優しい夜のうた

びぅむ

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第4章 抱擁

絶望の朝

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翌朝。

私はいつものように朝食を作り、圭太くんが起きてきて、続いて美夜が起きてくると、美夜は梶原の姿を探して、

「……お父さんは?」

と言って梶原の部屋に行こうとすると、私は思わず美夜の手を掴んで、

「行かなくていいの!」

と強く言うと、美夜は少し目を丸く見開いて私を見上げた。圭太くんもダイニングの席に着きながら、不思議そうに私を見上げている。

「お父さんに構わなくていいから、美夜は早く食べて支度しなさい…!」

と私が怒りを必死に抑えて言うと、美夜は首を傾げた。

「……お姉ちゃん。どうしたの?お父さんは、わたしとご飯食べたいはずだよ。わたし、お父さんのこと、大好きなの」

と淡々と言って、私の腕を擦り抜けて梶原の寝室に行ってしまった。私は泣きたくなる思いを堪えて、テーブルを拳で思い切り叩いた。圭太くんは、ビクッとして肩を硬直させた。涙が頬に伝うと、圭太くんは椅子から降りて私のそばに歩み寄ってきてくれた。

「お姉ちゃん」

「圭太くん……。私じゃ、美夜を救えないかも。もしもの時は、お願い、圭太くんが、美夜を守って」

と私が言うと、圭太くんは私を見つめて、

「分かった…」

とコクリと頷いて、たった一言だけそう言った。震える私の手を、圭太くんの小さな手が両手で握ってくれて、私は圭太くんだけでもこんな目に合わせないように心から祈った。

「お兄ちゃんに、何か聞いてみようか?」

圭太くんが小さな声で尋ねてくると、私はハッとして圭太くんを見て頭を横に振った。

「…それは、だめ。お願い。祐には、なんにも言わないで…!」

私が必死になってそう言うと、圭太くんは肩をがっくりと落とした。

祐にだけは、知られたくない。私と美夜が、こんな目に合ってること、祐が知ったら、どうする?あなたは、アメリカにいるのよ。助けに帰ってくることなんか、不可能よ。

これは、私がなんとかするしかないんだ。

もう、祐とは無関係。関係、ないんだから。
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