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第1章 さよなら、果樹園
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「うん。……そうだね」
私はそう答えて微笑むと、ゆき姉の携帯が鳴り始めて、みんなは顔を見合わせた。ゆき姉はため息をついて、
「滋だわ。あんな奴、ムシムシ!!」
と言って掌をヒラヒラさせると、私はゆき姉の前に置いてある携帯を取り上げて、勝手に電話に出た。みんなは、アッと声をあげるけれど、すでに私は耳に電話を当てていた。
「…今何処?」
「祐のマンションの手前のコンビニ。わりぃ、200円持ってきて!」
「は!?なんで?!」
私はわざとゆき姉の口調を真似て言うと、ゆき姉は吹き出して笑っていた。はっきりしない言い方で一方的に電話を切られると、私は眉をひそめて立ち上がった。
「滋、なんだって?」
とゆき姉が尋ねると、私は笑いながら財布を出して、
「わかんないけど、そこのコンビニだって。迎えにいってくるよ!」
と言うと、祐兄さんは立ち上がった。
「夜道は…」
と言いかけたけれど、私はまた笑って、
「大丈夫大丈夫!さっき通ったコンビニだよね」
と言って部屋を飛び出した。
私は知っている。
みんなが、私に気を使ってくれていること。
私が傷つかないように、言葉を選んでくれていること。圭ちゃんも、なんだか悪そうに、逆に余計へんな気を使ってくる。
確かに、間違いだったの?
圭ちゃんは、私を憎んでいるのかも。
父は息子である圭ちゃんより、私を選んだから。私を可愛がっていたから。
私はそう答えて微笑むと、ゆき姉の携帯が鳴り始めて、みんなは顔を見合わせた。ゆき姉はため息をついて、
「滋だわ。あんな奴、ムシムシ!!」
と言って掌をヒラヒラさせると、私はゆき姉の前に置いてある携帯を取り上げて、勝手に電話に出た。みんなは、アッと声をあげるけれど、すでに私は耳に電話を当てていた。
「…今何処?」
「祐のマンションの手前のコンビニ。わりぃ、200円持ってきて!」
「は!?なんで?!」
私はわざとゆき姉の口調を真似て言うと、ゆき姉は吹き出して笑っていた。はっきりしない言い方で一方的に電話を切られると、私は眉をひそめて立ち上がった。
「滋、なんだって?」
とゆき姉が尋ねると、私は笑いながら財布を出して、
「わかんないけど、そこのコンビニだって。迎えにいってくるよ!」
と言うと、祐兄さんは立ち上がった。
「夜道は…」
と言いかけたけれど、私はまた笑って、
「大丈夫大丈夫!さっき通ったコンビニだよね」
と言って部屋を飛び出した。
私は知っている。
みんなが、私に気を使ってくれていること。
私が傷つかないように、言葉を選んでくれていること。圭ちゃんも、なんだか悪そうに、逆に余計へんな気を使ってくる。
確かに、間違いだったの?
圭ちゃんは、私を憎んでいるのかも。
父は息子である圭ちゃんより、私を選んだから。私を可愛がっていたから。
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