異世界最強のセンセイ~王女の妹と令嬢達の先生になったんだが、教え子たちが可愛すぎて授業どころじゃない~

古澄典雪

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第一章

第六十八話 魔術の祖と最怪ノ魔術師

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「じゃあ、授業始めるよ」

 夢乃と時葉がゆっくりと頷いた。

「今日扱うのは――魔法の創造について。

「……俺達は、ゼロから魔法を作り出すことが出来ない。

「そう言われている。

「……んまあ、新しい魔法を作ったとか言うときはあるんだけど、それらは本当の意味での新しい魔法ではないんだ。

「現在使われている魔法――詠唱も魔法陣も全てひっくるめて――その大部分の魔法は、分解していくと最終的には同じ魔法に辿り着く。

「魔法は少しずつ効果が違う。しかしそれは組み合わせのバリエーションでしかない。

「……うん。、ね。

「分解の果てに現れる四つの魔法――『原初魔法』って呼ばれるんだけど、全ての魔法の構成は、この四つの魔法の組み合わせによって表せることが分かっている。

「簡単な証明でね……。魔力の変質の方向性がそれしか存在しないから、ってだけ。

「……そうだ。その通り。

「この話をする時には避けては通れない問題がある。

「最果てで、原初魔法に行き着くのだとしたら。

「なら、

「今でも議論されていることだけど、『最怪ノ魔術師』は一つの『魔法』を生み出した。原初魔法を一切用いない――新しい魔法を。

「なら分解できてないじゃんか。

「……そう言いたい気持ちも分かるけど、研究者たちはある主張をしたんだ。







「……根拠というか、彼らがそう主張したのには理由がある。

「『その魔法』は『最怪ノ魔術師』にしか発動できなかった。

「研究者の中には一流の魔術師も居たんだけど、誰一人発動することが出来なかったんだ。

「でも実際に『最怪の魔術師』が術式を起動すると、発動する。

「……そこで彼らは、『その魔法』を得体の知れない異物だと見做した。

「『最怪ノ魔術師』もろともに。

「―――彼らの世界を破壊し得る、脅威だと。

「そこで彼らは――魔術の祖に、『最怪』の暗殺を命じた。

「……魔術の祖、時明祈利。

「魔術の祖とは言っても、前述の通り、彼は原初魔法の有効な組み合わせを見つけるのに長けていただけなんだけどね……。

「……彼は『最怪』の暗殺を引き受けた。

「結果は知っての通り。

「彼は『最怪』を――誰にも、彼自身にも解除し得ない三重結界の内側に封じ込めた。

「生命活動を完全に停止させて。

「……それは時が止まっているのと同じことだ。

「彼は最初から、『最怪』を殺すつもりなんて微塵もなかった。

「……研究者たちは知らなかったんだ。

「『最怪ノ魔術師』が――彼の教え子だということを」
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