29 / 33
第二十九章
哀愁の景色に悟る
しおりを挟む
多幸と会った後、俺は誰も居ない社宅へと戻った。
今までおどろおどろしく感じていた社宅自体、何も感じない。
不気味さも恐怖心も何も感じない。
部屋に戻るなり、俺は暫し、電気も着けずに北部屋に座り込んだ。
ほんと、途方に暮れた…
多幸は信じるか信じないかは俺次第と言うが、多幸の想像と見た夢は非常にリンクする。
俺は押入れ四隅北の一角を見つめた。
真っ暗闇で何も見えない。
その暗闇に死界への入口があるのか…
俺はそう思うと、今現在、俺という存在は生存しているのか否か、自分自身でも分からなくなった。
多幸は言う。
「貴方の意識裏の世界はあの女が主導権を握っている」と
そんな…
まるで、俺の人生の半分はあの女の為に続いていたのか…
意識ある世界の俺とは…
至って平凡な人間である。
恋愛も失恋も経験し、普通の女性と結婚し、子供を2人設けた普通のサラリーマンだ。
この社宅に来るまで、こんなに途方に暮れることもなく、言わば凪いだ波の無い海を航海して来た人間だ。
これが俺の知る人生
しかし、これは半分に過ぎなかったのか…
無意識に歩んで行った道があったのだ。
あの女に俺は確かに言った。
「俺も決してお前を裏切らない。」と
何故、そう言ったのか…
現実、意識ある今現在、夢の中の出来事を思い出すことは不可能である。
「あの女に言わなければならない。」
「何を…」
「お前と一緒には行けない。」
「お前を裏切らなければならない。」
「何故?」
「俺には愛する家族が居る。」
こう自問自答する中、俺はあの女に会って、言わなければならないと思い至った。
俺はリビングから布団を北部屋に移した。
押入れ四隅西の杭は抜いたままだ。
「早く現れてくれ…、俺を迎えに来いよ…」
俺はそう思いながら、あの『送り道』の夢を見ようとした。
しかし、見ようとして見えた夢などない。
更に思うに…、俺の企てはあの女に全てみすかされているかのように、何日経っても『送り道』の夢は表出して来なかった。
そんなある日
新居への引っ越しまで残り2日となった時であった。
相変わらず、『送り道』の夢を求めながら眠りに着いたその夜、
俺は金縛りにあった。
「はっ」と目が醒める。
声が出ない!
身体が動かない!
俺は思った。
「遂にあの女が迎えに来たのか!」と
俺は暗闇の中、押入れ四隅北を見つめている。
すると、その方向と真逆の方向である南側、部屋の外、廊下が「ぎゅ、ぎゅ」と軋む音が聞こえて来た。
俺は眼球を精一杯、その方向へと向けた。
足音は止まり、暫し、静寂と沈黙の時が辺りを覆い、心臓の鼓動だけが鼓膜を刺激していた。
十も数えないうち、部屋の襖が「すぅ~」と開いた。
俺は覚悟し、その開いた空間を睨んだ!
「うっ!」と
喉が唸った。
真っ黒な影の塊…
暗闇の塊…
そんな得体もしれない黒い空間が部屋の前に漂っていた。
そして、その黒い空気は大きな丸い塊のまま、俺の方に霧が立ち込むように近づいて来る。
俺の顔に、俺の鼻に、俺の口の中に…、
黒い空気が接触し、侵入して来る…
俺は麻酔を掛けられたように意識が遠のいて行った。
【『送り道』を歩いている。俺は無意識に右隣を見遣ると浴衣を着たあの女が居る。
そして、中指と薬指ではなく、しっかりと2人は手を繋いでいる。
俺は何かを女に言おうとしている。
しかし、何かを言おうとすると、女が話しかける。
「あれを見て!」と女が先を指差す。
すると朧げに夕焼けに輝く景色が浮かんでくる。
川面はオレンジ色にキラキラと輝いている。
なんとも言えない哀愁感が俺の心を覆う。
「懐かしいねぇ。」と女が呟く。
俺が何も答えないと、女が嬉しそうにこう言う。
「あの河原、貴方と一緒に遊んだ河原…、魚を追ったり、水かけっこしたりして…、楽しかった…」と
女の言葉が俺の脳裏に画像を映し出した。
「そう、日が暮れるまで、遊んだ…、毎日、毎日、あの子が居た…」
俺は少年時代を思い出していた。
初恋の少女
名も忘れ、顔立ちも思い浮かばない、懐かしい初恋の少女
男の子のように真っ黒に日焼けした、瞳の大きな少女
「あの子…、お前だったの…」
「うん!」
女は歯に噛みながら「こくり」と頷く。
『送り道』を歩む。
次に木々の隙間から七色の朝日が差し込む森の中に景色は変わる。
足元の土は黄土色で柔らかい。
姿の見えない小鳥達が楽しげに囀る。
大きな椋木の幹が見える。
女が指差す。
「あの幹の根に2人で座って、沢山、お話したよね。」と
「そうそう、なんでもない話を良くした。」
俺は何も疑いもなく哀愁に身を寄せてしまっていた。
「話すだけで楽しかった。」
「うん!安心した。」
「そう!安心したわ…、2人だけの空間だったもの!」
「そうだ!」
「初恋…、唯一の恋…、永遠の恋人、私はそう貴方を思っていたわ。」
「俺もだよ。一番失いたくないもの、それがお前だった…」
森を抜けると高原が開けた。
大山が正面に聳え立ち、左右後ろは緑の草原
風達は笑うように2人の髪を悪戯に靡かせる。
2人で思い切って草の上に寝転んだ。
草原は幼く軽い2人の純な身体をふんわりと優しく跳ね返す。
声は風達に邪魔され、2人は何かを叫びながら満面の笑み浮かべている。
少女は微笑みながら目を閉じる。
俺は真似して目を閉じる。
「何が見える?」と少女が囁く。
瞼を通して橙色の陽光が霞む。
「お前の笑顔が見えるよ。」と俺は言う。
「私も貴方の優しい笑顔が見えるよ。」と少女が答える。
2人は草原のベットに横たわり、そっと掌を重ね合わせた。
『送り道』は哀愁の思い出を数々と表現して行く。
2人とも懐かしんだ。
映像の休憩時間
『送り道』は賑やかな縁日へと戻る。
俺は女に言おうとしていたことを思い出せずにいた。
そんな俺を分かっているのか、女は自身の言い分で俺の口に蓋をする。
「私…、ずっと貴方と一緒に居たかった。
病気さえしなければ…
貴方の前から消えたりしなかった、絶対に…、消えたり…」
女の綺麗な横顔に涙の雫が一筋通った。
「でもね…、私…、いつか…、必ず、貴方とまた逢えると信じていた…、
良かった…」
女は泣きながら笑いながらそう囁いた。
俺は女の掌を強く強く握った。】
俺は夢から目覚めた。
なんとも言えない目覚め
悲しくもあり、切なくもあり、懐かしくもあり、胸一杯に様々な想いが詰まった目覚め
何故か俺の瞳は濡れていた。
「初恋の人…」
俺はやっと一言、そう呟いた。
大切な思い出の箱が開き、そこに居る主人公として、あの女が存在していた。
俺は思った。
「俺を一番大切に思ってくれるのは彼奴かも…、だって…、俺の宝物、俺の穢れのない想いまでも再現してくれるんだ。
あの綺麗な思い出を。」と
そして、自然に感じた。
「もう、止めよう…、彼奴を拒むことは、もう、止めよう」と
今までおどろおどろしく感じていた社宅自体、何も感じない。
不気味さも恐怖心も何も感じない。
部屋に戻るなり、俺は暫し、電気も着けずに北部屋に座り込んだ。
ほんと、途方に暮れた…
多幸は信じるか信じないかは俺次第と言うが、多幸の想像と見た夢は非常にリンクする。
俺は押入れ四隅北の一角を見つめた。
真っ暗闇で何も見えない。
その暗闇に死界への入口があるのか…
俺はそう思うと、今現在、俺という存在は生存しているのか否か、自分自身でも分からなくなった。
多幸は言う。
「貴方の意識裏の世界はあの女が主導権を握っている」と
そんな…
まるで、俺の人生の半分はあの女の為に続いていたのか…
意識ある世界の俺とは…
至って平凡な人間である。
恋愛も失恋も経験し、普通の女性と結婚し、子供を2人設けた普通のサラリーマンだ。
この社宅に来るまで、こんなに途方に暮れることもなく、言わば凪いだ波の無い海を航海して来た人間だ。
これが俺の知る人生
しかし、これは半分に過ぎなかったのか…
無意識に歩んで行った道があったのだ。
あの女に俺は確かに言った。
「俺も決してお前を裏切らない。」と
何故、そう言ったのか…
現実、意識ある今現在、夢の中の出来事を思い出すことは不可能である。
「あの女に言わなければならない。」
「何を…」
「お前と一緒には行けない。」
「お前を裏切らなければならない。」
「何故?」
「俺には愛する家族が居る。」
こう自問自答する中、俺はあの女に会って、言わなければならないと思い至った。
俺はリビングから布団を北部屋に移した。
押入れ四隅西の杭は抜いたままだ。
「早く現れてくれ…、俺を迎えに来いよ…」
俺はそう思いながら、あの『送り道』の夢を見ようとした。
しかし、見ようとして見えた夢などない。
更に思うに…、俺の企てはあの女に全てみすかされているかのように、何日経っても『送り道』の夢は表出して来なかった。
そんなある日
新居への引っ越しまで残り2日となった時であった。
相変わらず、『送り道』の夢を求めながら眠りに着いたその夜、
俺は金縛りにあった。
「はっ」と目が醒める。
声が出ない!
身体が動かない!
俺は思った。
「遂にあの女が迎えに来たのか!」と
俺は暗闇の中、押入れ四隅北を見つめている。
すると、その方向と真逆の方向である南側、部屋の外、廊下が「ぎゅ、ぎゅ」と軋む音が聞こえて来た。
俺は眼球を精一杯、その方向へと向けた。
足音は止まり、暫し、静寂と沈黙の時が辺りを覆い、心臓の鼓動だけが鼓膜を刺激していた。
十も数えないうち、部屋の襖が「すぅ~」と開いた。
俺は覚悟し、その開いた空間を睨んだ!
「うっ!」と
喉が唸った。
真っ黒な影の塊…
暗闇の塊…
そんな得体もしれない黒い空間が部屋の前に漂っていた。
そして、その黒い空気は大きな丸い塊のまま、俺の方に霧が立ち込むように近づいて来る。
俺の顔に、俺の鼻に、俺の口の中に…、
黒い空気が接触し、侵入して来る…
俺は麻酔を掛けられたように意識が遠のいて行った。
【『送り道』を歩いている。俺は無意識に右隣を見遣ると浴衣を着たあの女が居る。
そして、中指と薬指ではなく、しっかりと2人は手を繋いでいる。
俺は何かを女に言おうとしている。
しかし、何かを言おうとすると、女が話しかける。
「あれを見て!」と女が先を指差す。
すると朧げに夕焼けに輝く景色が浮かんでくる。
川面はオレンジ色にキラキラと輝いている。
なんとも言えない哀愁感が俺の心を覆う。
「懐かしいねぇ。」と女が呟く。
俺が何も答えないと、女が嬉しそうにこう言う。
「あの河原、貴方と一緒に遊んだ河原…、魚を追ったり、水かけっこしたりして…、楽しかった…」と
女の言葉が俺の脳裏に画像を映し出した。
「そう、日が暮れるまで、遊んだ…、毎日、毎日、あの子が居た…」
俺は少年時代を思い出していた。
初恋の少女
名も忘れ、顔立ちも思い浮かばない、懐かしい初恋の少女
男の子のように真っ黒に日焼けした、瞳の大きな少女
「あの子…、お前だったの…」
「うん!」
女は歯に噛みながら「こくり」と頷く。
『送り道』を歩む。
次に木々の隙間から七色の朝日が差し込む森の中に景色は変わる。
足元の土は黄土色で柔らかい。
姿の見えない小鳥達が楽しげに囀る。
大きな椋木の幹が見える。
女が指差す。
「あの幹の根に2人で座って、沢山、お話したよね。」と
「そうそう、なんでもない話を良くした。」
俺は何も疑いもなく哀愁に身を寄せてしまっていた。
「話すだけで楽しかった。」
「うん!安心した。」
「そう!安心したわ…、2人だけの空間だったもの!」
「そうだ!」
「初恋…、唯一の恋…、永遠の恋人、私はそう貴方を思っていたわ。」
「俺もだよ。一番失いたくないもの、それがお前だった…」
森を抜けると高原が開けた。
大山が正面に聳え立ち、左右後ろは緑の草原
風達は笑うように2人の髪を悪戯に靡かせる。
2人で思い切って草の上に寝転んだ。
草原は幼く軽い2人の純な身体をふんわりと優しく跳ね返す。
声は風達に邪魔され、2人は何かを叫びながら満面の笑み浮かべている。
少女は微笑みながら目を閉じる。
俺は真似して目を閉じる。
「何が見える?」と少女が囁く。
瞼を通して橙色の陽光が霞む。
「お前の笑顔が見えるよ。」と俺は言う。
「私も貴方の優しい笑顔が見えるよ。」と少女が答える。
2人は草原のベットに横たわり、そっと掌を重ね合わせた。
『送り道』は哀愁の思い出を数々と表現して行く。
2人とも懐かしんだ。
映像の休憩時間
『送り道』は賑やかな縁日へと戻る。
俺は女に言おうとしていたことを思い出せずにいた。
そんな俺を分かっているのか、女は自身の言い分で俺の口に蓋をする。
「私…、ずっと貴方と一緒に居たかった。
病気さえしなければ…
貴方の前から消えたりしなかった、絶対に…、消えたり…」
女の綺麗な横顔に涙の雫が一筋通った。
「でもね…、私…、いつか…、必ず、貴方とまた逢えると信じていた…、
良かった…」
女は泣きながら笑いながらそう囁いた。
俺は女の掌を強く強く握った。】
俺は夢から目覚めた。
なんとも言えない目覚め
悲しくもあり、切なくもあり、懐かしくもあり、胸一杯に様々な想いが詰まった目覚め
何故か俺の瞳は濡れていた。
「初恋の人…」
俺はやっと一言、そう呟いた。
大切な思い出の箱が開き、そこに居る主人公として、あの女が存在していた。
俺は思った。
「俺を一番大切に思ってくれるのは彼奴かも…、だって…、俺の宝物、俺の穢れのない想いまでも再現してくれるんだ。
あの綺麗な思い出を。」と
そして、自然に感じた。
「もう、止めよう…、彼奴を拒むことは、もう、止めよう」と
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる