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19.お茶のお誘い
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ラモンおじ様の手配で一週間後に私は王宮に向かった。
城に着き馬車を降りるとそこにはオリス様がいた。今日は会えないと思っていたので私は嬉しくなって彼の側に駆け寄った。
「オリス様。どうされたのですか?」
「宰相様からエルシャが殿下と面会予定があると聞いたので」
「まあ、お忙しいのに申し訳ありません。でもオリス様のお顔を見られて嬉しいです」
「私もだ。どうぞ」
オリス様の腕に手を添えエスコートをしてもらう。会えないと思った時に会えると喜びもひとしおだ。顔が緩んでしまう。
「エルシャ……」
彼を見ればオリス様らしくなく口ごもる。どこか不安げな表情のオリス様は逡巡すると眉を下げて口を開いた。
「エルシャはマティアス殿下と懇意にしていたのだろうか? 夜会のダンスも親しそうに見えた」
なるほど。伯爵令嬢が王太子殿下に呼ばれたので不審に思ったのだろう。私とマティアス様の接点についてラモンおじ様は説明していないようだ。
「私、子供の頃少しの間ですけど殿下と遊んだことがあるのです。でもその時は殿下のことを高位貴族の子息だと思っていました。殿下だと教えられたのは疎遠になってからです。それ以降は社交場でお見かけしても挨拶を交わすくらいで、友人とも呼べなさそうな間柄です。夜会の時に殿下に話があると言われ今日来ることになったのですが、私に一体何の用なんでしょうね?」
「そうか。その、エルシャの初恋はもしかして殿下なのか?」
不意な質問にびっくりした。マティアス殿下が初恋になる要素はないのできっぱりと否定した。
「えっ? 初恋ですか? 絶対ないです。マティのことは意地悪な子という印象が強くて嫌いではないけど苦手でした。ちなみに私の初恋はエッカルトお兄様なんです。今はエッカルトお兄様の奥様も大好きでお二人は憧れのご夫婦なのです」
シュトームお兄様は私を揶揄ったりしたけど、エッカルトお兄様はいつもお姫様扱いして可愛がってくれた。理想の王子様像だった気がする。
「そうか。私はてっきり宰相様がエルシャの初恋だと想像していた」
「ラモンおじ様ですか? おじ様はもう一人のお父様という感じでした」
「ああ、もう着いてしまった。エルシャといると時間があっという間に過ぎてしまう」
案内されたのは王宮庭園のガゼボだ。周りには色とりどりの花が目に優しい。マティアス様はすでに座って待っているのが見えた。彼は私の顔を見ると手を振って微笑んだ。
「エルシャ。私はここで」
オリス様は眉を寄せ難しい顔をしている。仕事が大変なのだろうか。私は元気を出してほしくて、彼の手をぎゅっと握って笑顔でお礼を言った。
「はい。ありがとうございました」
名残惜しいなと思いつつオリス様と別れマティアス様のところへ向かう。
ガゼボでは侍女に促されマティアス様の正面に座る。侍女はお茶を置くと声が聞こえなくなる場所まで下がった。首を傾げつつマティアス様を見ると、顔が強張っている。そんなに難しい話をするのかと不安になる。
「エルシャ。よく来てくれた。それで、その、話したいことなのだが」
「はい」
「エ、エルシャ。その……私と結婚して欲しい。そして私を生涯側で支えて欲しい」
「えっ? 嫌です」
考えるより先に言葉が飛び出してしまった。また質の悪い冗談をと思ったがマティアス様が顔を真っ赤にしているので、本気かもしれない。
「おい。一考の余地もないのか? なんで即答なんだよ。これでも私は王太子だ。私と結婚すればいずれは国母だ。今まで以上にいい暮らしも出来る」
私の返事にマティアス様は不満を露わにして文句を言い出した。国母と言われても……彼の言葉に一つも魅力を感じない。私はマティアス様を異性として意識したことはないし、今の彼は昔のままの我儘な子供に見えてしまう。
「王太子妃など私には荷が重くて無理です。それに今の生活で充分幸せなので贅沢とか要りません」
「まさか……エルシャは私が嫌いなのか?」
「嫌いではありませんが……特別好きではありません。なにより私にはオリス様という素敵な婚約者がいますから考えるまでもありません」
私が誤解されないようにはっきり言うと、マティアス様は目を見開いて信じられないという顔をしている。こっちこそ、信じられない。私がマティアス様を好きな素振りをしたことはないはずだ。ずっと疎遠で手紙のやり取りすらしていない。久しぶりに会話をしてダンスを踊っただけで求婚されても迷惑だ。それに私に婚約者がいるのを知っていて求婚するなんて神経を疑う。
「私よりオリスがいいというのか?」
さっきからそう言っているのに彼はしつこい。王太子殿下に対して不敬だとは思っても、我慢できず思わず憮然とした態度になってしまう。
「はい。もちろんです」
マティアス様は顔をくしゃりと歪めた。
「今までエルシャはいろいろ学んで努力していると聞いていた。それはいずれ王太子妃になることを見据えての勉強だったのではないのか?」
「………。学ぶのが楽しくて好きだっただけよ。そんなこと思ったこともないわ。マティは私に意地悪ばかりしていたのに好かれていると本気で思ったの?」
胡乱気な目でじっと見る。勉強したくらいで誤解されるとは恐ろしい。
「あれは意地悪のつもりはなかった。二人で遊んだ時間を私は楽しいと感じていたし、エルシャもそう思っていると……」
「ボードゲームで負ると盤をひっくり返すし、怖いからやめてって言ったのに何度もカメレオンを連れてくるしあれは意地悪でしょう?」
「違う! カメレオンはあの頃の私の親友だ。だからエルシャにも可愛がって欲しくて見せていた」
「親友……?」
カメレオンが親友なんて初めて聞いた。親友を紹介しようとしてくれた気持ちを台無しにしてしまったのは申し訳ないが、知っていたとしても苦手なことは変わらない。
「マティはあまり私の気持ちを考えてくれないわよね? 自分がいいと思ったらそれが相手にとっても正しいと思い込んでしまう。そういうところが苦手だった」
「苦手?……」
マティアス様はショックだと頭を抱えた。
「今までマティからは何のアプローチも受けていなかったのに、あなたは求婚を私が受け入れるのを前提で話をしているでしょう? そういうところよ」
「それはラモンがエルシャに接触するなと言うから…………。いや、……いい。エルシャの気持ちは分かった。今の求婚はなかったことにしてくれ」
「はい」
ほっと息を吐く。
「では、失礼します」
マティアス様をちらりと見れば項垂れていた。彼には私よりもっと高位の素敵な令嬢がお似合いだろう。一時子供のころ遊んで気易かったのを勘違いしたに違いない。
王太子殿下に対して失礼な態度だった自覚はあるが、ラモンおじ様からはっきり断っていいと言われているので大丈夫だろう。おじ様は今日マティアス様が私に何を言うつもりだったのかご存じだったに違いない。権力のある人と友人であるってなんて心強いのだろう。ホッとしながら私は席を立ち、マティアス様に背を向けた。歩きながらお茶を飲めなかったことに気付いた。王宮の高級茶葉を使ったお茶を密かに楽しみにしていたので、飲めなかったことにガッカリしながら庭をあとにした。
元来た通路に出ればそこにはオリス様が佇んでいた。もしかして私を待っていてくれたのだろうか。
「オリス様!」
私は笑顔で駆けだした。勢いのあまりにつんのめってしまったら、危なげなく受け止めてくれた。
「大丈夫ですか?」
「オリス様。ごめんなさい」
淑女としてはしたない。恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
「いいえ。思ったより早く戻ってきたので驚きました」
オリス様の口調がまた堅苦しくなっている。悲しくなったが私も同じなので、少しずつ歩み寄ろうと自分にいい聞かせた。
「もう話は終わったので」
「エルシャ。話の内容を聞いても?」
とても深刻そうな表情で問いかけられ、もしかしてオリス様はマティアス様が私に何を言うのか知っていたのかもしれないと思った。
「マティに求婚されました」
「それで、エルシャは……」
「もちろん断りました。私にはオリス様がいます。実は私、オリス様との結婚を物凄く楽しみにしているんです。知りませんでしたか?」
私はまっすぐオリス様の目を見つめ自分の想いを伝えた。ここで待っていてくれたのは彼の不安の表れのような気がした。それならば安心してもらわなくては。オリス様はふっと肩の力を抜くと優しい笑みを浮かべた。そして手を伸ばし、そっと守るように私の体を抱きしめた。
「それは知りませんでした。私もまだまだだ。エルシャ。実は私も、あなたとの結婚が待ち遠しくて仕方がない。知っていましたか?」
私は彼の腕の中でくすくすと笑った。私も彼の気持ちに気付いていなかった。言葉で伝え合うことは本当に大切だと痛感した。
「私も知りませんでした。でもそれなら一緒ですね。嬉しいです」
私はオリス様と一緒に宰相室に行って、ラモンおじ様にマティアス様とのことを話した。
「心配はいらないよ。私がエルシャの不利になるようなことはさせない。そろそろマティアス殿下も現実に向き合う頃だからちょうどいい薬になっただろう」
ラモンおじ様が非常にいい笑顔で請け合ってくれたので、私は安心してオリス様と微笑み合った。
城に着き馬車を降りるとそこにはオリス様がいた。今日は会えないと思っていたので私は嬉しくなって彼の側に駆け寄った。
「オリス様。どうされたのですか?」
「宰相様からエルシャが殿下と面会予定があると聞いたので」
「まあ、お忙しいのに申し訳ありません。でもオリス様のお顔を見られて嬉しいです」
「私もだ。どうぞ」
オリス様の腕に手を添えエスコートをしてもらう。会えないと思った時に会えると喜びもひとしおだ。顔が緩んでしまう。
「エルシャ……」
彼を見ればオリス様らしくなく口ごもる。どこか不安げな表情のオリス様は逡巡すると眉を下げて口を開いた。
「エルシャはマティアス殿下と懇意にしていたのだろうか? 夜会のダンスも親しそうに見えた」
なるほど。伯爵令嬢が王太子殿下に呼ばれたので不審に思ったのだろう。私とマティアス様の接点についてラモンおじ様は説明していないようだ。
「私、子供の頃少しの間ですけど殿下と遊んだことがあるのです。でもその時は殿下のことを高位貴族の子息だと思っていました。殿下だと教えられたのは疎遠になってからです。それ以降は社交場でお見かけしても挨拶を交わすくらいで、友人とも呼べなさそうな間柄です。夜会の時に殿下に話があると言われ今日来ることになったのですが、私に一体何の用なんでしょうね?」
「そうか。その、エルシャの初恋はもしかして殿下なのか?」
不意な質問にびっくりした。マティアス殿下が初恋になる要素はないのできっぱりと否定した。
「えっ? 初恋ですか? 絶対ないです。マティのことは意地悪な子という印象が強くて嫌いではないけど苦手でした。ちなみに私の初恋はエッカルトお兄様なんです。今はエッカルトお兄様の奥様も大好きでお二人は憧れのご夫婦なのです」
シュトームお兄様は私を揶揄ったりしたけど、エッカルトお兄様はいつもお姫様扱いして可愛がってくれた。理想の王子様像だった気がする。
「そうか。私はてっきり宰相様がエルシャの初恋だと想像していた」
「ラモンおじ様ですか? おじ様はもう一人のお父様という感じでした」
「ああ、もう着いてしまった。エルシャといると時間があっという間に過ぎてしまう」
案内されたのは王宮庭園のガゼボだ。周りには色とりどりの花が目に優しい。マティアス様はすでに座って待っているのが見えた。彼は私の顔を見ると手を振って微笑んだ。
「エルシャ。私はここで」
オリス様は眉を寄せ難しい顔をしている。仕事が大変なのだろうか。私は元気を出してほしくて、彼の手をぎゅっと握って笑顔でお礼を言った。
「はい。ありがとうございました」
名残惜しいなと思いつつオリス様と別れマティアス様のところへ向かう。
ガゼボでは侍女に促されマティアス様の正面に座る。侍女はお茶を置くと声が聞こえなくなる場所まで下がった。首を傾げつつマティアス様を見ると、顔が強張っている。そんなに難しい話をするのかと不安になる。
「エルシャ。よく来てくれた。それで、その、話したいことなのだが」
「はい」
「エ、エルシャ。その……私と結婚して欲しい。そして私を生涯側で支えて欲しい」
「えっ? 嫌です」
考えるより先に言葉が飛び出してしまった。また質の悪い冗談をと思ったがマティアス様が顔を真っ赤にしているので、本気かもしれない。
「おい。一考の余地もないのか? なんで即答なんだよ。これでも私は王太子だ。私と結婚すればいずれは国母だ。今まで以上にいい暮らしも出来る」
私の返事にマティアス様は不満を露わにして文句を言い出した。国母と言われても……彼の言葉に一つも魅力を感じない。私はマティアス様を異性として意識したことはないし、今の彼は昔のままの我儘な子供に見えてしまう。
「王太子妃など私には荷が重くて無理です。それに今の生活で充分幸せなので贅沢とか要りません」
「まさか……エルシャは私が嫌いなのか?」
「嫌いではありませんが……特別好きではありません。なにより私にはオリス様という素敵な婚約者がいますから考えるまでもありません」
私が誤解されないようにはっきり言うと、マティアス様は目を見開いて信じられないという顔をしている。こっちこそ、信じられない。私がマティアス様を好きな素振りをしたことはないはずだ。ずっと疎遠で手紙のやり取りすらしていない。久しぶりに会話をしてダンスを踊っただけで求婚されても迷惑だ。それに私に婚約者がいるのを知っていて求婚するなんて神経を疑う。
「私よりオリスがいいというのか?」
さっきからそう言っているのに彼はしつこい。王太子殿下に対して不敬だとは思っても、我慢できず思わず憮然とした態度になってしまう。
「はい。もちろんです」
マティアス様は顔をくしゃりと歪めた。
「今までエルシャはいろいろ学んで努力していると聞いていた。それはいずれ王太子妃になることを見据えての勉強だったのではないのか?」
「………。学ぶのが楽しくて好きだっただけよ。そんなこと思ったこともないわ。マティは私に意地悪ばかりしていたのに好かれていると本気で思ったの?」
胡乱気な目でじっと見る。勉強したくらいで誤解されるとは恐ろしい。
「あれは意地悪のつもりはなかった。二人で遊んだ時間を私は楽しいと感じていたし、エルシャもそう思っていると……」
「ボードゲームで負ると盤をひっくり返すし、怖いからやめてって言ったのに何度もカメレオンを連れてくるしあれは意地悪でしょう?」
「違う! カメレオンはあの頃の私の親友だ。だからエルシャにも可愛がって欲しくて見せていた」
「親友……?」
カメレオンが親友なんて初めて聞いた。親友を紹介しようとしてくれた気持ちを台無しにしてしまったのは申し訳ないが、知っていたとしても苦手なことは変わらない。
「マティはあまり私の気持ちを考えてくれないわよね? 自分がいいと思ったらそれが相手にとっても正しいと思い込んでしまう。そういうところが苦手だった」
「苦手?……」
マティアス様はショックだと頭を抱えた。
「今までマティからは何のアプローチも受けていなかったのに、あなたは求婚を私が受け入れるのを前提で話をしているでしょう? そういうところよ」
「それはラモンがエルシャに接触するなと言うから…………。いや、……いい。エルシャの気持ちは分かった。今の求婚はなかったことにしてくれ」
「はい」
ほっと息を吐く。
「では、失礼します」
マティアス様をちらりと見れば項垂れていた。彼には私よりもっと高位の素敵な令嬢がお似合いだろう。一時子供のころ遊んで気易かったのを勘違いしたに違いない。
王太子殿下に対して失礼な態度だった自覚はあるが、ラモンおじ様からはっきり断っていいと言われているので大丈夫だろう。おじ様は今日マティアス様が私に何を言うつもりだったのかご存じだったに違いない。権力のある人と友人であるってなんて心強いのだろう。ホッとしながら私は席を立ち、マティアス様に背を向けた。歩きながらお茶を飲めなかったことに気付いた。王宮の高級茶葉を使ったお茶を密かに楽しみにしていたので、飲めなかったことにガッカリしながら庭をあとにした。
元来た通路に出ればそこにはオリス様が佇んでいた。もしかして私を待っていてくれたのだろうか。
「オリス様!」
私は笑顔で駆けだした。勢いのあまりにつんのめってしまったら、危なげなく受け止めてくれた。
「大丈夫ですか?」
「オリス様。ごめんなさい」
淑女としてはしたない。恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
「いいえ。思ったより早く戻ってきたので驚きました」
オリス様の口調がまた堅苦しくなっている。悲しくなったが私も同じなので、少しずつ歩み寄ろうと自分にいい聞かせた。
「もう話は終わったので」
「エルシャ。話の内容を聞いても?」
とても深刻そうな表情で問いかけられ、もしかしてオリス様はマティアス様が私に何を言うのか知っていたのかもしれないと思った。
「マティに求婚されました」
「それで、エルシャは……」
「もちろん断りました。私にはオリス様がいます。実は私、オリス様との結婚を物凄く楽しみにしているんです。知りませんでしたか?」
私はまっすぐオリス様の目を見つめ自分の想いを伝えた。ここで待っていてくれたのは彼の不安の表れのような気がした。それならば安心してもらわなくては。オリス様はふっと肩の力を抜くと優しい笑みを浮かべた。そして手を伸ばし、そっと守るように私の体を抱きしめた。
「それは知りませんでした。私もまだまだだ。エルシャ。実は私も、あなたとの結婚が待ち遠しくて仕方がない。知っていましたか?」
私は彼の腕の中でくすくすと笑った。私も彼の気持ちに気付いていなかった。言葉で伝え合うことは本当に大切だと痛感した。
「私も知りませんでした。でもそれなら一緒ですね。嬉しいです」
私はオリス様と一緒に宰相室に行って、ラモンおじ様にマティアス様とのことを話した。
「心配はいらないよ。私がエルシャの不利になるようなことはさせない。そろそろマティアス殿下も現実に向き合う頃だからちょうどいい薬になっただろう」
ラモンおじ様が非常にいい笑顔で請け合ってくれたので、私は安心してオリス様と微笑み合った。
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