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第十三章
俺とは違う
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年が明けた新年1月1日、美咲は家族揃って若宮様へ初詣に行った。
「この並ぶのが初詣での縁起良さ、伝わるよねぇー」
「お姉ちゃん、今年こそ、あれだね…、ねぇ~」
「何よ!美咲だって一緒じゃん!」
「それはどうかな…」
「新年早々、姉貴に鎌かけない。願いは同じでしょ、ね、ね、美咲ちゃん、ね!」
「それは神のみぞ知るのであった。」
「嘘でしょ~、もうね、あんた、並ぶ必要ないじゃん!、何を頼むのさ!」
「大人気ないなぁ~、妹の幸せ、普通、喜ぶでしょ、だから、出来ないんだよ~」
「ダメって、彼氏できるのも年功序列、守んないと….、世の中、順番!、新年早々、気分悪ぅ~」
「誰だか、聞かないんだ?」
「聞いてどうするのよ!譲ってくれるのぉ~?早く男が欲しいヨォ~」
「お姉ちゃん、ちょっと、はしたないよ。「男」って言わないの!「彼氏」と言ってよね。」
「ブラジャー!」
(…女子大生がオヤジでも言わないダジャレ…、ある意味、尊敬に値するわ…)
「やっと、ガラガラ回って来たよ!」
(…今年も茂樹君と一緒に居れますようにお願いしまーす🤲…)
大晦日の日、茂樹は自宅の自室のベットの中に埋もれていた。
クリスマスイブ、そして、クリスマスの日、美咲と過ごした2日、夢が叶ったように思えた。
しかし、茂樹は自身のうつ病が日に日に悪化しており、もう何日も寝れずにいた。
ずっと、美咲の事を考えていた。
あの少年時代の夢、川の中で無邪気に遊ぶ少女、あの子をずっと探し求めていた。
中学2年で美咲を見てから、茂樹のインスピレーションが感じ取った。
「美咲はあの夢の中の少女だ。」と
そして、美咲も同じ夢を見て、自分を好きになってくれた。
でも、美咲は俺とは違う。
俺はどんな女が近寄って来ても、付き合うどころか、話もしない。
それは、自分のアンテナ、心のアンテナが反応しない限り、好意を抱くことはできない。
また、そうして生きてきた限り、夢の中の少女を裏切ることはできない。
そう思って生きてきた。
今、美咲は自分と同じ考えを持っていてくれているが、簡単に、あのデビルマン、吉川と付き合っている。
たかが、1週間でも、俺はそんな事はしない。
たとえ、美咲の言うように、俺が結婚するほど好きな人が美咲自身であると思わなかったからといって、軽々しくデビルマンなんかと付き合うなんて…
俺はそんな事しない…、俺はそんな事しない…
そんなに、彼氏彼女、恋人になることがトレンドなのか!
俺はそんな流行りは大嫌いだ。自分の心に嘘をつき、信じる相手を傷つけることは俺にはできない。
美咲は吉川と一緒に仲良く下校していた。
俺はそれを見て、どう思ったんだ。
そうだよなぁ、悔しかったよなぁ~、だから、やけになり、ヤクザの息子と喧嘩したんだ。
死ぬ間際にならないと美咲は分かってくれなかったんだ。
それはそれで仕方がない。
俺もそうだ。美咲に感じるものがあったが、告白できずにいた。
しかし、他の女がどんなに近寄って来ても、俺は夢の中の少女を裏切ることはしなかった。
なぜ、同じ感覚を持つ人間なのに、簡単にあんな奴と…
人は幸せを味合うと、次に不幸が来ると構えてしまう。
男女の性差、思いの深度、若干の違いにも、この茂樹という男はナイーブに感じ取ってしまう。
さらに、うつ病の悪化により、睡眠は全く取れず、頭の中だけ、永遠に止まらない柱時計のように、カチカチと音を立てて、美咲との関係を現代から過去に遡及させて行く、それもかなり精密に…
そんな茂樹の苦悩は知り良しもしない美咲は、今度、いつ、茂樹と逢えるか、そればかり考えていた。
正月三が日が終わった。
美咲は、そろそろ、茂樹から連絡が来るかもと待ち侘びていた。
しかし、冬休み中、茂樹から連絡はなく、あの楠木に行ってみても、茂樹の姿はなかった。
3学期が始まった。
美咲は茂樹が登校するかどうか心配であった。
美咲は隣のクラスをそぉーと覗いて見たが、茂樹の席だけ空席だった。
(…茂樹君、大丈夫かなぁ~…)
その時、クラス担任が新年明けとは思えない、苦々しい顔をして教室に入って来た。
「皆んな、あけましておめでとう、新たな年の門出にこんなことをお知らせするのは残念だが、隣のクラスの堀内茂樹が、また、乱闘事件を起こした。
詳細は分からないので、なんとも言えないが、相手の少年が重体となっている。
また、マスコミ等が押しかけて来るかも知れないので、軽々しくインタビュー等に応じないよう注意するように!
全く、困ったもんだ!」と説明した。
(…何があったの茂樹君、あんなに幸せな時間、一緒に過ごしたのに、何があったの…)
美咲のテレパシーは茂樹を助けることはできなかった。
茂樹が苦悩していたことに、全くアンテナは働かなかった。
茂樹は、不眠により神経が苛立ち、美咲への不信感も引き摺り、大晦日の日に街で不良とかち合い、乱闘になり、茂樹が殴った相手が脳内挫傷で意識不明となってしまったのだ。
だが、先に殴りかかって来たのは相手の方で、茂樹の正当防衛が見物人から聴取され、被害届も提出されなかったが、警察から高校には前の事件のこともあり報告がなされていた。
茂樹に怪我等はなかったが、その乱闘事件とは全く関係なく、茂樹は重度のうつ病を発症してしまっていた。
この昭和の時代は、まだ、うつ病という精神疾患がポピュラーではなかったことから、茂樹の親も学校側も、乱闘事件の影響による不登校と捉えてしまっていた。
茂樹は、もうすでに何日間も熟睡していなかった。
眠りかかると、あの夢の中の少女が浮かび、そして、あの美咲と吉川が下校していた情景が取って変わって映し出されるのであった。
茂樹は、今、また、迷い人になってしまっていた。
「この並ぶのが初詣での縁起良さ、伝わるよねぇー」
「お姉ちゃん、今年こそ、あれだね…、ねぇ~」
「何よ!美咲だって一緒じゃん!」
「それはどうかな…」
「新年早々、姉貴に鎌かけない。願いは同じでしょ、ね、ね、美咲ちゃん、ね!」
「それは神のみぞ知るのであった。」
「嘘でしょ~、もうね、あんた、並ぶ必要ないじゃん!、何を頼むのさ!」
「大人気ないなぁ~、妹の幸せ、普通、喜ぶでしょ、だから、出来ないんだよ~」
「ダメって、彼氏できるのも年功序列、守んないと….、世の中、順番!、新年早々、気分悪ぅ~」
「誰だか、聞かないんだ?」
「聞いてどうするのよ!譲ってくれるのぉ~?早く男が欲しいヨォ~」
「お姉ちゃん、ちょっと、はしたないよ。「男」って言わないの!「彼氏」と言ってよね。」
「ブラジャー!」
(…女子大生がオヤジでも言わないダジャレ…、ある意味、尊敬に値するわ…)
「やっと、ガラガラ回って来たよ!」
(…今年も茂樹君と一緒に居れますようにお願いしまーす🤲…)
大晦日の日、茂樹は自宅の自室のベットの中に埋もれていた。
クリスマスイブ、そして、クリスマスの日、美咲と過ごした2日、夢が叶ったように思えた。
しかし、茂樹は自身のうつ病が日に日に悪化しており、もう何日も寝れずにいた。
ずっと、美咲の事を考えていた。
あの少年時代の夢、川の中で無邪気に遊ぶ少女、あの子をずっと探し求めていた。
中学2年で美咲を見てから、茂樹のインスピレーションが感じ取った。
「美咲はあの夢の中の少女だ。」と
そして、美咲も同じ夢を見て、自分を好きになってくれた。
でも、美咲は俺とは違う。
俺はどんな女が近寄って来ても、付き合うどころか、話もしない。
それは、自分のアンテナ、心のアンテナが反応しない限り、好意を抱くことはできない。
また、そうして生きてきた限り、夢の中の少女を裏切ることはできない。
そう思って生きてきた。
今、美咲は自分と同じ考えを持っていてくれているが、簡単に、あのデビルマン、吉川と付き合っている。
たかが、1週間でも、俺はそんな事はしない。
たとえ、美咲の言うように、俺が結婚するほど好きな人が美咲自身であると思わなかったからといって、軽々しくデビルマンなんかと付き合うなんて…
俺はそんな事しない…、俺はそんな事しない…
そんなに、彼氏彼女、恋人になることがトレンドなのか!
俺はそんな流行りは大嫌いだ。自分の心に嘘をつき、信じる相手を傷つけることは俺にはできない。
美咲は吉川と一緒に仲良く下校していた。
俺はそれを見て、どう思ったんだ。
そうだよなぁ、悔しかったよなぁ~、だから、やけになり、ヤクザの息子と喧嘩したんだ。
死ぬ間際にならないと美咲は分かってくれなかったんだ。
それはそれで仕方がない。
俺もそうだ。美咲に感じるものがあったが、告白できずにいた。
しかし、他の女がどんなに近寄って来ても、俺は夢の中の少女を裏切ることはしなかった。
なぜ、同じ感覚を持つ人間なのに、簡単にあんな奴と…
人は幸せを味合うと、次に不幸が来ると構えてしまう。
男女の性差、思いの深度、若干の違いにも、この茂樹という男はナイーブに感じ取ってしまう。
さらに、うつ病の悪化により、睡眠は全く取れず、頭の中だけ、永遠に止まらない柱時計のように、カチカチと音を立てて、美咲との関係を現代から過去に遡及させて行く、それもかなり精密に…
そんな茂樹の苦悩は知り良しもしない美咲は、今度、いつ、茂樹と逢えるか、そればかり考えていた。
正月三が日が終わった。
美咲は、そろそろ、茂樹から連絡が来るかもと待ち侘びていた。
しかし、冬休み中、茂樹から連絡はなく、あの楠木に行ってみても、茂樹の姿はなかった。
3学期が始まった。
美咲は茂樹が登校するかどうか心配であった。
美咲は隣のクラスをそぉーと覗いて見たが、茂樹の席だけ空席だった。
(…茂樹君、大丈夫かなぁ~…)
その時、クラス担任が新年明けとは思えない、苦々しい顔をして教室に入って来た。
「皆んな、あけましておめでとう、新たな年の門出にこんなことをお知らせするのは残念だが、隣のクラスの堀内茂樹が、また、乱闘事件を起こした。
詳細は分からないので、なんとも言えないが、相手の少年が重体となっている。
また、マスコミ等が押しかけて来るかも知れないので、軽々しくインタビュー等に応じないよう注意するように!
全く、困ったもんだ!」と説明した。
(…何があったの茂樹君、あんなに幸せな時間、一緒に過ごしたのに、何があったの…)
美咲のテレパシーは茂樹を助けることはできなかった。
茂樹が苦悩していたことに、全くアンテナは働かなかった。
茂樹は、不眠により神経が苛立ち、美咲への不信感も引き摺り、大晦日の日に街で不良とかち合い、乱闘になり、茂樹が殴った相手が脳内挫傷で意識不明となってしまったのだ。
だが、先に殴りかかって来たのは相手の方で、茂樹の正当防衛が見物人から聴取され、被害届も提出されなかったが、警察から高校には前の事件のこともあり報告がなされていた。
茂樹に怪我等はなかったが、その乱闘事件とは全く関係なく、茂樹は重度のうつ病を発症してしまっていた。
この昭和の時代は、まだ、うつ病という精神疾患がポピュラーではなかったことから、茂樹の親も学校側も、乱闘事件の影響による不登校と捉えてしまっていた。
茂樹は、もうすでに何日間も熟睡していなかった。
眠りかかると、あの夢の中の少女が浮かび、そして、あの美咲と吉川が下校していた情景が取って変わって映し出されるのであった。
茂樹は、今、また、迷い人になってしまっていた。
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