お嬢様の雇われ人

プノンペン

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二話 転生

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 三人は食堂の席に座って話をしていた。
「じゃあまずは自己紹介から始めるか」
白髪の男がそう提案する。
「俺の名前はコブラ。よろしく」
次に黒髪の男が自己紹介をする。
「おれは中村だ。このバカからはムラスケって呼ばれてるけど…まあよろしくね」
そして少女の番となったのだが何故か下を向いたまま自己紹介をしそうにない。
「おいムラスケ。お前の変な名前のせいでロリッ娘自己紹介してくれねぇじゃねえか」
「いやお前がロリコンだから嫌なんだろ」
「あ?お前が死ねば全部解決だ死ね」
「意味わからんお前が死ね」
「…ルナ」
少女が突然声を出し、二人は言い争いをやめる。
「わたしは…ルナ…です。そ、そのごめんなさい」
何故か謝るルナに戸惑う二人。
「お、おいムラスケ俺らなんかやったか?」
「いやいややってないよってか謝るならお前だろ」
困った様子でルナを見てると
「だって…わたしのせいで二人が喧嘩してるんですよね?わたしがこんな見た目だから…」
とルナは泣きながら事情を説明する。二人は顔を見合わすと
「ムラスケ」
「わかってる」
二人は肩を組み
「ルナちゃーん」
と呼び掛ける。
「は、はい」
「「おれら喧嘩しないから泣かないで」」
と二人同時に言う。表面上は仲良さそうだが心の中では
(くたばれこのクソが)
(死ねこのバカ)
と互いに罵りあっているが。
「フフッ」
そんな二人を見てルナは少し笑った。
「やっと笑ってくれたね」
「だな」
二人は肩を組むのをやめて席に着く。
 「さーて、そろそろ皆の事情を話してくか」
コブラが話を始める。
「まずは俺らからでいいかな?」
ルナはコクりと頷く。
「まず俺らは地球と呼ばれる世界で生きていたんだよ」
「地球…ですか?」
「知ってる?」
ルナは横に首を振る。そりゃそうか。
「まあそこで色々あって俺ら死んじゃってさ」
「お前、あれを色々で済ますな」
「まあまあ長いから以下略で。で目が覚めると意味わからんところにいたんだよ」


◆◆◆◆◆


 倒れている二人が目を覚ますとそこはよくわからない場所だった。
 別に見たことない場所という訳ではない。そこはアイドルがライブ等で使うようなドームのような場所だ。二人はそこのステージの上で目を覚ました。
 それだけでは多少の動揺で済むのだが何故かそのステージにもう一人誰かいる。
 その人はライトで照らされていてシルエットしか見えない。
 そのシルエットは二人に話しかける。
「あなた方は死にました」
女性の声だ。
「でしょうね」
「ですがあなた方は地球を救おうと大きな働きをしてくださいましたね?」
「あ?」
「は?」
「なので特別に異世界に転生させてあげましょう」
それは突然の提案…というか嫌がらせだ。死んだ人間を生き返らせて無理矢理別の世界に行かせるなんて人のすることではない。
「おいおいババァ。俺らはもう死んでんだぞ」
「そうですよ今更おれは戦いたくない」
二人の説得に女性はため息をつき
「決定事項なので」
そう言って指をパチンと鳴らす。すると二人がいた床が突然なくなり、二人はそのまま落ちていった。
「うっそだろー!?」
「死にたくなーい!もう死んでるけど!」
 二人はしばらく何もない暗闇の場所を抜けると今度はどこかの空に風景が変わった。
「なあコブラ」
「なんだいムラスケ」
「おれ、異世界に行ったら彼女つくるんだ」
「死亡フラグやめい」


◆◆◆◆◆


 「まあそんなこんなでこの家に落ちてきたわけさ」
とコブラが話終える。
「あの時は死ぬかと思いました」
「お二人とも何で生きてるんですか?」
「なに!?ロリッ娘からのドS攻撃!コブラは体力一億回復した!ハッハー!」
「あーごめんね。こいつ頭おかしいからさ」
「あ、はい」
「それでおれらは何で生きてるかって言うと…まあ鍛えてますから」
「おいヒョロガリ。お前みたいなのがいるから細マッチョが流行るんだろうが」
「なに?誉めてんの?」
「誉めてねえわ!」
「け、喧嘩しないでください」
ルナが二人の喧嘩を止めると
「はいやめます」
とコブラが一瞬でやめる。
「あ、あの…二人ってどうして仲悪いのですか?」
「あーそれね。うん。ムラスケ」
「はいはい。まあ分かりやすく言うとおれが勇者でこいつが魔王なの。だから仲良くが難しいんだよなー」
「え?コブラさん…魔王なんですか?」
怯えた様子でルナが聞くとコブラは嬉しそうに
「そうだぞー。俺は元いた世界で人類を滅ぼした最強最悪の魔王だぞー!大人しくパンツ見せないと食べちゃうぞー。性的な意味で」
「ヒッ!た、食べないで…ぱ、パンツ見せるから食べないで」
スカートをめくろうとするルナの手を中村が掴み
「大丈夫だよ。おれ勇者だから必ず守ってみせるよ」
「…中村さん」
「お前、イタいぞ」
「こふっ」
中村は大ダメージを受けダウンした。
「まあこのボケはおいといて、ルナちゃんはなんであんなクソゴミどもに追われてたの?」
コブラの質問にルナは俯く。
「その…わたしの両親はわたしが幼い時に事故で亡くなってしまいそれからはメイドや執事がわたしを育ててくれました」
「まあこんなでかい館だからね」
「でも去年に皆魔物に殺されてしまって今はわたし一人でここに住んでいます」
「それは辛かったね。よしよし」
コブラは優しくルナの頭を撫でる。
「そしたら今日みたいな遺産目当ての賊がたくさん来てそれでわたしが持ってるんじゃないかって疑われて…それで追われていました」
「なるほーど。つまりはあれはゴミか。殺しとけばよかったな」
「それでわたしは耐えきれなくて明日にはこの家を出る予定だったのです」
「ふーん」
 少しの沈黙の後コブラが口を開く。
「なあ俺達を雇う気はないか?」
それは唐突すぎる提案だ。思わず中村も机から起き上がる。
「待て待て待て!お前!自分で何言ってるのかわかるのか!?」
「もちろんろん」
「ろんろんじゃなくてさ」
「そうですよ。それにわたしそんなお金持ってないし」
二人からバッシングを受けたコブラは二人を宥めながら話す。
「落ち着けって。まずルナちゃんは今遺産目当てのクソどもに狙われてんだろ?」
「はい」
「で、俺らは右も左もわからない意味わからんところにいるだろ」
「そうだね」
「だったらルナちゃんと一緒にいた方が互いの為だと思わないか?」
「そりゃあそうだけど…」
「まあ強制はしないさ。ルナちゃん、考えがまとまったら教えてくれ。ほら行くよ」
そう言って中村の襟首を掴む。
「痛い!どこ行くの!?」
「あ?外」
「外?」
「そりゃあ女の子一人でいるところに男がいたら嫌だろ」
「そりゃあまあそうだけど」
「そんなわけでルナちゃん。俺ら外にいるから何かあったら教えてね」
「え、あの…」
「じゃ!」
そう言って二人は窓から飛び降りる。
「ここ、三階なんですけど…」
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