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第4章 愛されなかった子供
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しおりを挟む「なんだか、目が覚めちゃって。…今日は香織は一緒じゃないの?付き合ってるんでしょ?」
と私が尋ねると、優は笑って私の隣に並んだ。
「どうかなあ。よく分からないなぁ」
「なにそれ」
「あいつが好きなのは、多分俺じゃないし、俺が好きな人もあいつじゃないってこと」
「え?」
私は不思議そうに優を見ると、優はなんだか悲しい表情をしていて、
「…片思いなんだ、優」
と言いながら顔を覗き込むと、優は頬を少し赤く染めて膨れて、
「ほっとけ」
と優が答えると、私は笑って空を見上げた。
「私も、すごく好きな人がいたよ。けど結局、片思いだった。諦めるしかなかったわ。彼も私と距離を作るために、遠くに離れていったの…」
「そっか。…それも辛いな」
「……辛い。でも、辛いのかも分からない。これで良かったんだって思える自分もいるんだもん」
私は柵に手をかけて首を捻ると、優は微笑み私の頭をポンポンと軽く叩いた。
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