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5.二人でお出かけ
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当日クラウスはエリーゼがお世話になっている侯爵邸の近くに馬車で迎えに来てくれた。
前日には侯爵夫人がエリーゼにお洒落なワンピースを貸してくれた。これもお嫁に行った娘さんのものらしい。
今日はクラウスと出かけることは伝えていないので仕事だと思っているはずなのだが、もしかして客観的に気づかれるほど自分はそわそわと浮かれていたのだろうか。それともいつも同じワンピースを着ているから気を遣わせてしまったのかもしれない。
エリーゼは平民になった時にドレスやよそゆきの服は全て売ってしまった。侯爵家のお嬢さまの勉強を見ている時に着ているシンプルな濃紺のワンピースは制服替わりにしていて、似た雰囲気のワンピースを数着持っている。その服で公爵家にも通っていた。
お洒落に興味がない訳ではないが見せる相手もいないし、お給料は装飾品より本を購入するために使ってしまっている。
あまりに地味な恰好では一緒にいるクラウスに恥ずかしい思いをさせるかも知れないので、今回は有難くお借りすることにした。久しぶりに意識をしてお化粧をすると心が弾みつい気合が入ってしまう。
受け取ったクリーム色のワンピースは大人っぽいデザインでエリーゼに似合っていると思う。
いつもは前髪も上げて長い後ろ髪はカッチリとお団子にしているが今日は前髪を下して後ろはハーフアップに整えた。普段より柔らかい雰囲気になっていると思うが……大丈夫だろうか。出来ればクラウスにガッカリされたくない。
部屋を出たら偶然に顔を合わせた侍女長が似合っていますよと満足そうな笑顔で見送ってくれた。
約束の時間より早めに侯爵邸の門の外に出れば、既に公爵家の馬車が止まっていてクラウスが扉の横に立っていた。
エリーゼは待たせてしまったと足早に駆け寄るとクラウスは笑顔になった。
「クラウス様、お待たせして申し訳ございません」
「エリーゼさん、走らなくても大丈夫ですよ。私が楽しみで早く来てしまっただけですから」
その言葉にエリーゼの心臓はドキドキと早鐘を打つ。クラウスはいつものように手を差し出して馬車に乗るためにエスコートをしてくれる。エリーゼは緊張を隠して自然な仕草でクラウスに手を預けることができてホッとする。
「今日のエリーゼさんは可愛らしいですね。服も髪型もよく似合っています。いつもは凛として美しいですが……どちらのあなたも素敵です」
「あ……ありがとうございます」
かろうじてお礼の言葉を伝えたが、あまりにも率直すぎる誉め言葉にエリーゼは顔を真っ赤にして視線を彷徨わせた。クラウスの顔を直視できない……。
ちらりとクラウスの姿を見れば今日は白いシャツに黒いトラウザーズだけだった。シンプルな分いつもは服で隠れていた体の逞しさに気付かされる。足が長いのは知っていたけれど厚い胸板や太い腕などを見ると意外に感じる。文官でありながらしっかりと鍛えているのが窺える。
クラウスの色気に当てられないよう心を落ち着けて行き先について確認する。
「今日は私の提案した場所で大丈夫でしたか? ガラス工房の直営店なのですが」
「ガラスの商品は自分から見る機会がないので楽しみですよ。エリーゼさんはよくそのお店に行かれるのですか?」
「はい。もとは父が仕事の関係で懇意にしていて幼いころから私も良く顔を出していました。最近はなかなか行けなかったので久しぶりになります」
「そうですか」
眼鏡越しでも分かるほど優しい目をして穏やかな笑顔を見せるクラウスはいつもより機嫌がよさそうだ。自分の姿も褒めて貰えたしガッカリはされずに済んだとエリーゼは胸を撫でおろした。
貴族が使うような商店街を抜けて更に通りを二つ奥へ進むと目的の場所に到着する。住宅地を進んだその先は看板のない大きな店がある。知らない人には一目見ただけでは何の店かは分からないだろう。裏に回れば広い土地がありそこにガラス工房が建っている。
エリーゼはクラウスの手を借りて馬車を降りると、躊躇うことなくそのお店の扉を開けた。
馴染みなので勝手知ったると言った感じのエリーゼにクラウスは目を丸くしている。
「こんにちは。アレックス」
「おお、嬢ちゃん。久しぶりだな。待っていたよ」
出迎えたのは大きな体格の熊のような男だ。まだ25歳なのだが無精髭のせいでもっと年が上に見える。
「嬢ちゃんは止めて。恥ずかしいわよ」
アレックスは気安くエリーゼの頭をポンポンと叩くと後ろのクラウスに気付き姿勢を正した。
「ようこそお越しくださいました。ガラス工房の責任者のアレックスと申します」
「クラウス・ヘンケルだ。よろしく」
クラウスはどこか不機嫌そうにアレックスを睨んでいる。アレックスは厳ついから警戒しているのだろう。見かけによらず心根の優しい男なのだが誤解されやすい。
「クラウス様、こう見えてアレックスは優しい人なのです。彼はガラス工房の責任者ですが職人としてもとっても繊細な作品を作っています。すごく素敵なのできっと気に入って頂けると思います」
クラウスに警戒を解いてほしくて熱心に説明したがクラウスは増々眉をひそめた。エリーゼの説明が悪かったのだろうかと困惑した。アレックスはその様子を意外だという顔をしたあとエリーゼを見てニヤリと笑った。
「ヘンケル様、私とエリーゼは幼馴染なんですよ。正確には私の妻と幼馴染でその縁で私も親しくなりましたが」
「妻?」
クラウスは怪訝な表情のまま首を傾げる。
「ええ。妻は嬢ちゃんに会いたがっていたんですけどね。今は産み月に入って実家に帰っています」
「アレックス、クララは元気? もうすぐお父さんね。男の子かしら? 女の子かしら? 楽しみだわ。生まれたらすぐに知らせてね」
クラウスはそうか妻がいるのか……と呟いてほっとした顔をしている。厳ついから結婚しているように見えなかったかもしれないがアレックスはこれでなかなかモテていた。
「では商品を並べてある部屋にご案内しますね」
アレックスが工房の隣にある商品の保管室へ案内してくれる。
普段ここは取引のある業者が買い付けのために入るので、商品は出来るだけ見栄えがいいように陳列されている。高級志向の貴族が記念に贈るプレゼントの注文なども受けている。評判もよくオーダーメイドは半年待ちになるほどの人気だ。エリーゼは前に来た時に見た自分が特に気に入っていた商品をクラウスに勧める。
「クラウス様、こちらのティーカップが私のお勧めです。もちろん耐熱性なので温かいお茶でも冷たいお茶でもお使い頂けます。少し値が張りますが、高額とまではいかないので如何でしょうか?」
エリーゼの勧めたのは耐熱性のガラスのティーカップだ。クラウスは手に取りそれをじっくりと眺める。そのガラスのティーカップには瑠璃色のネモフィラの花が丁寧に描かれておりソーサ―にはその葉が淡く彩られている。セットして置くと咲いた花がそこにあるようだ。
「これは……美しい」
クラウスは嘆声をもらすとソーサも手に取る。この繊細な模様をあの熊の様なアレックスが生み出すなんて信じられないが間違いなく彼の作品だ。エリーゼの一押なのでクラウスにも気に入ってほしかった。
「たしか公爵夫人はネモフィラのお花が好きだと聞いたことがあります。公爵様とお二人のお茶の時に使って頂くのにいいと思いました」
カップから目を離しエリーゼを見たクラウスは驚いたように二度三度と瞬いた。
「あなたは義姉の好きな花もご存じでしたか」
「偶然知る機会があったのです」
クラウスは即決するとアレックスにエリーゼが勧めたティーカップを二客プレゼント用に包むように頼んだ。そして包装を待っている間に店内をそれぞれ眺めることにした。
エリーゼは小さな楕円の形をした澄んだ水色のガラスの中に可愛い青い小さな花が入っている髪飾りを見つけた。以前来た時にはなかったから新作だろう。髪に挿して使うタイプだ。少し高めの値段だが奮発してみようと手を伸ばしたら後ろから太い腕が先にそれを取り上げた。振り返るとクラウスがエリーゼの髪に当てて挿そうとしていた。
「エリーゼさんにとても似合います。これも一緒に買いましょう。このままつけていて下さい」
「いえ、そんな……頂けません」
クラウスはそれを髪に飾ると満足げに頷いた。エリーゼは焦って髪飾りを外そうとしたがその手をクラウスにやんわりと止められた。
「今日のお礼です。素敵なプレゼントを紹介してもらったのですから。どうか受け取って下さい」
お礼だというクラウスの申し出を断ることができずに迷いながらもお礼を言って受け取ることにした。
「よかったな。嬢ちゃん」
手には綺麗に包装された箱を持つアレックスが心得顔でエリーゼを見ている。何となく気恥ずかしくて話題を逸らした。
「クラウスさん。このリボンもアレックスが作ったものなんです。可愛いですよね。彼は見かけによらず器用で何でも作れて羨ましいくらいです」
包装された箱にはリボンで作った花が飾られていて見栄えがいい。クラウスはそのリボンを見て確かにと感心している。
「何だよ。見かけによらずって」
「だってこんな大きな手がものすごく細かいものを作るなんて最初はびっくりしたわ」
「そうですね。ここにあるガラス製品もみな繊細なデザインだ。とても丁寧なお仕事をされるのですね」
クラウスもアレックスの作ったものに好感を抱いてくれたようでエリーゼは嬉しくなった。友人が褒められると誇らしい気持ちになる。
アレックスは照れくさそうにお礼を言った。
「ありがとうございます。ぜひまた来てください」
そうして品物を受け取ると二人は馬車に戻った。
前日には侯爵夫人がエリーゼにお洒落なワンピースを貸してくれた。これもお嫁に行った娘さんのものらしい。
今日はクラウスと出かけることは伝えていないので仕事だと思っているはずなのだが、もしかして客観的に気づかれるほど自分はそわそわと浮かれていたのだろうか。それともいつも同じワンピースを着ているから気を遣わせてしまったのかもしれない。
エリーゼは平民になった時にドレスやよそゆきの服は全て売ってしまった。侯爵家のお嬢さまの勉強を見ている時に着ているシンプルな濃紺のワンピースは制服替わりにしていて、似た雰囲気のワンピースを数着持っている。その服で公爵家にも通っていた。
お洒落に興味がない訳ではないが見せる相手もいないし、お給料は装飾品より本を購入するために使ってしまっている。
あまりに地味な恰好では一緒にいるクラウスに恥ずかしい思いをさせるかも知れないので、今回は有難くお借りすることにした。久しぶりに意識をしてお化粧をすると心が弾みつい気合が入ってしまう。
受け取ったクリーム色のワンピースは大人っぽいデザインでエリーゼに似合っていると思う。
いつもは前髪も上げて長い後ろ髪はカッチリとお団子にしているが今日は前髪を下して後ろはハーフアップに整えた。普段より柔らかい雰囲気になっていると思うが……大丈夫だろうか。出来ればクラウスにガッカリされたくない。
部屋を出たら偶然に顔を合わせた侍女長が似合っていますよと満足そうな笑顔で見送ってくれた。
約束の時間より早めに侯爵邸の門の外に出れば、既に公爵家の馬車が止まっていてクラウスが扉の横に立っていた。
エリーゼは待たせてしまったと足早に駆け寄るとクラウスは笑顔になった。
「クラウス様、お待たせして申し訳ございません」
「エリーゼさん、走らなくても大丈夫ですよ。私が楽しみで早く来てしまっただけですから」
その言葉にエリーゼの心臓はドキドキと早鐘を打つ。クラウスはいつものように手を差し出して馬車に乗るためにエスコートをしてくれる。エリーゼは緊張を隠して自然な仕草でクラウスに手を預けることができてホッとする。
「今日のエリーゼさんは可愛らしいですね。服も髪型もよく似合っています。いつもは凛として美しいですが……どちらのあなたも素敵です」
「あ……ありがとうございます」
かろうじてお礼の言葉を伝えたが、あまりにも率直すぎる誉め言葉にエリーゼは顔を真っ赤にして視線を彷徨わせた。クラウスの顔を直視できない……。
ちらりとクラウスの姿を見れば今日は白いシャツに黒いトラウザーズだけだった。シンプルな分いつもは服で隠れていた体の逞しさに気付かされる。足が長いのは知っていたけれど厚い胸板や太い腕などを見ると意外に感じる。文官でありながらしっかりと鍛えているのが窺える。
クラウスの色気に当てられないよう心を落ち着けて行き先について確認する。
「今日は私の提案した場所で大丈夫でしたか? ガラス工房の直営店なのですが」
「ガラスの商品は自分から見る機会がないので楽しみですよ。エリーゼさんはよくそのお店に行かれるのですか?」
「はい。もとは父が仕事の関係で懇意にしていて幼いころから私も良く顔を出していました。最近はなかなか行けなかったので久しぶりになります」
「そうですか」
眼鏡越しでも分かるほど優しい目をして穏やかな笑顔を見せるクラウスはいつもより機嫌がよさそうだ。自分の姿も褒めて貰えたしガッカリはされずに済んだとエリーゼは胸を撫でおろした。
貴族が使うような商店街を抜けて更に通りを二つ奥へ進むと目的の場所に到着する。住宅地を進んだその先は看板のない大きな店がある。知らない人には一目見ただけでは何の店かは分からないだろう。裏に回れば広い土地がありそこにガラス工房が建っている。
エリーゼはクラウスの手を借りて馬車を降りると、躊躇うことなくそのお店の扉を開けた。
馴染みなので勝手知ったると言った感じのエリーゼにクラウスは目を丸くしている。
「こんにちは。アレックス」
「おお、嬢ちゃん。久しぶりだな。待っていたよ」
出迎えたのは大きな体格の熊のような男だ。まだ25歳なのだが無精髭のせいでもっと年が上に見える。
「嬢ちゃんは止めて。恥ずかしいわよ」
アレックスは気安くエリーゼの頭をポンポンと叩くと後ろのクラウスに気付き姿勢を正した。
「ようこそお越しくださいました。ガラス工房の責任者のアレックスと申します」
「クラウス・ヘンケルだ。よろしく」
クラウスはどこか不機嫌そうにアレックスを睨んでいる。アレックスは厳ついから警戒しているのだろう。見かけによらず心根の優しい男なのだが誤解されやすい。
「クラウス様、こう見えてアレックスは優しい人なのです。彼はガラス工房の責任者ですが職人としてもとっても繊細な作品を作っています。すごく素敵なのできっと気に入って頂けると思います」
クラウスに警戒を解いてほしくて熱心に説明したがクラウスは増々眉をひそめた。エリーゼの説明が悪かったのだろうかと困惑した。アレックスはその様子を意外だという顔をしたあとエリーゼを見てニヤリと笑った。
「ヘンケル様、私とエリーゼは幼馴染なんですよ。正確には私の妻と幼馴染でその縁で私も親しくなりましたが」
「妻?」
クラウスは怪訝な表情のまま首を傾げる。
「ええ。妻は嬢ちゃんに会いたがっていたんですけどね。今は産み月に入って実家に帰っています」
「アレックス、クララは元気? もうすぐお父さんね。男の子かしら? 女の子かしら? 楽しみだわ。生まれたらすぐに知らせてね」
クラウスはそうか妻がいるのか……と呟いてほっとした顔をしている。厳ついから結婚しているように見えなかったかもしれないがアレックスはこれでなかなかモテていた。
「では商品を並べてある部屋にご案内しますね」
アレックスが工房の隣にある商品の保管室へ案内してくれる。
普段ここは取引のある業者が買い付けのために入るので、商品は出来るだけ見栄えがいいように陳列されている。高級志向の貴族が記念に贈るプレゼントの注文なども受けている。評判もよくオーダーメイドは半年待ちになるほどの人気だ。エリーゼは前に来た時に見た自分が特に気に入っていた商品をクラウスに勧める。
「クラウス様、こちらのティーカップが私のお勧めです。もちろん耐熱性なので温かいお茶でも冷たいお茶でもお使い頂けます。少し値が張りますが、高額とまではいかないので如何でしょうか?」
エリーゼの勧めたのは耐熱性のガラスのティーカップだ。クラウスは手に取りそれをじっくりと眺める。そのガラスのティーカップには瑠璃色のネモフィラの花が丁寧に描かれておりソーサ―にはその葉が淡く彩られている。セットして置くと咲いた花がそこにあるようだ。
「これは……美しい」
クラウスは嘆声をもらすとソーサも手に取る。この繊細な模様をあの熊の様なアレックスが生み出すなんて信じられないが間違いなく彼の作品だ。エリーゼの一押なのでクラウスにも気に入ってほしかった。
「たしか公爵夫人はネモフィラのお花が好きだと聞いたことがあります。公爵様とお二人のお茶の時に使って頂くのにいいと思いました」
カップから目を離しエリーゼを見たクラウスは驚いたように二度三度と瞬いた。
「あなたは義姉の好きな花もご存じでしたか」
「偶然知る機会があったのです」
クラウスは即決するとアレックスにエリーゼが勧めたティーカップを二客プレゼント用に包むように頼んだ。そして包装を待っている間に店内をそれぞれ眺めることにした。
エリーゼは小さな楕円の形をした澄んだ水色のガラスの中に可愛い青い小さな花が入っている髪飾りを見つけた。以前来た時にはなかったから新作だろう。髪に挿して使うタイプだ。少し高めの値段だが奮発してみようと手を伸ばしたら後ろから太い腕が先にそれを取り上げた。振り返るとクラウスがエリーゼの髪に当てて挿そうとしていた。
「エリーゼさんにとても似合います。これも一緒に買いましょう。このままつけていて下さい」
「いえ、そんな……頂けません」
クラウスはそれを髪に飾ると満足げに頷いた。エリーゼは焦って髪飾りを外そうとしたがその手をクラウスにやんわりと止められた。
「今日のお礼です。素敵なプレゼントを紹介してもらったのですから。どうか受け取って下さい」
お礼だというクラウスの申し出を断ることができずに迷いながらもお礼を言って受け取ることにした。
「よかったな。嬢ちゃん」
手には綺麗に包装された箱を持つアレックスが心得顔でエリーゼを見ている。何となく気恥ずかしくて話題を逸らした。
「クラウスさん。このリボンもアレックスが作ったものなんです。可愛いですよね。彼は見かけによらず器用で何でも作れて羨ましいくらいです」
包装された箱にはリボンで作った花が飾られていて見栄えがいい。クラウスはそのリボンを見て確かにと感心している。
「何だよ。見かけによらずって」
「だってこんな大きな手がものすごく細かいものを作るなんて最初はびっくりしたわ」
「そうですね。ここにあるガラス製品もみな繊細なデザインだ。とても丁寧なお仕事をされるのですね」
クラウスもアレックスの作ったものに好感を抱いてくれたようでエリーゼは嬉しくなった。友人が褒められると誇らしい気持ちになる。
アレックスは照れくさそうにお礼を言った。
「ありがとうございます。ぜひまた来てください」
そうして品物を受け取ると二人は馬車に戻った。
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