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第3章 汚れた記憶
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「お姉ちゃんが死ぬ少し前に、高熱を出して、危篤にまでなったじゃない?だけど、なんとか持ち直してくれたのに、結局ずっと微熱が続いて、誰にも看取られずに亡くなった…。出産の時だって、帝王切開で出血がひどくて危なかったりしたよね。産後の体調もよくなかった。日に日に体力が消耗してもう駄目かもって言われてたのに、凜ちゃんが泣いた声が聞こえたのか、回復に向かってくれた。あの時は、出産は間違いじゃなかったって思ったよ。…私が小学校を卒業したことを報告して時も、みんなが集まってお姉ちゃんを囲んだ直後、お姉ちゃんは正気に戻ったでしょ?あの時、お姉ちゃんは幸せを感じたのかな?残っていた体力や精神力を使い果たして正気に戻って、最後の最後に奇跡を起こした。祐兄と凜ちゃんに会えたお姉ちゃんは、最後に私のことは、思い出してくれたのかな…?目覚めた時に、私も会いたかったのに…私はその奇跡に巡り会えなかったよ」
私が涙ぐんでそう言うと、祐兄はギュッと優しく私の肩を抱き寄せてくれた。
「萌梨は、美夜を思わない時はなかったよ。最後まで、美夜を心配してた。知ってた?熱を出して危篤だった時、萌梨は美夜の名前ばかり、呟いていたんだよ。俺でも誰でもなく、美夜をね」
私が涙ぐんでそう言うと、祐兄はギュッと優しく私の肩を抱き寄せてくれた。
「萌梨は、美夜を思わない時はなかったよ。最後まで、美夜を心配してた。知ってた?熱を出して危篤だった時、萌梨は美夜の名前ばかり、呟いていたんだよ。俺でも誰でもなく、美夜をね」
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