脇役よ恵まれてくれ！

第三話 猫の家

突然ですが

「あの、イーゲルさん。本題に入ってもよろしいでしょうか。」
「勿論です～私ができる事ならなんでも力になりますよ～」

　ホットミルクで一息ついたのち私は本題に入った。（察しが良いのかありがたい言葉、そのご厚意のまま協力していただければ良いのだけど。）

「実はー」

　私は探偵クラブに入った事その依頼としてクライネス先輩の家に行くことになったこと、そこへ一緒に来てもらいたいことを話した。

「いいですよ～はい～むしろ私の婚約者の為にありがとうございますー」
「ありがとうございます～！えっと、クライネス先輩に日程を調節しますので行ける日をお聞かせください。」
「は～い」

　優しい彼女の性格からなのだろうか簡単に話しが進み（こっちも話しやすかった）快く了承してくれた。

　それからはスイスイと日程が決まり、来週の学校が休みのとき3人でクライネス先輩のお家へお邪魔することになった。

ーーーーー翌週

「明後日はいよいよクライネス先輩の家にお邪魔する日ですね！」
「そうだな、クライネスさんが子爵家だからとしてもしっかりとした敬意で行くんだぞ。」
「勿論ですよ！目上の人と敬語以外で話したことありませんし、むしろ私今初めてクライネス先輩が子爵家だと知りました！」
「はぁ……」

　やれやれとした顔でため息を付いた彼は素早く勉強の準備を始めた。
　いよいよ明後日にクライネス先輩の家にお邪魔するがそれと関係なくいつも通りのフェル様と作戦会議ヒロイン攻略の時間を取った。
　あれから私は本などで風症状が出る、魔法自然現象、植物、土地の相性などを調べた。我ながら良い働きだと思う。逆にフェル様には私の手に負えない範囲、魔術、呪いの類を調べてもらった。

「こら、ボサっとするな。最近の君は話を聞いているだけで頭に入っていない。」
「うぅ、すみません。入れようとはしてるんですが…」
「まさか『テストで悪い点取りそうだけど。まっ、いっか？』とか思ってるんじゃないだろうな。」
「あーいえ、そんなことは…ははっ」

　フェル様の可愛らしい声真似と共に私の的確な心情が告げられた。まずい！完璧にフェル様に見抜かれてる…ここまで見抜かれるのって絶対に私の性格どころの話じゃなくて脇役だからなのか！そうに違いない！

　ミシッっとフェル様の眉間に皺がよる音が、聞こえる訳がないのに聞こえる。あー今あの小説、漫画化されてたらフェル様の頬に怒りマーク付いてるわ…（うーん本当に勉強苦手なんだよなぁ、出来る出来ない以前に良い点を取れる気がしない…そう言う未来が想像できないって言うか～）

　「まったく。君が言ったんだろ」

　席から立った姿勢で少し赤くなった頬を隠すように本で顔を覆いながら彼は言った。

「諦めていては本当に出来ることも出来なくなる、負けずに前を見る。…違ったか？」

　　私が言った言葉覚えててくれたんだ。…そして何よりフェル様があのセリフを言ってくれた！！！そんな胸いっぱいの嬉しさで私は満面の笑みを浮かべ大きな返事をした。

「はい！その通りです、フェル様！」