21 / 38
21.ずっと一緒に
しおりを挟む
ディック様とカロリーナ様の座る横にティバルトに腰を抱かれオディリアは立っていた。緊張した面持ちで目の前の少女を観察する。彼女ミンダはベルーケ男爵家の娘でブリューム公爵家に行儀見習いの為に侍女として住み込みで働いている。
ミンダは栗色の大きな瞳を潤ませ髪を振り乱しながら、一心にティバルトに縋るような眼差しを向けている。手は後ろで縛られ騎士がロープを握っている。
今この部屋を支配しているのはディック様だ。普段のディック様とは違い冷ややかな表情と威圧感を放つ。ミンダに厳しい声で問いかけた。
「お前がオディリアの部屋に入ることは許されていない。しかも主人の物を盗むなど罪を犯した自覚はあるのか?」
ミンダはディック様には返事をせず、視線で人を殺そうとするほど強くオディリアを睨む。彼女が最初に口にしたのは反省や謝罪ではなくオディリアに対する呪詛だった。
「先にこの女が盗んだのよ。私からティバルト様を。権力を使って強引に! あんたみたいな女はティバルト様に相応しくないわ。私とティバルト様は思い合っているのにお前のせいで引き裂かれたのよ。花もペンもブレスレットも本来は私に贈られるはずの物だった。それを取り返して何が悪いというの? 私に地位と力さえあればティバルト様をお救いできるのに! あんたなんか地獄へ落ちろ」
聞くに堪えない言葉をオディリアに浴びせる。彼女の狂気に身震いをした。ティバルトが安心させるようにオディリアを抱く手に力を込める。後ろに控える騎士が立ち上がろうとしたミンダを強く押さえつける。瞳を潤ませ倒れ込む姿は憐れに見えるが同情する気持ちにはなれない。
「ティバルト。彼女はこう言っているがお前と恋人同士だったのか?」
ティバルトは怒りを露わにし冷ややかに答える。
「ありえません。私はこの女と話したこともない。妄言も甚だしい」
「そんな……。ティバルト様は私が以前一度お茶をお出しした時にありがとうと言って下さいました。二回ほどすれ違った時も私を見て下さったわ。たとえ言葉にして下さらなくても、ティバルト様の私を想って下さる気持ちに気付いていました。誰にも無表情で無愛想で笑わないと言われているティバルト様がお礼を言って下さったのですもの」
ミンダは瞳を潤ませ切々と訴えるが……これだけで好かれていると思い込むことが出来るのだろうか。
それよりもティバルトが無表情で無愛想? オディリアの前でそんな表情をしたことがない。いつも優しい笑顔を浮かべている。疑問に思ったが今は確かめることは出来ない。今度イデリーナに聞いてみた方がいいかもしれない。
「「「…………」」」
「私だって使用人に礼くらい言う。言葉にも態度にも表さない私の気持ちを勝手に捏造されてはたまったものじゃない。私が愛しているのはオディリアだけだ。お前に興味はない。迷惑だ」
「そんな……ティバルト様はその女に騙されて―」
「ミンダ・ベルーケ。これ以上お前の話を聞くつもりはない。お前は盗みを働いた。その事実は動かない。これから窃盗犯として騎士団に引き渡す。そしてブリューム公爵家とベルーケ男爵家との取引は見直すことになるだろう」
ディック様は酌量の余地はないと判断したようだ。厳しく告げ控えている騎士にミンダを連れて行くように指示した。彼女は部屋を出る寸前までティバルトに自分の気持ちを訴えていたが彼はまるで聞こえていないように無反応だった。
オディリアはこれほど冷たい表情をするティバルトを初めて見た。もしあの表情を自分に向けられたら……。青ざめているオディリアに気付くと肩をそっと抱き寄せる。その顔はオディリアのいつも見ている温かい表情だ。安心して体の力を抜いた。ディック様に促され向かいのソファーにティバルトと並んで座る。
「オディリア。私のせいで悲しい思いをさせてすまない」
ティバルトの紅玉の瞳が暗く翳る。彼のせいではないのに、そんな顔をしてほしくなかった。
「いいえ。ティバルト様は何も悪くないです。だって彼女とは何もなかったのでしょう?」
「もちろん、何の関わりもないと神に誓おう」
「それにしても……ティバルトこれで何回目かしら?」
カロリーナは呆れている。何回目? こんなことが今までにもあった?
「オディリアはこれを見るのは初めてだろう。どういう訳か時折自分がティバルトに愛されていると思い込む女性が現れる。特に親切にした訳でもないのにだ。おかげでティバルトは女嫌いになってなかなか婚約者が決まらなかったよ」
ティバルトは前髪をかき上げると深いため息を吐いた。
「何を根拠に自分勝手な妄想を抱けるのか理解できない。誤解を招かないよう女性とは距離を置くようにしているのだが、これ以上どうにもならない」
「コーンウェル王国に留学中も散々だったわね。でもそのおかげでオディリアと婚約することができたわ」
「オディリア。これからは充分気を付けるが……同じようなことがないとは言い切れない。だから些細な事でも気になることがあったら必ず教えて欲しい」
「分かりました。ですがティバルト様はそんな苦労をされていたのですね」
目の前で見なければ妄想だけで行動を起こす人がいるなんて信じられなかっただろう。
「そうなんだ。だからオディリアに癒してほしいな」
珍しいティバルトの甘えるような言葉に嬉しくなる。
「はい! 私にできる事なら何でもしますわ」
「何でも?」
含みを持たせるように確認されると何を要求されるのか不安になる。
「えっと……はい」
ティバルトは一度ソファーから立ち上がるとニッコリと笑ってソファーの端を指す。
「ここに座って」
「?」
言われた通り大きなソファーの端に移動する。ティバルトはオディリアの膝に頭を乗せごろりと寝そべる。長い脚はソファーのひじ置きに投げ出されている。
膝枕!! にわかに緊張し姿勢を正すとティバルトが肩を揺らして小さく笑っている。その振動が自分の膝に伝わると心臓がドキドキと跳ねた。二人の様子にディック様とカロリーナ様は温かい眼差しを向け部屋を退出していった。
「オディリア……。次は必ず守る。だから私の側にいてくれ」
紅玉の瞳は切なげにオディリアを見上げている。この出来事でオディリアがいなくなるとでも思っているのだろうか。オディリアが考える以上にティバルトは自分を責めている。彼は悪くない、それをどう伝えたらいいのか。
「もう守ってくれています。ティバルト様は何よりも私の心を大事にしてくれているわ。私、今が生きていた中で一番幸せなんです。私はティバルト様の側にいたい。ずっと一緒にいさせて下さい」
ティバルトは安心したように目を閉じた。
「これで一番幸せなのか? それなら覚悟してもらわないといけないな。オディリアにはもっと幸せになってもらうつもりだから」
その言葉にオディリアの顔がほころぶ。
彼の側にいる限り自分の幸せは増え続ける。オディリアは誰かに愛されたいと思っていた。叶わないはずだった望みがここにある。そして自分もティバルトを愛している。だから彼が自分を愛してくれている以上の愛を自分も捧げたい。
膝を見ればティバルトが穏やかな顔で目を閉じている。胸が緩やかに上下している。疲れていたのだろう。眠ってしまったようだ。彼のつかの間の休息を自分が与えられていると思うと誇らしかった。オディリアはそっと彼の形のいい頭を撫でながら燃えるような赤い髪を梳いた。繰り返し繰り返し、この瞬間ティバルトが穏やかに眠れていることを願いながら優しく手を動かした。
オディリアはティバルトと過ごせるこの優しい時間を心から愛おしく思った。
ミンダは栗色の大きな瞳を潤ませ髪を振り乱しながら、一心にティバルトに縋るような眼差しを向けている。手は後ろで縛られ騎士がロープを握っている。
今この部屋を支配しているのはディック様だ。普段のディック様とは違い冷ややかな表情と威圧感を放つ。ミンダに厳しい声で問いかけた。
「お前がオディリアの部屋に入ることは許されていない。しかも主人の物を盗むなど罪を犯した自覚はあるのか?」
ミンダはディック様には返事をせず、視線で人を殺そうとするほど強くオディリアを睨む。彼女が最初に口にしたのは反省や謝罪ではなくオディリアに対する呪詛だった。
「先にこの女が盗んだのよ。私からティバルト様を。権力を使って強引に! あんたみたいな女はティバルト様に相応しくないわ。私とティバルト様は思い合っているのにお前のせいで引き裂かれたのよ。花もペンもブレスレットも本来は私に贈られるはずの物だった。それを取り返して何が悪いというの? 私に地位と力さえあればティバルト様をお救いできるのに! あんたなんか地獄へ落ちろ」
聞くに堪えない言葉をオディリアに浴びせる。彼女の狂気に身震いをした。ティバルトが安心させるようにオディリアを抱く手に力を込める。後ろに控える騎士が立ち上がろうとしたミンダを強く押さえつける。瞳を潤ませ倒れ込む姿は憐れに見えるが同情する気持ちにはなれない。
「ティバルト。彼女はこう言っているがお前と恋人同士だったのか?」
ティバルトは怒りを露わにし冷ややかに答える。
「ありえません。私はこの女と話したこともない。妄言も甚だしい」
「そんな……。ティバルト様は私が以前一度お茶をお出しした時にありがとうと言って下さいました。二回ほどすれ違った時も私を見て下さったわ。たとえ言葉にして下さらなくても、ティバルト様の私を想って下さる気持ちに気付いていました。誰にも無表情で無愛想で笑わないと言われているティバルト様がお礼を言って下さったのですもの」
ミンダは瞳を潤ませ切々と訴えるが……これだけで好かれていると思い込むことが出来るのだろうか。
それよりもティバルトが無表情で無愛想? オディリアの前でそんな表情をしたことがない。いつも優しい笑顔を浮かべている。疑問に思ったが今は確かめることは出来ない。今度イデリーナに聞いてみた方がいいかもしれない。
「「「…………」」」
「私だって使用人に礼くらい言う。言葉にも態度にも表さない私の気持ちを勝手に捏造されてはたまったものじゃない。私が愛しているのはオディリアだけだ。お前に興味はない。迷惑だ」
「そんな……ティバルト様はその女に騙されて―」
「ミンダ・ベルーケ。これ以上お前の話を聞くつもりはない。お前は盗みを働いた。その事実は動かない。これから窃盗犯として騎士団に引き渡す。そしてブリューム公爵家とベルーケ男爵家との取引は見直すことになるだろう」
ディック様は酌量の余地はないと判断したようだ。厳しく告げ控えている騎士にミンダを連れて行くように指示した。彼女は部屋を出る寸前までティバルトに自分の気持ちを訴えていたが彼はまるで聞こえていないように無反応だった。
オディリアはこれほど冷たい表情をするティバルトを初めて見た。もしあの表情を自分に向けられたら……。青ざめているオディリアに気付くと肩をそっと抱き寄せる。その顔はオディリアのいつも見ている温かい表情だ。安心して体の力を抜いた。ディック様に促され向かいのソファーにティバルトと並んで座る。
「オディリア。私のせいで悲しい思いをさせてすまない」
ティバルトの紅玉の瞳が暗く翳る。彼のせいではないのに、そんな顔をしてほしくなかった。
「いいえ。ティバルト様は何も悪くないです。だって彼女とは何もなかったのでしょう?」
「もちろん、何の関わりもないと神に誓おう」
「それにしても……ティバルトこれで何回目かしら?」
カロリーナは呆れている。何回目? こんなことが今までにもあった?
「オディリアはこれを見るのは初めてだろう。どういう訳か時折自分がティバルトに愛されていると思い込む女性が現れる。特に親切にした訳でもないのにだ。おかげでティバルトは女嫌いになってなかなか婚約者が決まらなかったよ」
ティバルトは前髪をかき上げると深いため息を吐いた。
「何を根拠に自分勝手な妄想を抱けるのか理解できない。誤解を招かないよう女性とは距離を置くようにしているのだが、これ以上どうにもならない」
「コーンウェル王国に留学中も散々だったわね。でもそのおかげでオディリアと婚約することができたわ」
「オディリア。これからは充分気を付けるが……同じようなことがないとは言い切れない。だから些細な事でも気になることがあったら必ず教えて欲しい」
「分かりました。ですがティバルト様はそんな苦労をされていたのですね」
目の前で見なければ妄想だけで行動を起こす人がいるなんて信じられなかっただろう。
「そうなんだ。だからオディリアに癒してほしいな」
珍しいティバルトの甘えるような言葉に嬉しくなる。
「はい! 私にできる事なら何でもしますわ」
「何でも?」
含みを持たせるように確認されると何を要求されるのか不安になる。
「えっと……はい」
ティバルトは一度ソファーから立ち上がるとニッコリと笑ってソファーの端を指す。
「ここに座って」
「?」
言われた通り大きなソファーの端に移動する。ティバルトはオディリアの膝に頭を乗せごろりと寝そべる。長い脚はソファーのひじ置きに投げ出されている。
膝枕!! にわかに緊張し姿勢を正すとティバルトが肩を揺らして小さく笑っている。その振動が自分の膝に伝わると心臓がドキドキと跳ねた。二人の様子にディック様とカロリーナ様は温かい眼差しを向け部屋を退出していった。
「オディリア……。次は必ず守る。だから私の側にいてくれ」
紅玉の瞳は切なげにオディリアを見上げている。この出来事でオディリアがいなくなるとでも思っているのだろうか。オディリアが考える以上にティバルトは自分を責めている。彼は悪くない、それをどう伝えたらいいのか。
「もう守ってくれています。ティバルト様は何よりも私の心を大事にしてくれているわ。私、今が生きていた中で一番幸せなんです。私はティバルト様の側にいたい。ずっと一緒にいさせて下さい」
ティバルトは安心したように目を閉じた。
「これで一番幸せなのか? それなら覚悟してもらわないといけないな。オディリアにはもっと幸せになってもらうつもりだから」
その言葉にオディリアの顔がほころぶ。
彼の側にいる限り自分の幸せは増え続ける。オディリアは誰かに愛されたいと思っていた。叶わないはずだった望みがここにある。そして自分もティバルトを愛している。だから彼が自分を愛してくれている以上の愛を自分も捧げたい。
膝を見ればティバルトが穏やかな顔で目を閉じている。胸が緩やかに上下している。疲れていたのだろう。眠ってしまったようだ。彼のつかの間の休息を自分が与えられていると思うと誇らしかった。オディリアはそっと彼の形のいい頭を撫でながら燃えるような赤い髪を梳いた。繰り返し繰り返し、この瞬間ティバルトが穏やかに眠れていることを願いながら優しく手を動かした。
オディリアはティバルトと過ごせるこの優しい時間を心から愛おしく思った。
77
あなたにおすすめの小説
お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~
マルローネ
恋愛
サイドル王国の子爵家の次女であるテレーズは、長女のマリアに婚約者のラゴウ伯爵を奪われた。
その後、テレーズは辺境伯カインとの婚約が成立するが、マリアやラゴウは所詮は地方領主だとしてバカにし続ける。
しかし、無知な彼らは知らなかったのだ。西の国境線を領地としている辺境伯カインの地位の高さを……。
貴族としての基本的な知識が不足している二人にテレーズは失笑するのだった。
そしてその無知さは取り返しのつかない事態を招くことになる──。
【完結】聖女の私は利用されていた ~妹のために悪役令嬢を演じていたが、利用されていたので家を出て幸せになる~
ゆうき
恋愛
十七歳の誕生日を迎えた男爵令嬢のリーゼは、社交界では有名な悪役令嬢で、聖女と呼ばれる不思議な力を持っていた。
リーゼは社交界に出席すると、いつも暴言を吐き、粗暴な振る舞いを取る。そのせいで、貴族達からは敬遠されていた。
しかし、リーゼの振る舞いは全て演技であった。その目的は、か弱い妹を守るためだった。周りの意識を自分に向けることで、妹を守ろうとしていた。
そんなリーゼには婚約者がいたが、リーゼの振る舞いに嫌気がさしてしまい、婚約破棄をつきつけられてしまう。
表向きでは強がり、婚約破棄を了承したが、ショックを隠せないリーゼの元に、隣国の侯爵家の当主、アルベールが声をかけてきた。
社交界で唯一リーゼに優しくしてくれて、いつも半ば愛の告白のような言葉でリーゼを褒めるアルベールは、リーゼに誕生日プレゼントを渡し、その日もリーゼを褒め続ける。
終始褒めてくるアルベールにタジタジになりつつも、リーゼは父に婚約破棄の件を謝罪しようと思い、父の私室に向かうと、そこで衝撃の事実を聞いてしまう。
なんと、妹の性格は大人しいとは真逆のあくどい性格で、父や婚約者と結託して、リーゼを利用していたのだ。
まんまと利用され、自分は愛されていないことを知ったリーゼは、深い悲しみに暮れながら自室に戻り、長年仕えてくれている侍女に泣きながら説明をすると、とあることを提案された。
それは、こんな家なんて出て行こうというものだった。
出て行くと言っても、リーゼを助けてくれる人なんていない。そう考えていた時、アルベールのことを思い出したリーゼは、侍女と共にアルベールの元へ訪ねる。
そこで言われた言葉とは……自分と婚約をし、ここに住めばいいという提案だった。
これは悪役令嬢を演じていたリーゼが、アルベールと共に自分の特別な力を使って問題を解決しながら、幸せになっていく物語。
☆全34話、約十万文字の作品です。完結まで既に執筆、予約投稿済みです☆
☆小説家になろう様にも投稿しております☆
☆女性ホットランキングで一位、24hポイントで四位をいただきました!応援してくれた皆様、ありがとうございます!☆
気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。
「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」
ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。
本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。
「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?
木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。
ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。
魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。
そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。
ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。
妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。
侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。
しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。
嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
季邑 えり
恋愛
異世界転生した記憶をもつリアリム伯爵令嬢は、自他ともに認めるイザベラ公爵令嬢の腰ぎんちゃく。
今日もイザベラ嬢をよいしょするつもりが、うっかりして「王子様は理想的な結婚相手だ」と言ってしまった。それを偶然に聞いた王子は、早速リアリムを婚約者候補に入れてしまう。
王子様狙いのイザベラ嬢に睨まれたらたまらない。何とかして婚約者になることから逃れたいリアリムと、そんなリアリムにロックオンして何とかして婚約者にしたい王子。
婚約者候補から逃れるために、偽りの恋人役を知り合いの騎士にお願いすることにしたのだけど…なんとこの騎士も一筋縄ではいかなかった!
おとぼけ転生娘と、麗しい王子様の恋愛ラブコメディー…のはず。
イラストはベアしゅう様に描いていただきました。
醜いと王太子に言われ婚約破棄された私が悪の女王になるまで
久留茶
恋愛
「お前のような醜い女は私の妃に相応しくない」
婚約披露パーティーで、婚約者であるジョルジュ王太子から罵声を浴びせられ、婚約破棄を告げられたローズマリー公爵令嬢。
密かに王太子と恋仲であった義妹であるイザベラが王太子の婚約者へと成り代わり、人生に絶望したローズマリーは部屋の窓からその身を投げる。
しかし奇跡的に一命を取り留めたローズマリーは代々一族に伝わる不思議な能力に目覚める。
世間から悪名高い令嬢と言われたローズマリーはその力を使って新たな人生をスタートさせるのであった。
*恋愛色やや薄めの復讐劇的なお話です。
*前半ヒロイン、後半は王太子目線となっております。
*全11話完結です。話数は順次掲載していきます。
*誤字脱字ありましたらご報告して頂けるととてもありがたいです(*-ω人)
→R6.6/10誤字脱字修正しました。
*小説家になろうにも掲載しています。
*沢山の方に読んで頂けたことに感謝を込めて、全11話後にエピローグを一話追加しました。その後の様子が王太子視点でもう少しだけ詳しく描かれています。良かったらお読み下さい(^-^)v
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる