優しい夜のうた〜美夜篇〜

びぅむ

文字の大きさ
上 下
92 / 104
第6章 温かいラブソング

7

しおりを挟む
私が泣きながらそう言うと、杉本さんの瞳にも涙が波のように溢れて、頬に零れ落ちて来た。

「そう…。悔しい。あんな男たちに……私は………!あいつらが…!!」

「杉本さん……」

「あいつらが……リュウが憎いわッ!!」

杉本さんは悲痛の想いを吐き出して泣き叫ぶと、私はそんな杉本さんを抱きしめた。何度もギュッと強く。その苦しみも、孤独も、私だけが解ってあげられるから。

「そうだね。私もよ。私もリュウが憎いわ」

「うわあぁぁッ!!」

私と杉本さんが抱き合って泣いていると、滋と坂井さんは優しく微笑んで顔を見合わせていた。




その夜。

祐兄が家に駆け込んで来て、

「美夜!!」

と血相を変えて帰ってくると、私と凜ちゃんは居間のソファーに座っていて、立ち上がり振り向いた。

「お帰りなさい!お父さん!!」

「お帰りなさい、祐兄」

凜ちゃんは祐兄に飛び付き、祐兄は凜ちゃんを抱き上げてから私に歩み寄ってきた。

「坂井さんから連絡もらった。美夜、お前……!」

祐兄はそう言いながら私の肩を優しく掴むと、私は微笑して頷いた。

「私は…大丈夫。辛くて逃げてたけれど、滋と坂井さんの御蔭で今は冷静になれた。もう大丈夫」
しおりを挟む

処理中です...