130 / 138
最終章 優しい夜のうた
ある日の奇跡
しおりを挟む
*
私がおばあさんたちと暮らし始めてから、みんなで会うのは久しぶり。私が小学校を卒業することを報告しに、お姉ちゃんに会いに行く。
とはいえ、私は結構頻繁に行っているけど。
お姉ちゃんは、静岡市にあるメンタルケアセンターにいる。入院というのか、なんていうのかは分からないけれど……。
時を遡って、四年前……。
あの時、お姉ちゃんは全然目を覚まさなかった。
死んじゃったのかと思って、怖くてたまらなかったけど、ある日突然目を覚ましたんだ。
それは、そばに雪ねぇ(本人の意志で、そう呼んでいる)と滋さんがいた時。
目を覚ましたけれど、お姉ちゃんは何にも反応しなかったんだ。目は開いているのに、何を言っても無反応。医者が言うには、恐らく強烈な精神的ダメージが原因だろう、と切ない表情で言った。東京ではなく、静かなところで心のリハビリをしたほうがいいという話になって、静岡県にあるメンタルケアセンターを紹介された。
とにかく話し掛けて、話を聞いてもらいたくて、返事が欲しくて、気付いてほしくて、沢山のことを話した。だけど、お姉ちゃんはなんの反応もなくて、一言も話さなかった。
だけど、そんなある日、奇跡が起きたんだ。
「あっ…」
たった一言だけ、お姉ちゃんはそう言った。
祐にぃがそばにいた時だった。
祐にぃは驚いてベッドに身を乗り出して、
「萌梨!!」
と言ってお姉ちゃんを見つめたけど、お姉ちゃんが話したのは、その一言だけ。
私がおばあさんたちと暮らし始めてから、みんなで会うのは久しぶり。私が小学校を卒業することを報告しに、お姉ちゃんに会いに行く。
とはいえ、私は結構頻繁に行っているけど。
お姉ちゃんは、静岡市にあるメンタルケアセンターにいる。入院というのか、なんていうのかは分からないけれど……。
時を遡って、四年前……。
あの時、お姉ちゃんは全然目を覚まさなかった。
死んじゃったのかと思って、怖くてたまらなかったけど、ある日突然目を覚ましたんだ。
それは、そばに雪ねぇ(本人の意志で、そう呼んでいる)と滋さんがいた時。
目を覚ましたけれど、お姉ちゃんは何にも反応しなかったんだ。目は開いているのに、何を言っても無反応。医者が言うには、恐らく強烈な精神的ダメージが原因だろう、と切ない表情で言った。東京ではなく、静かなところで心のリハビリをしたほうがいいという話になって、静岡県にあるメンタルケアセンターを紹介された。
とにかく話し掛けて、話を聞いてもらいたくて、返事が欲しくて、気付いてほしくて、沢山のことを話した。だけど、お姉ちゃんはなんの反応もなくて、一言も話さなかった。
だけど、そんなある日、奇跡が起きたんだ。
「あっ…」
たった一言だけ、お姉ちゃんはそう言った。
祐にぃがそばにいた時だった。
祐にぃは驚いてベッドに身を乗り出して、
「萌梨!!」
と言ってお姉ちゃんを見つめたけど、お姉ちゃんが話したのは、その一言だけ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる