脇役よ恵まれてくれ!

二鈴 照

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第三話 猫の家

友人と呼ぶには

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 よし!とりあえずフェル様の説得に成功した私は寮に戻った。さてと…ここからするのはイーゲルさんとのお話。まだ知り合って1ヶ月も経っていない仲で『婚約者の家に行くのですが~ついてきて貰えますか?』なんてことはまず言えねえ!!
じゃあ逆になんて言えばいいか、そんなこと私の頭で考えれる訳がないでしょう。もう6月にあるテストで惨敗する未来しか見えてないんですが??いかん!話しがそれてた。とりあえず…話さないことに変わりはないから行こう。

 コンコン、軽快なノック音と共に彼女の部屋を訪れる。

「こんばんは、エリーフェです。あの、イーゲルさんお話ししたいことがあるのですけど。」
「はぁ~い。あっ、ユークお客さんだわ。ホットミルクを用意して頂戴。」
「承知しました。」

 彼女のメイドであろう声とコチラに向かってくる足音が扉越しに聞こえる。ガチャリと扉が開くとそこには普段見ることもないパジャマ姿のイーゲルさんとそのメイドであろう人が見えた。

「いらっしゃいませ、エリーフェさん。ささ、こちらにお掛けになって。今、ホットミルクをお持ちしますね~」
「お気遣いありがとうございます、それに夜分にすみません。」
「いえいえ、まだ寝るには早すぎる時間ですし。ちょうどお風呂から出たところなのですよ。」

 時計を見ると時刻は8時、たしかに今の私達には少し寝るのが早いとされている時間だが、部屋を訪れるには随分と遅い。それに、私は制服なのに対して彼女はパジャマ。なんだか申し訳なさが溢れてくる。

「ホットミルクです。どうぞお召し上がりください。」

 カチャリと置かれたホットミルク、普段であれば紅茶を出す所だが寝る前ということで気を遣ってわざわざホットミルクを出してくれた、しかもホットミルクに合うだろう、マシュマロを添えて。
 まさに令嬢の鏡、優しさの塊。あの婚約者クライネス先輩この子イーゲルさん、めちゃくちゃお似合いじゃないか。

「紹介しますね。こちら私のメイドのユークです。」
「お初にお目にかかります。イーゲル様の専属メイドのユークです。」
「はじめまして、エリーフェ•バレナティオと申します。こんど私のメイドもよかったらご挨拶させてください。」


 彼女のメイドであるユークさんは軽く会釈をするとそのまま下がっていった。
 にしてもユークさん。ツインテールにしっかりとした口調…凄くギャップが見られる。ツインテールメイドなんて全然見たことないんですが??
もしかしたらユークさんは何処かの令嬢なのかもしれない。

 漫画に記載されてないことって案外面白いな~とか呑気な事を思いながらホットミルクを頂く。芯にしみる~絶対このミルク良い所のだ!とか思いながら本題に入った。














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