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第4章 抱擁
高校生はまだ子供だから…
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私は学校に行くと、まずトイレに向かった。俯いて、長い髪を耳にかけることなく、2つに分けて前に垂らすと、頬は隠せる。とりあえず洗面所の鏡で顔を見てみた。やっぱり、左の頬が赤くなっている。夕べ梶原にぶたれた跡だ。私は唇をきつく噛むと、そこに後ろから、
「梶原さん?」
と声をかけられて振り向くと、そこには渡部雪子が立っていた。ショートボブで、芯の強そうな眼差しで凜と立っている。一年の時、同じクラスで、よく話した。ハキハキしてて、美人で物事をハッキリ言葉で伝えられる人。ただ結構洞察力も良いから、隠し事がバレやすい。
「渡部さん……!」
私は、悪いことをして見つかった時のような気まずさで、彼女から目をそらしてしまった。
すると、渡部さんは私に歩み寄り、
「…ほっぺ、どうしたの?」
と聞いて来た。ドキッとしながらも、私は答えることができずにいると、
「……私ね。…ずっと気になってた。なんで梶原さんが、一年の時と雰囲気がすっかり変わってしまったのか。…滋と幼なじみだって聞いたでしょ?滋、すごくあなたのこと、心配して……」
「ほうっといてよ!」
思わず私は顔を上げて渡部さんを見て言うと、渡部さんは私を見つめた。
「……あの家で、なんか、あったの?」
渡部さんにそう言われると、私は早足で渡部さんの横を通り過ぎていくと、
「…梶原さん!」
と呼び止められても、私は立ち止まらず、歩みはやがて駆け足になって教室に向かった。
渡部さんや佃島…先輩に話したところで、何か情況が変わるの?せめて、同情はしてくれるかもしれない。だけど、それだけだよ。高校生なんて、たかが子どもなの。なんのチカラも、お金もない。
午後の授業が終わるチャイムが鳴ると、私は帰り支度をして鞄を持ち、すぐに立ち上がった。すると、フラッと頭の中がぐるぐる回っているような、立ちくらみがした。
ひどい頭痛と吐き気がする。熱も、ありそうだ。クラクラめまいがする。
帰らなきゃ。
どこに?
帰りたくない。帰りたくなんか、ないよ。でも、私が帰らないと、あいつは美夜を手に入れようとする……。
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