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第5章 その涙は誰のため
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「……!!」
工事現場で地面を掘っていたり、埋めたり…と作業をしている人たちの中で、唯一見覚えのある人。年は50代半ばくらいだっただろうか。一度、二度、くらいしか会ったことはないはずの叔父。
梶原賢二。
父、梶原守留の兄だ。梶原賢二は、ふと、そこで見ている祐に気付いて目を丸くした。
「君は……」
祐は、まだ知らない。
自分の実の父親が、梶原賢二だということを。
その真実はまだ何も知らないけれど、何故か梶原賢二から目を離せずに立ち尽くしてしまった。
*
学校帰りに、私は一人で学校を出ていくと、近くの交差点にリュウが制服姿で壁に寄り掛かって私を待っていた。私はギクッとして立ち止まると、リュウは微笑みながら私の肩を抱き寄せて、
「うち、来るだろ?」
と耳元で囁く。私はきつく目を閉じると、リュウは路上なのに私にキスをしてくると、周りにいた学生たちも驚きながら冷やかしている。
「お前は俺のものだ、美夜。服従しろ」
とリュウが耳元で言うと、私は涙も溜め息も出ない。
工事現場で地面を掘っていたり、埋めたり…と作業をしている人たちの中で、唯一見覚えのある人。年は50代半ばくらいだっただろうか。一度、二度、くらいしか会ったことはないはずの叔父。
梶原賢二。
父、梶原守留の兄だ。梶原賢二は、ふと、そこで見ている祐に気付いて目を丸くした。
「君は……」
祐は、まだ知らない。
自分の実の父親が、梶原賢二だということを。
その真実はまだ何も知らないけれど、何故か梶原賢二から目を離せずに立ち尽くしてしまった。
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学校帰りに、私は一人で学校を出ていくと、近くの交差点にリュウが制服姿で壁に寄り掛かって私を待っていた。私はギクッとして立ち止まると、リュウは微笑みながら私の肩を抱き寄せて、
「うち、来るだろ?」
と耳元で囁く。私はきつく目を閉じると、リュウは路上なのに私にキスをしてくると、周りにいた学生たちも驚きながら冷やかしている。
「お前は俺のものだ、美夜。服従しろ」
とリュウが耳元で言うと、私は涙も溜め息も出ない。
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