社も、この場は所詮、大阪であり、東京ではないことから、俺の人事部への復帰は頑なには反対しなかったそうだ。

 腹黒い本社は、俺みたいな厄介者がハゲタカと戦うのを予期していたのさ。

 俺もこれで、益々、腐れ本社の場当たり的な対応を確信することができた。

 お前らの腐れのシナリオに一応は乗ってやるが、覚悟しておけ!

 俺は決してお前らを信用はしないということを…

 
 
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