優しい夜のうた

びぅむ

文字の大きさ
85 / 138
第10章 壊れた夢

梶原の動揺

しおりを挟む
滋先輩の言葉に、私はたまらず涙が溢れてきて、唇が微かに震えてしまう…。

「萌梨。祐さんと幸せになれよ。昨日、祐さんが会いに来た時、なんで萌梨が惹かれたか、すぐに分かったよ。萌梨を救ってくれて、ありがとうって言ってた。こんな体になったけど、役に立てたなら、嬉しいよ。萌梨が俺を好きだって言ってくれた気持ちも、嘘じゃないよな。だから、俺のことは気にすんな。この先、俺にもしものことがあっても、立ち止まるんじゃないよ。祐さんがいる。だから、一緒に乗り越えていくんだよ。どんな時でも、俺は、味方だからね」

「……滋…!!」

私は泣きながら、滋先輩に少しずつ歩み寄っていくと、その頬に静かにキスをした。

ありがとう。

あなたのおかげで、私は前に進めたの。ほんとよ。

あなたは、祐と同じくらい大切な人。


ありがとう。


それから、ごめんなさい…。





梶原は、会社の重役会議に出席をしていた。

その席には、梶原の兄弟や、父親である会長までも参加している。社長である長兄の梶原はじめ取締役部長の次兄、梶原賢二はハキハキと発言をし、提案を述べ、決断力もある。そんな中、梶原守留は昨日の萌梨と祐のことが頭から離れなくて会議も上の空だ。

会長の梶原栄一は秋には役員から退き、息子たちに会社を任せるつもりでいるが、一番の悩みの種は梶原守留だった。その守留の浮ついた心境に気付いて、栄一は遠目からもきつく守留を睨みつけていた。

会議が終わると、梶原栄一は守留の腕を掴み、

「貴様はやる気があるのか!情けない顔をしおって!」

と守留に怒鳴ると、守留は小さく頭を下げた。

「…も……申し訳ありません」

そこに栄一の携帯電話が鳴り、会長は怒りでギリギリと歯を食いしばりながら胸ポケットから携帯電話を取り出して話し始めた。

「………なに?警察が?………うむ。…速やかに…副社長室に通せ」

と梶原栄一が言うと、守留はハッとして栄一を見た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

私の彼は、空飛ぶカエルに乗っている

饕餮
恋愛
会社が倒産してしまい、仕事を探していた。ハローワークに行った帰りに寄ったスーパーで見かけたのは、バイト募集が載っているフリーペーパーだった。 何気なくそれを持って帰り、見つけたのは立川駐屯地内にある食堂でお掃除のバイトだった。 期間は一年と短いものの、どうせ受かるわけでもないしと応募してみたら、まさか受かってしまった。 そこで出会ったのは――。 立川駐屯地の食堂の掃除のバイトをしている岡崎 紫音と、CH-47、通称チヌークのヘリパイである乙幡 和樹とのお話。 ★作中内にてチヌークが配備されていることになっていますが、実際にこの駐屯地には配備されておりません。架空の設定であることをご了承ください。 ★この物語はフィクションです。実在する団体及び登場人物とは一切関係ありません。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...