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第6章 もう、負けない
恋はまだ始まらない
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その日の夜。
佃島先輩が坂井さんと料理をしていて、私はベッドから起き上がり俯いていた。佃島先輩は、坂井さんから全て聞いたと思う。
それでも、変わらずに接してくれている。
それはとても嬉しいけれど、その眼差しは同情だと思うと、何だか辛い。結局どうして欲しいのかなんて、自分でも分からない。こんな私じゃ、誰も好きにはならないよ。
「萌梨ちゃん?どうかした?」
と突然先輩が顔を覗き込んで聞くと、私はハッとして先輩を見た。
「ううん。なんでもないよ、先輩」
私はそう言って微笑むと、先輩はニッと笑って、
「先輩…じゃなくてシゲルって呼んでみ」
と言うと、私はドキッとして先輩を見つめた。
「えっ…?む、無理!」
「なんで?俺達、両想いになれたんだよ。いわば恋人じゃないの?」
「こ……恋人…?!」
さらに私は驚いて目を丸くした。
「なんでそうなるの?」
「え?!だって俺のこと好きって言ってくれたじゃん!」
先輩が身を乗り出して言うと、坂井さんが後ろからやってきてニヤニヤ笑っている。
「残念だったな。あれは、男として好きっていう意味じゃないんだよ。友達としての好き、だろ?」
「え?!そうなのか?!」
坂井さんの言葉に、先輩は思い切りがっかりしたように肩が落ちていた。私はそんな先輩を見て、なんだか苦笑いになった。
そっか。先輩のことが好きだって言ったから、そうなるのか。
両想い…。
そんな簡単な想いじゃ、ないけど……。好きだけど、それがまだ恋愛としての好きかどうかなんて、全然分からない。
「ま、いっか。今はね。とりあえず呼ばれたいな。シゲルって」
そう言って先輩はにこにこ笑っていると、先輩の後ろから、
「滋。メシできたぞ」
と坂井さんがキッチンに戻って言うと、先輩はギロッと坂井さんを睨みつけた。
「おっさんには呼ばれたくねぇよ!」
「なんで?シゲル…。滋。……渋い名前だよなぁ」
「キモ…!呼ぶなっ!」
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