優しい夜のうた

びぅむ

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第4章 抱擁

幸せになる資格

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なんでなの?

恨み?

私、何かしたの?

考えたくないのに、考えちゃう。だけど、考えは何一つまとまらない。

そう…あいつ、なんか言ってなかった?

そう、確か……。

『お前には幸せになる資格なんか、ない』

なんでなの?

泣きたくなってきた。駄目だ。こんなとこで、泣けないよ。

「萌梨ちゃん!!」

そこに、教室の後ろから佃島先輩が駆け込んできて、みんなが彼に注目をした。


佃島先輩は、私の肩を掴んで私の左の頬を覗き込むと、

「雪子から聞いて…。このほっぺ…」

と先輩が言いかけると、私はみんなの視線が集まっているのが嫌で、先輩の腕を引っ張って教室を飛び出した。

そうして学校を出て、私は並木道から逸れた裏道にまわった。裏道なら、学生たちもあまり歩いていない。駅まで遠回りになるからだ。そこで先輩の腕を離すと、先輩は逆に私の腕を掴んで、

「萌梨ちゃん、熱があるんじゃないか!?熱いよ…!!」

と言うと、私は先輩の腕から離れようとすると、めまいがして膝をつけてしまった。

「かえ………っ」

私は涙がとめどなく溢れてきて、言葉がなかなか出てこなかった。それでも佃島先輩は一緒になって屈むと、

「なに?言ってごらんよ。大丈夫。俺は、君のそばにいるから。裏切ったりもしない。君を……助けてあげるから…!」

と、私の肩をしっかり掴んでそう言うと、私は泣きながら先輩を見つめた。

「私………帰りたくない……ッ!」

やっとのことで私がそれだけ言うと、先輩は驚いて私を見つめた。

「帰りたくない…!もうやだ!どんなに私が堪えて、我慢してきても、何にもならなかった。美夜を助けたかっただけなのに…」

私はとめどなく涙が溢れてきて、泣きながらそう言うと、もう我慢できなかった。子どもみたいに声をあげて泣き出すと、先輩は私を優しく抱き寄せてくれた。

その胸が温かくて、自分が泣いてるっていう実感もなかった。だけど、初めてだった。初めて、誰かに胸の内を吐き出した。誰かに言っても、なんにもならないと思っていた。

だけど、私の胸の重荷は、先輩が支えてくれて、確かに、少しだけ楽になったような気がしたんだ。
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