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1.十年振りの再会は感動よりも驚きに包まれた

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 何ていい天気なんだろう。私の心を祝福するかのような雲一つない青色が空一面に広がっている。まさに婚約者(仮)との十年越しの再会日和ではないか!! まったくもって天使様降臨の日に相応しい。
 私の初恋の君であり婚約者(仮)は天使のようにとても美しい人だ。今日は留学中に婚約者(仮)が一時帰国する日である。

 私は天使様をお出迎えするために彼の実家であるクーニッツ伯爵家にお邪魔している。先触れでもうじき到着することが分かり、みなが屋敷の玄関の外でそわそわとしている。
 そのに居並ぶのは彼のご両親と彼のお兄様夫妻、使用人たちはもちろん、そして婚約者(仮)の私である。ちなみになぜ婚約者(仮)なのかというと私が彼にプロポーズした時、私は8歳だったので正式な婚約は大人になってからということになっているからだ。でも家族公認なので(仮)でも問題なし!

「マリエルったらそわそわし過ぎよ」

「おば様。私昨夜は楽しみ過ぎて一睡もできませんでしたわ」

 まあまあ徹夜したの? と彼のお母様が苦笑いをする。でもおば様も興奮を隠せていませんよ?

 今日この瞬間をどれほど夢に見ただろうか。お気に入りのドレスを着て気合を入れて化粧をした。完璧な私で出迎える。十年、彼の帰りを待っていたのですもの。

「あっ!」
「あっ!」
「あっ!」

 馬のいななきと共に馬車が門をくぐりこちらに向かってくる。私は緊張しながらも胸を高鳴らせた。
 馬車が止まると扉がゆっくりと開く。固唾を飲んで天使様が降りてくるのを凝視する。
 長い足が見え、そして!!

「…………」

 その瞬間、その場にいた皆の心が一つになったと思われる。



「この人、誰??」と……。


 私の目に映ったのは大きな……まるでゴリラのような体……もとい鍛え抜かれた戦士のような逞しい体に、整っているが威圧感満載の顔……。天使の要素が一ミリもない。上から下まで三回繰り返して見たが脳みそが混乱を極めるだけだった。たった一つだけ思い出と重なるのは綺麗なエメラルドグリーンの瞳だけだった。






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