脇役よ恵まれてくれ!

二鈴 照

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第三話 猫の家

きっとここからーーーアンネside

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 『きっとあの子は知るだろう絶望を、きっとあの子は気づかないだろう、なくなるまでには。』

 海辺に浮かぶ三隻の大きな船。この国と他の国をつなぐ貿易船。
 朝焼けの明るい光、風と共になびく赤茶色の髪が彼女の意識を再び呼び戻した。

(聞こえたあの声。でも、今日は波の様子を教えていただけなかった。仕方ない、見た感じ波の調子も良いし嵐に当たらないことを願って出発して貰おう。)

 海上貿易商の娘である彼女は波の様子などを観察し父と弟達に報告する。そして自分は母と妹と共に家で待っているのだ。4人兄弟の長女として生を受けた彼女はそれとともにとして生を受けていた。
 その声を聞くと波の変化、日照りが続く日、嵐の日などを教えてくれていた。でも最近聞けない日がある、聞けないと言ったら違うのだが正確には別な事について言っていた。

(何のことについて言っているのか分からないけど、良くないことだってことは分かる…しっかり注意を払ってもらいますか。)

 一度出発してもう一度会うのは半年後。片道1ヶ月くらいの距離だけど長くあっちに滞在するだろうからそのくらいかかる。
 本当は私も行きたかったのだけど、一年後に入る学校の準備をしなきゃいけないから行けないからな~。
 行きたい気持ちを我慢しながら私はお気に入りの麦わら帽子が風で流されないよう抑えながら海を眺めた。

「アンネお姉ちゃぁん!!お母さんが呼んでるよーー!!」
「あっ、ごめんね!今行くよ!」

 一番下の妹が私のことを大きな声で呼びながら駆け寄ってきた。その妹と手を繋ぎながら私は母の元へ向かっていった。



 


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