20 / 104
第2章 セブンティーン
5
しおりを挟む
「……私は圭ちゃんのそばにいたいの!」
私がそう言うと、ゆき姉は私の肩を掴んで、
「落ち着いて、美夜」
と優しく言うけれど、私は頭を横に振って、
「圭ちゃん、ほんとのこと言えばいいじゃない。私の顔なんか見たくないんだよね。ほんとは、憎んでるくせに。私のことなんか、ただの同情だけで優しくしてくれたくせに!」
一度噴き出ると、不満や不安が一気に吹き出してきて勢いが止まらない。すると、圭ちゃんは怒る様子もなく、ただ悲しそうに私を見つめて、
「お前を憎めたら、楽だったよ…」
と小さく呟くように言うと、私はまた驚いて圭ちゃんを見つめていた。その時の圭ちゃんの、寂しそうな笑顔が胸を締め付ける。
昔から、そう。
私がいつも我が儘を言って、圭ちゃんを困らせていた。大人になった今も、それは変わらない。それとも、私はまだ、大人じゃないのかもしれない…………。
私はまだ、たったの17歳だから………。
そうして、その夜はみんなそれぞれ複雑な思いで帰っていった。
私は部屋のベッドにうつ伏せになると、疲れたのか、目を閉じるとすぐに熟睡してしまった。
圭ちゃん。
圭ちゃんの優しさは、いつも偽物だったんだよ。
私が昔、父の書斎で何をされていたか、最初に気付いたのは圭ちゃんだった。
私がそう言うと、ゆき姉は私の肩を掴んで、
「落ち着いて、美夜」
と優しく言うけれど、私は頭を横に振って、
「圭ちゃん、ほんとのこと言えばいいじゃない。私の顔なんか見たくないんだよね。ほんとは、憎んでるくせに。私のことなんか、ただの同情だけで優しくしてくれたくせに!」
一度噴き出ると、不満や不安が一気に吹き出してきて勢いが止まらない。すると、圭ちゃんは怒る様子もなく、ただ悲しそうに私を見つめて、
「お前を憎めたら、楽だったよ…」
と小さく呟くように言うと、私はまた驚いて圭ちゃんを見つめていた。その時の圭ちゃんの、寂しそうな笑顔が胸を締め付ける。
昔から、そう。
私がいつも我が儘を言って、圭ちゃんを困らせていた。大人になった今も、それは変わらない。それとも、私はまだ、大人じゃないのかもしれない…………。
私はまだ、たったの17歳だから………。
そうして、その夜はみんなそれぞれ複雑な思いで帰っていった。
私は部屋のベッドにうつ伏せになると、疲れたのか、目を閉じるとすぐに熟睡してしまった。
圭ちゃん。
圭ちゃんの優しさは、いつも偽物だったんだよ。
私が昔、父の書斎で何をされていたか、最初に気付いたのは圭ちゃんだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる