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4.交流
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その後、毎週二日間公爵邸へ通うたびに何故かお昼はクラウスと共にすることになった。
クラウスは紳士としての距離を保ちつつもエリーゼに優しく接してくれる。
最初は緊張していたが回数を重ねれば慣れてくる。なにより共通の趣味である本の話題が尽きずに話し込めばまるで旧知の友人のような距離感になっていた。
高位貴族の中には平民と目を合わすことも会話をすることも汚らわしいと避ける者もいる。だがエリーゼが平民であることにまったく頓着せずに対等な関係でいてくれる。
「そういえば隣国には外国語を専門にした学校が出来たのはご存じですか?」
クラウスは初めて聞いたと驚きに目を瞬く。
「いや、知らなかったな。それは興味深い」
「隣国は諸外国との交易が盛んなので通訳出来る者を育てる為に国営で建てたそうです。学力さえあれば貴族も平民も通えるそうです。国を挙げて通訳を増やす取り組みってすごいですよね。私も通ってみたくなりました」
「エリーゼさんはなかなか情報通だね。だけどあなたは通わなくても隣国語は原文で本を読める程なのだから十分じゃないのかな。だけどその取り組みは我が国も見習うところがあるな」
女だてらに政治や歴史書の本の話題を出しても、褒めこそすれ貶められることはなかった。学生時代は女のくせに小賢しいと男子によく言われたがクラウスはエリーゼの努力を認めてくれる。
こんなの……好きにならないなんて無理だと思う。
せっかくクラウスといることに慣れたのに今度は意識して彼を直視できなくなってしまった。
それでも窺うように見れば彼と目が合う。その瞬間彼の瞳は優しく弧を描きエリーゼを包み込む。
クラウスの低くて穏やかな声が自分の名前を呼べばその声が耳から心へ染み渡り体が熱くなる。きっと顔も赤くなっているだろう。ドキドキして心臓が苦しくなる。遅い初恋を迎えたエリーゼは戸惑いながらもこの日々を大切にすることにした。
図書室の整理は既に七割ほど終わっている。この時間を過ごすのも後僅かだろう。
この仕事が終わったらもう会う機会はなくなる。本来は身分が違うから気安く話すことなど出来なかったのだ。今は特殊で特別な状態であることを忘れないようにしなければ。仕事が終わるまでは自分の気持ちを気付かれないように、そっと心の中でお慕いしようと決めた。
自惚れていいならクラウスはエリーゼと過ごす時間を楽しんでくれていると思う。まるで彼にとっての特別な存在かと錯覚してしまいそうになるほどに。
だから、今だけ…………。
そして平静を保ちつつ今日もクラウスとの美味しいランチの時間の予定のはずだったのだが……。なぜか侍女が呼びに来て食堂へ案内された。そして勧められるがままに二人向かい合わせに座りフルコースを食べることになってしまった。
「実は兄夫婦の結婚記念日がもうすぐなのです。料理長がその日のメニューを試食して感想を教えてほしいと。それでぜひエリーゼさんにも協力して頂きたいのです。遠慮しないで召し上がってください」
なるほど……と思えるわけがない。お昼から、いや夜だってフルコースなど普通の平民が食べることはできない。
クラウス様だけでなく案内してくれた侍女も給仕のひとも、側に控える執事もニコニコと私がカトラリーに手を伸ばすのを待っている。
その謎の圧迫感と緊張で手が震えたが、せっかくのご馳走なので迷いを振り切って素直に味わわせて頂くことにした。
前菜から始まりメインのフィレ肉のポワレは絶品で目が潤むほどだった。デザートまで食べたがこれを試食で頂けるなんて今年の運を使い切った気がする。結婚記念日当日はこれよりももっと豪華になるらしい。流石公爵家である。
「ご馳走様でした。全部がものすごく美味しかったです。美味しすぎて一生の思い出になりました。結婚記念日のメニューにぴったりだと思います」
心を込めて伝えたがこの感激を表現する方法がこれ以上思いつかないことが惜しまれる。どれだけ読書をして辞典を愛読書にしていても現実で気の利いたことが言えないのが情けない。
「喜んでもらえてよかった。料理長にも伝えておきます」
安心したようにクラウスが微笑む。周りで給仕をして下さった方たちもやりきった感が滲んでいる。たとえ本番前の練習としてもエリーゼ相手に全力で対応してくれるなんてさすが公爵家の使用人さん達だ。
感動しつつも紅茶を飲めばお腹いっぱい過ぎて午後の本の整理はすごく眠くなりそうな気がする。正面で紅茶を飲み干したクラウスが居住まいを正し、ひとつ咳ばらいをすると真剣な目でエリーゼを見つめる。つられてエリーゼも背筋を伸ばす。
「実はお願いと言うか相談に乗ってほしいことがありまして。エリーゼさんの力を貸して下さい」
空気が一変して重々しくなり眠気が吹っ飛ぶ。突然相談と言われて首を傾げる。
「はい?」
クラウスは緊張していたのだろうか、エリーゼの言葉に安堵したように肩の力を抜いた。
「ありがとうございます」
いやいや、今の「はい」は疑問形で肯定ではなかったのですがとは流石に言えない。ご馳走になってしまった事もあるし自分に出来る事ならお役に立ちたいとは思うのでそのまま話を聞くことにした。
「兄夫婦の結婚記念日のプレゼントを一緒に考えてほしいのです。次の仕事の日は本の整理はお休みにして私の買い物に付き合ってください。兄には私の用をお願いして外出すると断っておきますので安心してください」
二人でお出かけ? と一瞬焦ったがクラウスの声は優しいものなのにどこか有無を言わせない空気を感じ取りこれは断れないと判断してエリーゼは頷いた。
「何か目星をつけているのですか?」
クラウスは困った顔で首を振る。
「まったく思いつかなくて。贈り物のセンスがないと家族からは笑われることも多くて、苦手です。……お恥ずかしい」
クラウスはなんでも出来る人だと思っていたので苦手な事があるなど驚いてしまう。エリーゼのイメージではスマートに選んで相手を喜ばせていそうなのに。
「予算はどのくらいでしょう?」
「本人達に高額なものは必要ない自分たちで買うと言われているのでなにか手頃な価格で探そうと思っています。実は以前に奮発して贈った蛇の絵画が屋敷中の人間に不評でして……今は物置に保管されています……」
クラウスは悲しそうに眉を下げた。蛇の絵画……ちょっと気になるけど飾るところを選びそうかも。
確かに高額商品を贈っても気に入らない場合、誰かにあげる事も捨てる事も出来ないから困るだろうし、公爵様なら本当に欲しいものは自分で買い求めるだろう。
「それならば私のお勧めのものをご案内してもいいですか?」
「ぜひお願いします」
エリーゼはとっさに自分のお気に入りの商品が思い浮かんだ。
クラウスの破壊力抜群の笑顔で頼まれたのでドキドキしながらも全力で対応しようと心に決め、次回の約束の待ち合わせを決めた。その様子を見ていた周りにいる使用人さん達も何故か安心したような笑顔になった。
クラウスは紳士としての距離を保ちつつもエリーゼに優しく接してくれる。
最初は緊張していたが回数を重ねれば慣れてくる。なにより共通の趣味である本の話題が尽きずに話し込めばまるで旧知の友人のような距離感になっていた。
高位貴族の中には平民と目を合わすことも会話をすることも汚らわしいと避ける者もいる。だがエリーゼが平民であることにまったく頓着せずに対等な関係でいてくれる。
「そういえば隣国には外国語を専門にした学校が出来たのはご存じですか?」
クラウスは初めて聞いたと驚きに目を瞬く。
「いや、知らなかったな。それは興味深い」
「隣国は諸外国との交易が盛んなので通訳出来る者を育てる為に国営で建てたそうです。学力さえあれば貴族も平民も通えるそうです。国を挙げて通訳を増やす取り組みってすごいですよね。私も通ってみたくなりました」
「エリーゼさんはなかなか情報通だね。だけどあなたは通わなくても隣国語は原文で本を読める程なのだから十分じゃないのかな。だけどその取り組みは我が国も見習うところがあるな」
女だてらに政治や歴史書の本の話題を出しても、褒めこそすれ貶められることはなかった。学生時代は女のくせに小賢しいと男子によく言われたがクラウスはエリーゼの努力を認めてくれる。
こんなの……好きにならないなんて無理だと思う。
せっかくクラウスといることに慣れたのに今度は意識して彼を直視できなくなってしまった。
それでも窺うように見れば彼と目が合う。その瞬間彼の瞳は優しく弧を描きエリーゼを包み込む。
クラウスの低くて穏やかな声が自分の名前を呼べばその声が耳から心へ染み渡り体が熱くなる。きっと顔も赤くなっているだろう。ドキドキして心臓が苦しくなる。遅い初恋を迎えたエリーゼは戸惑いながらもこの日々を大切にすることにした。
図書室の整理は既に七割ほど終わっている。この時間を過ごすのも後僅かだろう。
この仕事が終わったらもう会う機会はなくなる。本来は身分が違うから気安く話すことなど出来なかったのだ。今は特殊で特別な状態であることを忘れないようにしなければ。仕事が終わるまでは自分の気持ちを気付かれないように、そっと心の中でお慕いしようと決めた。
自惚れていいならクラウスはエリーゼと過ごす時間を楽しんでくれていると思う。まるで彼にとっての特別な存在かと錯覚してしまいそうになるほどに。
だから、今だけ…………。
そして平静を保ちつつ今日もクラウスとの美味しいランチの時間の予定のはずだったのだが……。なぜか侍女が呼びに来て食堂へ案内された。そして勧められるがままに二人向かい合わせに座りフルコースを食べることになってしまった。
「実は兄夫婦の結婚記念日がもうすぐなのです。料理長がその日のメニューを試食して感想を教えてほしいと。それでぜひエリーゼさんにも協力して頂きたいのです。遠慮しないで召し上がってください」
なるほど……と思えるわけがない。お昼から、いや夜だってフルコースなど普通の平民が食べることはできない。
クラウス様だけでなく案内してくれた侍女も給仕のひとも、側に控える執事もニコニコと私がカトラリーに手を伸ばすのを待っている。
その謎の圧迫感と緊張で手が震えたが、せっかくのご馳走なので迷いを振り切って素直に味わわせて頂くことにした。
前菜から始まりメインのフィレ肉のポワレは絶品で目が潤むほどだった。デザートまで食べたがこれを試食で頂けるなんて今年の運を使い切った気がする。結婚記念日当日はこれよりももっと豪華になるらしい。流石公爵家である。
「ご馳走様でした。全部がものすごく美味しかったです。美味しすぎて一生の思い出になりました。結婚記念日のメニューにぴったりだと思います」
心を込めて伝えたがこの感激を表現する方法がこれ以上思いつかないことが惜しまれる。どれだけ読書をして辞典を愛読書にしていても現実で気の利いたことが言えないのが情けない。
「喜んでもらえてよかった。料理長にも伝えておきます」
安心したようにクラウスが微笑む。周りで給仕をして下さった方たちもやりきった感が滲んでいる。たとえ本番前の練習としてもエリーゼ相手に全力で対応してくれるなんてさすが公爵家の使用人さん達だ。
感動しつつも紅茶を飲めばお腹いっぱい過ぎて午後の本の整理はすごく眠くなりそうな気がする。正面で紅茶を飲み干したクラウスが居住まいを正し、ひとつ咳ばらいをすると真剣な目でエリーゼを見つめる。つられてエリーゼも背筋を伸ばす。
「実はお願いと言うか相談に乗ってほしいことがありまして。エリーゼさんの力を貸して下さい」
空気が一変して重々しくなり眠気が吹っ飛ぶ。突然相談と言われて首を傾げる。
「はい?」
クラウスは緊張していたのだろうか、エリーゼの言葉に安堵したように肩の力を抜いた。
「ありがとうございます」
いやいや、今の「はい」は疑問形で肯定ではなかったのですがとは流石に言えない。ご馳走になってしまった事もあるし自分に出来る事ならお役に立ちたいとは思うのでそのまま話を聞くことにした。
「兄夫婦の結婚記念日のプレゼントを一緒に考えてほしいのです。次の仕事の日は本の整理はお休みにして私の買い物に付き合ってください。兄には私の用をお願いして外出すると断っておきますので安心してください」
二人でお出かけ? と一瞬焦ったがクラウスの声は優しいものなのにどこか有無を言わせない空気を感じ取りこれは断れないと判断してエリーゼは頷いた。
「何か目星をつけているのですか?」
クラウスは困った顔で首を振る。
「まったく思いつかなくて。贈り物のセンスがないと家族からは笑われることも多くて、苦手です。……お恥ずかしい」
クラウスはなんでも出来る人だと思っていたので苦手な事があるなど驚いてしまう。エリーゼのイメージではスマートに選んで相手を喜ばせていそうなのに。
「予算はどのくらいでしょう?」
「本人達に高額なものは必要ない自分たちで買うと言われているのでなにか手頃な価格で探そうと思っています。実は以前に奮発して贈った蛇の絵画が屋敷中の人間に不評でして……今は物置に保管されています……」
クラウスは悲しそうに眉を下げた。蛇の絵画……ちょっと気になるけど飾るところを選びそうかも。
確かに高額商品を贈っても気に入らない場合、誰かにあげる事も捨てる事も出来ないから困るだろうし、公爵様なら本当に欲しいものは自分で買い求めるだろう。
「それならば私のお勧めのものをご案内してもいいですか?」
「ぜひお願いします」
エリーゼはとっさに自分のお気に入りの商品が思い浮かんだ。
クラウスの破壊力抜群の笑顔で頼まれたのでドキドキしながらも全力で対応しようと心に決め、次回の約束の待ち合わせを決めた。その様子を見ていた周りにいる使用人さん達も何故か安心したような笑顔になった。
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