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第33話「煉獄の底(前編)」
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「な、んで……」
疑問は口から、ボロボロとついて出て……。
そして、戸惑いは最高潮。
ネリス……そしてシャラ──。
しかも、その恰好と言ったら、
まるで「女」だ。
義母のそれではなく……一人の美しい「女」──。
年齢を感じさせない美貌はそのままに、かつて浮かべていたあの包容力と母性溢れるソレではなかった。
男を誘う、肉欲的で、蠱惑的で、煽情的で、一個の「女」シャラとしてそこにいる。
理由?
ここにいる理由……?
ははは、ま、まさか……!
まさかだよなぁ??
「お? シャラも知り合いか……?」
テンガも気付いたらしく……やはりシャラの名を呼んだ。
そうだ、紛れもなく義母。
クラムの家族であった、シャラであるらしい。
「え……えぇ、まぁ───その、」
そこで、少し苦々しく言葉を詰まらせるシャラ。
「あ! あー! そうか! そうだったな! ネリスとシャラ! 同じ家だったなぁ!!」
そういえば、そーそーとひらめいた! といった顔のテンガ。
そして、
「ってことはぁ! おいおいおい、なんでそんなとこに隠れてるんだよ? 感動の再会じゃないか!!」
ひゃははははっはあ、と───!!
テンガが近衛兵を割って、一人の女性を引っ張り出す。
彼女もまた……薄着にすぎる格好で───美しく、可愛らしく、……懐かしく───。
あぁ……わかっていたさ……ネリス、義母さんとくれば……!!
「ミナ…………ッッ……」
血を吐き出さんばかりの声に、
「…………生きてたんだ」
あの懐かしい……妹の声。
「…………ど、どうして……──なぁ、」
縋りつこうと手を伸ばすが、
「触らないで!」
バっと飛びのく妹……ミナがそこにいた。
相変わらずチンマイ伸長で、どう見ても少女にしか見えないが……その魅力を最大限に生かしたような恰好は、やはりどうみても───「女」だ。
間違っても妹としてのソレではない。
「あーらまーまー。お前嫌われてるねー! せっかくの家族の再会だってのに、ッさ!」
ドスン! と裸足のそれを背中に突き落とされ息が詰まる。
「げぇぇぇ!」
昨日食べた、あの店のまともな食べ物が未消化のまま飛び出す。
胃が驚いているのか……まだ消化できていなかったようだ。
いや、そんなことよりも……。
一瞬だけだが、見た。
義母さんが、ミナが目を逸らした。
少なくとも……俺の惨状を喜んで見ているわけではない。
そうとも、……ないはずだ!
事情が……。
そう……事情があるんだ!
そうだろう!?
なぁ!!
「義母さん、ミナ……帰ろう……。なぁ、帰ろう!」
どこに?
どこに帰ると言うのか……。
言っていて、クラム自身にもわからない。だが…………。
こんな、
こんな……
こんな───!!!
こんな、地獄よりもいい所が何処かにあるはず!!
「───はぁ?……囚人が何を言ってるの」
伸ばしたクラムの手を避けもせず、見もせず……気にもせずシャラはそう言ってのける。
「囚人に義母さんと呼ばれる覚えはないわ」
そして、蔑んだ目を……俺に?
え?
義理の息子の……俺に?
俺を───。
「悪いけど、私も犯罪者の兄妹はいないわね」
近衛兵の影に入ったミナ。しかし、それを引き戻したのはテンガ。
「おいおいおい、仲良くしろよー……なぁ?」
ベロりと、ミナの口を舐めとるテンガ。
クラムの目から見れば醜悪なそれも、ミナからすれば愛のささやきの如し。
───途端に女の表情になり、テンガにしな垂れかかる。
「ミぃぃぃナぁぁ……今日はネリスの日だろぉ? あとで相手してやるからよ」
ネリスと一緒に抱き留め、体を弄るテンガに、
「ミナから離れろ! クズ野郎!!」
「貴様っ!」と、近くにいた近衛兵がクラムの顔面を蹴り上げる。
ガツンと、衝撃に息が詰まり──鼻から驚くほどの勢いで血が出る。
「どこ見て言ってんだよ……ミナからくっ付いてるんだぜ?」
なぁ? と、目の前で深く深く口づけして見せる。
「だ、だまれ……」
ドクドクと鼻血が口元を汚しつつも、クラムは言葉を紡ぐ───。
「何をした! 俺の家族に何をしたぁぁ!!」
キョトンとした顔のテンガは、
「何って、ナニはしたけど、後は何もしてねぇよ?」
何言ってんだコイツと言わんばかり……。
「嘘を付け! 俺の家族がお前なんざに靡くわけがないだろうがぁぁ!!」
はぁはぁ……と詰まる息をかき集めて臓腑の底から叫ぶと、
「はぁ? あー……なんだ? 洗脳でもしたとか思ってんのか?」
呆れた奴だな、と───シャラに向き直ったテンガは、チョイチョイと手招きする。
シャラは合点がいったように、目をトロンと緩ませて、テンガに近づくと、
「今日は3人をお望みかしら?」
そう言って、ミナとネリスの間に体を割り込ませると、テンガに縋《すが》りつき全身を使ってしな垂れかかる……。
それはもう……クラムにとっての悪夢そのもの───!
家族が、
カゾクガ、
カゾクがァァああああああああああああ───!!!
ああああああああああああああああああああああ!!
「お? ははははは! 見ろよコイツ、こんな様で興奮してやがるぞ! おいおいおーい」
テンガの指摘は、クラムの股間に向いていた。
それを見たシャラとミナは、それはもう軽蔑どころか……ゴミに集る蛆……に寄生した気味の悪い虫を見ているかのようだ。
「ぎゃははははははっは!!! なんだこれ! 滅茶苦茶、おもしれーよなぁお前ぇぇ!!」
うひゃはははははっは! と狂ったように笑い続けるテンガに、それに絡みつく3人の女…………。
疑問は口から、ボロボロとついて出て……。
そして、戸惑いは最高潮。
ネリス……そしてシャラ──。
しかも、その恰好と言ったら、
まるで「女」だ。
義母のそれではなく……一人の美しい「女」──。
年齢を感じさせない美貌はそのままに、かつて浮かべていたあの包容力と母性溢れるソレではなかった。
男を誘う、肉欲的で、蠱惑的で、煽情的で、一個の「女」シャラとしてそこにいる。
理由?
ここにいる理由……?
ははは、ま、まさか……!
まさかだよなぁ??
「お? シャラも知り合いか……?」
テンガも気付いたらしく……やはりシャラの名を呼んだ。
そうだ、紛れもなく義母。
クラムの家族であった、シャラであるらしい。
「え……えぇ、まぁ───その、」
そこで、少し苦々しく言葉を詰まらせるシャラ。
「あ! あー! そうか! そうだったな! ネリスとシャラ! 同じ家だったなぁ!!」
そういえば、そーそーとひらめいた! といった顔のテンガ。
そして、
「ってことはぁ! おいおいおい、なんでそんなとこに隠れてるんだよ? 感動の再会じゃないか!!」
ひゃははははっはあ、と───!!
テンガが近衛兵を割って、一人の女性を引っ張り出す。
彼女もまた……薄着にすぎる格好で───美しく、可愛らしく、……懐かしく───。
あぁ……わかっていたさ……ネリス、義母さんとくれば……!!
「ミナ…………ッッ……」
血を吐き出さんばかりの声に、
「…………生きてたんだ」
あの懐かしい……妹の声。
「…………ど、どうして……──なぁ、」
縋りつこうと手を伸ばすが、
「触らないで!」
バっと飛びのく妹……ミナがそこにいた。
相変わらずチンマイ伸長で、どう見ても少女にしか見えないが……その魅力を最大限に生かしたような恰好は、やはりどうみても───「女」だ。
間違っても妹としてのソレではない。
「あーらまーまー。お前嫌われてるねー! せっかくの家族の再会だってのに、ッさ!」
ドスン! と裸足のそれを背中に突き落とされ息が詰まる。
「げぇぇぇ!」
昨日食べた、あの店のまともな食べ物が未消化のまま飛び出す。
胃が驚いているのか……まだ消化できていなかったようだ。
いや、そんなことよりも……。
一瞬だけだが、見た。
義母さんが、ミナが目を逸らした。
少なくとも……俺の惨状を喜んで見ているわけではない。
そうとも、……ないはずだ!
事情が……。
そう……事情があるんだ!
そうだろう!?
なぁ!!
「義母さん、ミナ……帰ろう……。なぁ、帰ろう!」
どこに?
どこに帰ると言うのか……。
言っていて、クラム自身にもわからない。だが…………。
こんな、
こんな……
こんな───!!!
こんな、地獄よりもいい所が何処かにあるはず!!
「───はぁ?……囚人が何を言ってるの」
伸ばしたクラムの手を避けもせず、見もせず……気にもせずシャラはそう言ってのける。
「囚人に義母さんと呼ばれる覚えはないわ」
そして、蔑んだ目を……俺に?
え?
義理の息子の……俺に?
俺を───。
「悪いけど、私も犯罪者の兄妹はいないわね」
近衛兵の影に入ったミナ。しかし、それを引き戻したのはテンガ。
「おいおいおい、仲良くしろよー……なぁ?」
ベロりと、ミナの口を舐めとるテンガ。
クラムの目から見れば醜悪なそれも、ミナからすれば愛のささやきの如し。
───途端に女の表情になり、テンガにしな垂れかかる。
「ミぃぃぃナぁぁ……今日はネリスの日だろぉ? あとで相手してやるからよ」
ネリスと一緒に抱き留め、体を弄るテンガに、
「ミナから離れろ! クズ野郎!!」
「貴様っ!」と、近くにいた近衛兵がクラムの顔面を蹴り上げる。
ガツンと、衝撃に息が詰まり──鼻から驚くほどの勢いで血が出る。
「どこ見て言ってんだよ……ミナからくっ付いてるんだぜ?」
なぁ? と、目の前で深く深く口づけして見せる。
「だ、だまれ……」
ドクドクと鼻血が口元を汚しつつも、クラムは言葉を紡ぐ───。
「何をした! 俺の家族に何をしたぁぁ!!」
キョトンとした顔のテンガは、
「何って、ナニはしたけど、後は何もしてねぇよ?」
何言ってんだコイツと言わんばかり……。
「嘘を付け! 俺の家族がお前なんざに靡くわけがないだろうがぁぁ!!」
はぁはぁ……と詰まる息をかき集めて臓腑の底から叫ぶと、
「はぁ? あー……なんだ? 洗脳でもしたとか思ってんのか?」
呆れた奴だな、と───シャラに向き直ったテンガは、チョイチョイと手招きする。
シャラは合点がいったように、目をトロンと緩ませて、テンガに近づくと、
「今日は3人をお望みかしら?」
そう言って、ミナとネリスの間に体を割り込ませると、テンガに縋《すが》りつき全身を使ってしな垂れかかる……。
それはもう……クラムにとっての悪夢そのもの───!
家族が、
カゾクガ、
カゾクがァァああああああああああああ───!!!
ああああああああああああああああああああああ!!
「お? ははははは! 見ろよコイツ、こんな様で興奮してやがるぞ! おいおいおーい」
テンガの指摘は、クラムの股間に向いていた。
それを見たシャラとミナは、それはもう軽蔑どころか……ゴミに集る蛆……に寄生した気味の悪い虫を見ているかのようだ。
「ぎゃははははははっは!!! なんだこれ! 滅茶苦茶、おもしれーよなぁお前ぇぇ!!」
うひゃはははははっは! と狂ったように笑い続けるテンガに、それに絡みつく3人の女…………。
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